社有車の使用予約と走行実績を一枚で管理する様式です。行先、用務、走行距離、給油、返却時の状態確認欄を備えます。提出先や保存期間の目安もあわせて整理しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
社有車使用申請書兼運転日誌
第1部: 書式本文
本様式は、社有車の使用予約時に運転者が記入する「申請部」と、使用後に走行実績を記録する「運転日誌部」を一体化した書式である。提出先は【車両管理者/安全運転管理者】とし、原則として使用日の【前日営業時間内】までに申請部を提出し、使用後は返却時に運転日誌部を記入のうえ速やかに提出するものとする。
A. 申請部(使用前に記入)
- 【申請日】
- 【申請者氏名・所属部署】
- 【運転免許証番号・有効期限】(初回登録時及び更新時に確認)
- 【使用予定日時】(出発予定時刻・帰着予定時刻)
- 【使用車両】(車両番号・車種)
- 【使用目的・用務先】(訪問先名称、業務内容の概要)
- 【同乗者氏名】(同乗者がいる場合)
- 【経由地】(複数箇所訪問の場合)
- 【承認欄】(車両管理者又は安全運転管理者の承認印・承認日時)
- 【アルコールチェック(出発前)】(実施日時・確認方法・測定結果・確認者名)
B. 運転日誌部(使用後に記入)
- 【出発時刻】及び【出発時走行距離(オドメーター値)】
- 【帰着時刻】及び【帰着時走行距離(オドメーター値)】
- 【走行距離合計】(帰着時走行距離-出発時走行距離)
- 【訪問先ごとの走行区間・時刻】(複数訪問先がある場合の内訳)
- 【給油の有無】(給油日時、給油量、給油金額、支払方法(法人カード・立替等))
- 【運転者以外の使用者(交代運転者がいる場合)】
- 【車両の異常・損傷の有無】(発見時刻、内容、写真添付の有無)
- 【交通違反・事故の有無】(発生時刻、場所、概要、警察届出の有無)
- 【アルコールチェック(帰着後)】(実施日時・確認方法・測定結果・確認者名)
- 【返却時の状態確認】(車内清掃状況、燃料残量、車両備品(車検証、任意保険証券等)の有無)
- 【車両管理者確認欄】(返却確認印・確認日時)
- 【特記事項】(次回使用者への申し送り事項等)
C. 提出先及び保存期間の目安
- 提出先:申請部は使用前に【車両管理者又は安全運転管理者】へ、運転日誌部は返却後【当日中】に同提出先へ提出する。
- 保存期間の目安:本様式は、道路運送車両法第48条に定める点検記録簿等との整合を図る観点から、記入完了日から起算して【1年間】保存することを目安とする。事故が発生した回については、保険求償や損害賠償請求権の消滅時効(民法第724条、人身損害につき同法第724条の2)を考慮し、【5年間】保存することが望ましい。
- 保存方法:紙媒体で保存する場合は施錠可能な保管庫、電子データで保存する場合はアクセス権限を限定したシステムを用いる。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 使用する従業員(申請者)の立場での修正パターン
- 急な使用に対応する場合:申請部の提出期限に関する注記に「緊急業務により前日までの申請が困難な場合は、出発前に口頭又は電話で仮承認を得たうえで、事後速やかに書面を提出することができる」との但し書きを追加する。緊急対応と手続の実効性を両立させる趣旨である。
- 長距離・宿泊を伴う使用の場合:申請部に「【宿泊先】及び【帰着予定日】」の記入欄を追加する。日帰り使用を前提とした標準様式では捕捉できない情報を補う趣旨である。
- 複数人での共同使用の場合:運転日誌部に「運転交代のたびに、交代時刻・オドメーター値・交代後運転者名を記録する」旨の注記を追加する。運転者ごとの責任範囲を明確にするためである。
B節: 車両管理者の立場での修正パターン
- 稼働管理を強化する場合:C項に「車両管理者は、月末に全車両の運転日誌部を集計し、車両ごとの月間走行距離・稼働率を管理台帳に転記する」を追加する。車両の適正配置や更新時期の判断材料とする趣旨である。
- 給油記録の証憑管理を強化する場合:B項5号に「給油時のレシート又は法人カード利用明細を運転日誌部に添付するものとする」との注記を追加する。経費精算の正確性を担保する趣旨である。
- 返却時チェックを厳格化する場合:B項10号に「車両管理者は、返却時に運転者立会いのもとボディの傷・凹みの有無を目視確認し、前回使用時との差異があれば写真を撮影し記録する」を追加する。損傷発生時期の特定を容易にし、負担者を明確にする趣旨である。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
使う場面・使ってはいけない場面についての解説
本様式は、社有車を複数の従業員が交代で使用する会社において、使用予約と走行実績の記録を一体的に管理する目的で使用する。1人の従業員が特定の1台を専属的に使用し続ける場合(いわゆる専用車扱い)には、毎回の使用申請よりも月次・週次の運行計画表による管理の方が実務上効率的な場合があり、その場合は本様式を簡略化した運用に置き換えることが望ましい。また、本様式は事故発生時の詳細な調査報告書を兼ねるものではないため、重大事故が発生した場合は別途「事故報告書」を作成する必要がある。
根拠法令の解説
道路交通法施行規則第9条の10は、安全運転管理者の業務として、運転者の状況把握、運行計画の作成、点呼等による安全運転の指示、酒気帯びの有無の確認等を定めており、本様式の申請部・運転日誌部はこれらの業務を実務上支えるための記録として機能する。特に同条第1項第6号に定めるアルコールチェックの記録は、出発前・帰着後の両方について記録を残すことが求められる運用が一般化している。また、道路運送車両法第48条は自動車の使用者に対し定期点検整備記録簿の作成・保存を義務付けており、日常点検の実施状況を運転日誌に記録しておくことは、この記録簿を補完する資料としても有用である。
よくある失敗と条項上の対策についての解説
第一に、走行距離をオドメーターの実測値ではなく目算やナビの表示に頼って記録し、給油量・燃費の管理が不正確になる失敗がある。B項1号・2号のように出発時・帰着時それぞれの実測値記入欄を設けて対策する。第二に、車両の損傷を発見しても記録を残さず、後日別の使用者との間で責任の所在をめぐるトラブルになる失敗がある。B項7号及びC項2号のように、発見時の記録と写真添付、返却時の相互確認を明記して対策する。第三に、様式を作成しただけで保存期間や保存方法を定めておらず、事故時に過去の運行記録を遡って確認できない失敗がある。C項2号のように保存期間の目安と時効期間を踏まえた保存を明記して対策する。なお、業種や車両の使用頻度によって適切な記録項目・保存期間は異なるため、個別事案については弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 申請部の提出期限(使用前日等)を運用実態に合わせて設定したか
- [ ] 運転免許証の有効性を確認する欄を設けたか
- [ ] 使用目的・用務先を具体的に記入させる欄を設けたか
- [ ] 出発前・帰着後それぞれのアルコールチェック記録欄を設けたか
- [ ] 出発時・帰着時のオドメーター実測値記入欄を設けたか
- [ ] 給油記録(日時・量・金額・支払方法)の記入欄を設けたか
- [ ] 車両の異常・損傷を発見した場合の記録欄を設けたか
- [ ] 交通違反・事故発生時の記入欄と警察届出有無の欄を設けたか
- [ ] 返却時の車両管理者による確認欄を設けたか
- [ ] 提出先(車両管理者・安全運転管理者)を明記したか
- [ ] 保存期間の目安(通常時・事故発生時)を定めたか
- [ ] 紙媒体・電子データいずれで運用するか、保管方法を決定したか