候補者が社外要件を満たすことを確認する書面。会社法第2条第15号の要件である業務執行者でないことや親会社関係者でないこと等を項目化し、登記の疎明にも用います。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
社外取締役の要件該当性確認書
第1部: 書式本文
取締役候補者が会社法上の「社外取締役」の要件を満たすことを、候補者本人の申告により確認する書面である。株主総会参考書類への記載や登記申請の疎明資料として用いることを想定する。
確認事項一覧(候補者本人が各項目について「該当なし」に丸を付す形式)
- 現在又は過去10年間、当会社又はその子会社の業務執行取締役、執行役、支配人その他の使用人であったことがないか
- 過去10年内のいずれかの時において当会社又はその子会社の取締役、会計参与又は監査役であった者にあっては、その就任前10年間に業務執行取締役等であったことがないか
- 当会社の親会社等(自然人である場合における当該自然人を含む)又は親会社等の取締役、執行役、支配人その他の使用人でないか
- 当会社の親会社等の子会社等(いわゆる兄弟会社)の業務執行取締役等でないか
- 当会社の取締役、執行役又は支配人その他の重要な使用人又は親会社等の配偶者又は二親等内の親族でないか
- 当会社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産を得ている弁護士、公認会計士、税理士等の専門家でないか(法人の場合は当該法人の社員等でないか)
- 当会社の主要な取引先(取引額が一定基準を超える者)の業務執行者又はその近親者でないか
- 過去において前各号のいずれかに該当していた期間がある場合、その内容及び期間
申告及び表明 候補者〇〇〇〇は、上記各項目についての回答が真実かつ正確であり、虚偽がないことを表明し、就任後に上記の状況に変化が生じた場合には遅滞なく当会社に対し書面又は電子メールにより通知することを誓約する。
添付資料 候補者の略歴書、当会社及び親会社等との取引関係を示す資料(該当する場合)、候補者が現に他社の役員を兼務している場合はその一覧表
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 候補者本人記入バージョン
候補者自身が一問一答形式で回答しやすいよう、各確認事項をチェックボックス形式に変更する。
記載例:「□ 該当する □ 該当しない(いずれの期間においても業務執行取締役等であったことがない)」 一言解説: 候補者本人が記入することを想定し、専門用語(業務執行取締役、親会社等、支配人等)には注記を付けて理解を助ける工夫が望ましい。特に「業務執行取締役」には代表取締役だけでなく、業務を執行したその他の取締役(会社法第2条第15号イ、第363条第1項各号に定める者等)が含まれる点に注意を促す。
B. 登記添付用バージョン
登記申請における社外取締役の就任を証する書面として用いる場合の記載強化例。
追加記載例:「本確認書は、会社法第911条第3項第22号ロに基づく社外取締役である旨の登記の添付書類として使用することを目的として作成されたものであり、登記官の審査に耐えうるよう、各要件への該当・非該当を具体的な事実(在籍会社名、在籍期間、取引の内容等)とともに記載する。」 一言解説: 登記実務上は単なる「該当しない」という結論だけでなく、具体的な事実関係(いつ、どの会社の、どの地位にあったか)を記載した書面の添付が求められることが多いため、抽象的なチェックのみでなく事実欄を設けることが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、社外取締役を新たに選任する場面や、既存の取締役を社外取締役として株主総会参考書類・登記に記載する場面で、候補者の要件充足性を書面化するために用いる。他方、監査等委員である社外取締役や社外監査役については、要件の細部(会社法第2条第16号、第335条第3項)が異なるため、単純に流用せず、それぞれの機関類型に応じた要件確認が必要である。
根拠法令 会社法第2条第15号は社外取締役の定義を定め、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等でないこと、過去10年間に業務執行取締役等であったことがないこと、親会社等の関係者でないこと、兄弟会社の業務執行取締役等でないこと、近親者でないこと等の要件を列挙する。上場会社等においては、コーポレートガバナンス・コードの原則4-9で独立性基準の設定が求められており、会社法上の社外性要件を満たすことと、取引所の定める独立性基準を満たすこととは別個の判断であることに留意が必要である。登記実務との関係では、会社法第911条第3項第22号ロにより、社外取締役である旨の登記が必要となる場合がある。
実務でよくある失敗と対策 第一に、候補者が過去に子会社の非常勤取締役を務めていた事実を「業務執行」に当たらないと誤って判断し、確認書上「該当しない」としてしまう失敗がある。業務執行取締役に該当するか否かは代表権や業務執行権の有無で判断されるため、非常勤であることのみをもって業務執行性を否定できない点に注意が必要である。第二に、当会社の主要な取引先の役員である候補者について、取引額の重要性の判断基準を明確にしないまま確認書を作成し、後日、独立性に疑義が生じる失敗がある。取引額の基準(例えば一定の売上高比率)をあらかじめ社内基準として定めておくことが望ましい。第三に、就任後の状況変化(候補者が新たに当会社の主要取引先の役員に就任した等)の通知義務を明記せず、要件の継続的な充足性を確認する仕組みが欠落する失敗がある。
第四に、確認書の内容と株主総会参考書類・招集通知に記載する略歴とに齟齬が生じ、株主から事実誤認を指摘される失敗もある。確認書で申告された事実関係と対外開示資料の記載内容を突合するプロセスを設けることが望ましい。また、社外取締役の要件は就任時点のみでなく在任中も継続して充足している必要があるため、毎年の株主総会や取締役会において在任中の社外取締役に対しても定期的に本確認書と同様の確認を行う運用とすることが望ましい。
社外性・独立性の該当性判断は事実関係の評価を伴い、特に「主要な取引先」や「多額の金銭」の該当性は会社の規模や取引の実態によって個別に判断されるため、疑義がある場合は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 候補者が当会社又は子会社の業務執行取締役等であったことがないか確認したか
- [ ] 候補者が過去10年間に業務執行取締役等であった期間がないか確認したか
- [ ] 候補者が当会社の親会社等又はその関係者に該当しないか確認したか
- [ ] 候補者が当会社の兄弟会社の業務執行取締役等に該当しないか確認したか
- [ ] 候補者が当会社の取締役等の近親者(配偶者・二親等内の親族)に該当しないか確認したか
- [ ] 候補者が当会社の主要な取引先の業務執行者等に該当しないか確認したか
- [ ] 候補者が当会社から多額の報酬を得る専門家(弁護士・会計士等)に該当しないか確認したか
- [ ] 取引所の独立性基準(該当する場合)も別途確認したか
- [ ] 就任後の状況変化の通知義務を候補者に説明したか
- [ ] 登記添付用として使用する場合、事実関係を具体的に記載したか
- [ ] 確認書の記載内容と株主総会参考書類・招集通知の略歴記載との整合性を確認したか
- [ ] 在任中の社外取締役についても定期的な再確認の運用を設けたか