シェアオフィスやレンタルスペースの会員利用条件を定める規約。施設利用の許諾として借地借家法の適用を避ける建付けとし、民法第548条の2の定型約款に対応。

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シェアオフィス・レンタルスペース利用規約

第1部: 書式本文

シェアオフィス・レンタルスペース利用規約

本規約は、運営事業者【運営事業者氏名・名称】(以下「甲」という。)が提供するシェアオフィス・レンタルスペース(以下「本施設」という。)の会員利用条件を定めるものである。

第1条(規約の適用) 1. 本規約は、民法第548条の2に定める定型約款として、甲と会員との間の本施設利用契約(以下「本契約」という。)の内容を構成する。 2. 会員は、本施設の利用申込みをした時点で本規約の内容に同意したものとみなす。

第2条(施設利用の性質) 1. 本契約は、甲が会員に対し本施設の共用スペース又は指定の個室・固定席(以下「利用スペース」という。)を、業務の用に供する目的で利用させるサービス利用契約であり、特定の空間を独占的排他的に賃貸するものではないことを甲乙相互に確認する。 2. 本契約は、借地借家法にいう建物の賃貸借契約には該当しないものとする。

第3条(会員種別・利用料) 1. 会員種別は、【固定席会員・フリーアドレス会員・法人登記会員・時間利用会員等】とし、会員種別ごとの利用料は別紙料金表のとおりとする。 2. 会員は、利用料を毎月【支払時期】までに甲の指定口座又は決済方法により支払う。

第4条(利用時間・共用設備) 1. 会員は、甲が定める利用可能時間内において、会議室、通信回線、複合機その他の共用設備を利用することができる。 2. 会議室の利用は、甲が定める予約システムによる事前予約制とする。

第5条(法人登記・本店所在地としての利用) 1. 甲が別途承諾した会員に限り、本施設の住所を自己の法人の本店所在地又は営業所所在地として登記することができる。 2. 会員は、登記に伴い商業登記法その他関係法令上必要な手続を自己の責任で行うものとし、甲は郵便物の受領・転送サービスを別途定める条件で提供することができる。

第6条(遵守事項) 会員は、本施設の利用にあたり、他の会員の業務を妨げる行為、施設内の設備を毀損する行為、法令又は公序良俗に反する事業活動を行ってはならない。

第7条(禁止業種) 会員は、本施設を反社会的勢力に関係する事業、貸金業、風俗営業その他甲が別途定める禁止業種の用に供してはならない。

第8条(退会・利用停止) 1. 会員は、【 】日前までに甲に届け出ることにより退会することができる。 2. 甲は、会員が本規約に違反したとき、又は利用料の支払を【 】か月分以上怠ったときは、催告のうえ当該会員の利用を停止し、又は本契約を解除することができる。

第9条(規約の変更) 甲は、民法第548条の4に基づき、本規約の変更が会員の一般の利益に適合するとき、又は契約目的に反せず変更の必要性・相当性が認められるときは、会員への周知をもって本規約を変更することができる。

第10条(免責事項) 甲は、会員が本施設内に持ち込んだ物品の盗難・破損について、甲の故意又は重大な過失による場合を除き、責任を負わない。

以上

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 運営事業者向け(借地借家法の適用を避けたい場合)

A-1 第2条の修正例 「本契約は、会員に対し特定の空間の独占的排他的占有を許諾するものではなく、共用スペースの利用及び付随するオフィスサービス(受付、郵便物受領、会議室予約等)の提供を内容とするサービス契約である。固定席・個室を利用する会員種別についても、座席・個室の位置は甲の判断により変更されることがある。」 一言解説: 運営事業者にとっては、特定空間の独占的占有性を否定し座席変更権限を留保しておくことが、借地借家法の建物賃貸借に該当しないことの裏付けとして重要である。

B節: 会員(利用者)向け(法人登記利用時の注意点)

B-1 第5条への追加確認 「会員は、本施設を本店所在地として登記した後、退会する場合には、退会前に登記上の本店所在地を変更する登記手続を完了させるものとし、退会後も登記変更が未了である場合、甲は当該会員宛ての郵便物の転送を停止することができる。」 一言解説: 法人登記の本店所在地として利用する会員は、退会時に登記変更を怠ると法人の本店所在地が消滅した施設のままになるリスクがあるため、退会前の登記変更完了を自身のタスクとして管理する必要がある。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、複数の利用者(会員)が共用スペースやオフィスサービスを利用するシェアオフィス・コワーキングスペースの利用規約として使用する。特定の会員に対し独立した個室を長期間・独占的に貸し渡し、実質的に建物の一部を賃貸するのと変わらない利用形態の場合には、借地借家法の適用が問題となりうるため、本書式の建付け(サービス利用契約)がそのまま妥当するかを慎重に検討する必要がある。

根拠法令は、多数の会員に画一的な条件で提供するサービスであることから、民法第548条の2以下に定める定型約款の規律が適用される。定型約款は、相手方の個別の同意なく契約内容として組み入れることができる一方、相手方の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは合意をしなかったものとみなされる(第548条の2第2項)。また、約款の変更については第548条の4に基づき、変更が会員の一般の利益に適合する場合、又は契約目的に反せず、変更の必要性、相当性等に照らして合理的なものである場合に限り、個別の同意なく変更が認められる。法人登記の本店所在地としての利用を認める場合は、商業登記法上の本店所在地の実在性が問題となることもあり、いわゆるバーチャルオフィス的な利用については、金融機関の口座開設や許認可申請において追加確認を求められる場合がある点も実務上の留意点である。

実務でよくある失敗の一つ目は、固定席や個室を提供する会員種別について、特定の座席・個室を長期間独占的に使用させる実態がありながら、規約上は「独占的排他的占有ではない」とのみ記載し、実態と規約の乖離が生じることである。A節のように、座席変更の可能性を実際に留保し、運用上も定期的な座席入替えを行うなど、独占的占有性を否定する実態を伴わせる必要がある。

二つ目の失敗は、規約変更の手続を民法第548条の4の要件に沿って行わず、一方的な値上げ等を通知のみで実施し、会員から異議を受けることである。第9条のように変更の要件(一般利益適合性又は必要性・相当性)を意識した運用と、変更内容の周知方法をあらかじめ定めておくことが重要である。

三つ目の失敗は、禁止業種の会員を審査せずに受け入れてしまい、反社会的勢力の関与や違法な事業活動が発覚し、他の会員の信用に悪影響が及ぶことである。第7条のように禁止業種を明記し、入会審査及び発覚時の利用停止・契約解除の手続を整備しておく必要がある。

利用形態の実態によっては建物賃貸借と評価されるリスクがあり、また法人登記利用の可否は金融機関等の実務運用にも左右されるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 本契約が定型約款(民法第548条の2)に該当することを前提に規約を構成したか
  • [ ] 独占的排他的占有ではなくサービス利用契約である実態を担保する運用があるか
  • [ ] 会員種別ごとの利用料・利用条件を別紙等で明確にしたか
  • [ ] 会議室予約等の共用設備利用ルールを定めたか
  • [ ] 法人登記(本店所在地)利用の可否と手続を定めたか
  • [ ] 禁止業種・反社会的勢力排除条項を定めたか
  • [ ] 退会手続と利用料滞納時の利用停止・解除手続を定めたか
  • [ ] 規約変更の要件(民法第548条の4)に沿った変更手続を定めたか
  • [ ] 持込み物品の盗難・破損に関する免責範囲を明記したか
  • [ ] 借地借家法の適用の有無について実態と規約の整合性を検討したか