提案に対し社員全員が書面で同意することで総会決議とみなす手続の同意書です。提案内容と同意日を明確に記録します。必要事項を埋めるだけで短時間に整えられる書式です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
社員総会の決議の省略に係る同意書
第1部: 書式本文
社員総会の決議の省略に係る同意書(提案書兼同意書)
一般社団法人【法人名称】(以下「当法人」という。)理事【提案者理事氏名】は、社員総会の目的である事項について、下記のとおり提案する。当法人の社員は、下記提案の内容に同意するときは、本書面に記名押印のうえ、【提出期限】までに当法人事務局宛て提出するものとする。
記
- 提案日: 【提案年月日】
- 提案事項(社員総会の目的である事項) 第1号議案: 【議案名及び議案の内容全文】 第2号議案: 【議案名及び議案の内容全文】
- 提案の趣旨: 【提案の背景・理由】
- 添付資料: 【議案の判断に必要な資料一覧】
- 同意の効果: 社員全員が本提案に同意したときは、一般法人法第58条第1項の規定により、当該提案を可決する旨の社員総会の決議があったものとみなされる。
- 備置き: 本提案書及び社員の同意書は、決議があったものとみなされた日から10年間、当法人の主たる事務所に備え置く。
以上
--- 同意欄 ---
社員は、上記提案事項の全部に同意する場合は、下記に記名押印のうえ提出してください。一部の議案にのみ同意する場合は、その旨を付記してください。
同意年月日: 【同意年月日】 社員 住所: 【社員住所】 社員 氏名・名称: 【社員氏名・名称】 印
同意の範囲: 全議案に同意する □ / 次の議案にのみ同意する(議案番号: ) □
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
社員の立場
A. 同意の範囲を議案ごとに限定できるようにする修正 文例: 「社員は、各議案について個別に同意又は不同意の意思表示をすることができる。」 一言解説: 決議の省略は全社員の同意が必要な事項ごとに成立するため、複数議案を一括提案する場合でも、議案単位で同意可否を選べるようにしておくと社員の意思をより正確に反映できる。
B. 提案内容の開示を求める修正 文例: 「本提案書には、議案の内容全文及びその判断に必要な資料を添付するものとする。社員から質問があったときは、法人は同意期限までに書面で回答する。」 一言解説: 書面のみで意思決定を行う以上、社員が十分な情報に基づいて同意可否を判断できるよう、資料の充実に加え質問対応の機会を求めることは社員側の防御として重要である。
法人の立場
A. 同意の集約方法・期限を明確にする修正 文例: 「同意書は【提出期限】までに到達したものに限り有効とし、期限後の到達分は無効とする。」 一言解説: 全員同意が要件であるため、提出期限を明確にし、期限管理を徹底することで手続の適法性を確保しやすくなる。
B. 一部社員が同意しない場合の取扱いを明記する修正 文例: 「社員の一人でも同意しない場合、当該提案については社員総会の決議があったものとはみなされず、別途総会を招集する。」 一言解説: 全員同意が得られない場合の対応をあらかじめ定めておくことで、手続が中途半端な状態にならないよう法人側の運用リスクを軽減する。
場面別バリエーション: 定時社員総会の目的事項全部について決議省略を行う場合
文例: 「本提案は定時社員総会の目的である事項の全部についてのものであり、社員全員の同意により決議があったものとみなされたときは、一般法人法第58条第4項によりその時に定時社員総会が終結したものとみなされる。」 一言解説: 定時総会の全議案について決議省略を行う場合は、総会自体が観念上終結する効果が生じることを法人・社員双方が理解しておく必要がある。
場面別バリエーション: 社員が提案者となる場合
文例: 「本提案は、社員【氏名】が一般法人法第58条第1項に基づき提出したものであり、法人は提案内容をそのまま他の社員に回付する。」 一言解説: 決議の省略は理事だけでなく社員も提案者となることができるため、社員提案の場合は法人が提案内容を改変せずに他の社員へ回付する立場にとどまることを明記しておくと、提案者・法人双方の責任範囲が明確になる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使用場面の解説
本書式は、一般社団法人において、理事又は社員が社員総会の目的である事項について提案を行い、社員全員が書面又は電磁的記録により同意することで、実際に総会を開催することなく決議が成立したものとみなす手続(決議の省略・みなし決議)に使用する。社員の人数が少なく全員の合意形成が容易な法人や、社員が遠隔地に分散していて一堂に会することが難しい法人において、迅速な意思決定手段として活用される。
使ってはいけない場面の解説
社員の一部からでも異議が出ることが見込まれる議案や、社員間で利害が対立する議案については、全員同意が得られない可能性が高く、手続が不成立となるリスクがあるため、通常の招集による総会での審議を検討すべきである。また、一般財団法人の評議員会について決議省略を行う場合は、第194条に基づく別書式を用いる必要がある。社員数が多く全員から迅速に同意を得ることが現実的でない法人においても、通常の招集手続を選択する方が確実な場合が多い。
根拠法令の解説
社員総会の決議の省略は第58条に規定され、理事又は社員が提案し、社員全員が書面又は電磁的記録により同意したときに決議があったものとみなされる。法人は当該書面又は電磁的記録を決議があったものとみなされた日から10年間主たる事務所に備え置く義務を負う(第58条第2項)。社員及び債権者は法人の業務時間内にいつでも閲覧謄写を請求できる(同条第3項)。なお、総会への報告事項についても、社員全員の同意により報告があったものとみなす制度が第59条に別途定められている。あわせて、通常の招集による総会の決議要件は第49条に規定されているが、決議の省略は招集や決議の手続そのものを経ないため、第49条の定足数・多数決要件は適用されず、あくまで社員全員一致という別の要件で決議の成立が擬制される点に注意する。
よくある失敗と対策の解説
第一に、社員の一部からしか同意書を回収できていないにもかかわらず、決議が成立したものとして扱ってしまう例がある。第58条は社員全員の同意を要件とするため、1名でも未回収であれば決議は成立しない。 第二に、同意書の保存期間(10年間)を意識せず廃棄してしまう例がある。第58条第2項の備置義務を運用マニュアルに落とし込み、保存期限を管理する。 第三に、提案事項の記載が抽象的で、後日どの議案にどの範囲で同意したのか確認できなくなる例がある。議案の内容は全文を記載し、同意欄でも議案番号を明示させる。 第四に、社員の異動(入退会)が生じている時期に手続を行い、同意を取得すべき社員の範囲を誤る例がある。提案時点における社員名簿を確定させたうえで送付先を決定する。
社員の範囲や同意の効力発生時期の解釈は法人の定款や事業年度の状況、さらに提案事項が定款変更のような重要事項であるか否かによっても異なるため、個別事案は専門家に確認のうえ運用することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- 提案者(理事又は社員)の氏名・提案日を記載したか
- 提案事項(議案の内容全文)を具体的に記載したか
- 同意の効果(第58条によるみなし決議)を明記したか
- 社員の総数と同意書提出予定者数が一致しているか確認したか
- 同意書の提出期限を明記したか
- 社員全員分の同意書が揃わなかった場合の対応を定めたか
- 同意書の10年間の備置き体制を整えたか
- 定時総会の全議案について行う場合、総会終結とみなされる効果を理解しているか
- 電磁的記録による同意を認める場合、その方法を明記したか
- 議案ごとの同意可否を確認できる様式になっているか
- 提案時点の社員名簿を確定し、送付漏れがないか確認したか
- 社員からの質問対応の窓口・期限を定めたか