名誉を毀損された被害者が、民法第723条の名誉回復に適当な処分として、新聞紙面や自社サイトへの謝罪広告の掲載を求める請求書です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
謝罪広告掲載請求書
第1部: 書式本文
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表題 「謝罪広告掲載請求書」と明記し、通知書であることが一見して分かるようにする。
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作成年月日 【発送年月日:西暦・元号】
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宛先(名誉毀損の加害者) 〒【郵便番号】【住所】 【加害者の氏名又は名称・代表者役職氏名】殿
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差出人(名誉を毀損された被害者) 〒【郵便番号】【住所】 【被害者の氏名又は名称】 (代理人がいる場合)代理人【氏名】
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前文 「貴殿は、下記記載の行為により当方の名誉を著しく毀損しました。本書をもって、民法第723条に基づき、名誉回復に適当な処分として下記内容の謝罪広告の掲載を請求いたします。」
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事実経過(名誉毀損行為の特定) 「貴殿は、【西暦年月日】、【媒体名・URL・発行部数等】において、当方について『【具体的表現を引用】』との事実を摘示し、又はこれに類する表現を用いて公表しました。当該摘示事実は【真実でない/公共の利害に関しない/専ら公益を図る目的でない】ものであり、これにより当方の社会的評価は著しく低下しました。」
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法的根拠 「民法第723条は、名誉を毀損された者の請求により、裁判所は損害賠償に代えて又は損害賠償とともに名誉回復に適当な処分を命じることができると定めています。最高裁判所昭和31年7月4日大法廷判決は、単純な事実の陳謝広告を新聞紙に掲載することを命じる程度のものは、加害者の意思決定の自由や良心の自由を侵害するものではなく、代替執行(民事執行法第171条)になじむ処分であると判示しています。当方は、貴殿の行為が名誉毀損の3要件(社会的評価の低下・違法性阻却事由の不存在・故意又は過失)をいずれも充足すると判断し、本請求に至りました。」
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請求事項(掲載媒体・サイズ・期間・文言の特定) 「貴殿におかれては、下記条件により謝罪広告を掲載されたく請求します。 ①掲載媒体:【新聞名・自社ウェブサイトURL等】 ②掲載箇所・サイズ:【朝刊社会面下段・縦〇段×横〇センチ等】 ③掲載期間:【〇日間、常時掲載の場合はその旨】 ④掲載文言:別紙記載のとおり(単なる事実の陳謝表現に限定し、貴殿の主観的評価や謝罪の動機に関する記載は含めない) ⑤書体・活字の大きさ:【指定があれば記載】」
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別紙(謝罪文案) 「当社が【西暦年月日】に【媒体】において公表した記事は事実に反するものであり、〇〇様の名誉を毀損しました。ここに深く陳謝し、記事を撤回いたします。【加害者名】」
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回答期限 「本書到達後【14日以内】に、上記請求への諾否及び具体的な掲載スケジュールを書面にて回答されたく申し入れます。」
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不履行の場合の対応予告 「期限内に誠実な回答がない場合、当方は名誉毀損に基づく損害賠償請求及び名誉回復処分を求める訴訟提起、並びに謝罪広告掲載の代替執行の申立てを検討いたします。」
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証拠の保全に関する付言 「貴殿による該当表現の削除・改変が行われた場合であっても、当方は既に証拠を保全済みであることを申し添えます。」
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末尾文言 「以上、通知いたします。」
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差出人署名・押印欄 【氏名】㊞
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 請求する側(名誉を毀損された被害者)の書き換え例
「当方は本件記事により、取引先【複数】から契約継続の可否について問い合わせを受けるなど、具体的な信用毀損の事実が生じております。」
一言解説: 社会的評価の低下が抽象的な可能性にとどまらず、現実の取引や評判に影響したことを具体的に記載すると、名誉回復処分の必要性を裏付ける事情として説得力が増す。
「本請求は損害賠償請求権を放棄する趣旨ではなく、名誉回復処分と並行して別途損害賠償請求権を留保します。」
一言解説: 民法第723条の処分は損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに命じられ得るため、両請求の関係を明確にしておくと後の訴訟で齟齬が生じない。
B. 請求を受けた側(表現行為を行った側)の回答書き換え例
「貴請求記載の記事は、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的で摘示されたものであり、かつその重要な部分について真実であると信ずるにつき相当の理由があったものです。」
一言解説: 違法性阻却事由(真実性・相当性の抗弁)を具体的根拠とともに主張することが、謝罪広告義務を争う際の中心的な防御方法となる。
「請求記載の謝罪文案には当方の内心の評価表明を含む部分があり、代替執行になじまない内容と考えます。掲載文言を単純な事実の陳謝表現に限定した修正案を添付します。」
一言解説: 昭和31年最高裁判決の射程は「単純な事実の陳謝」に限られるため、謝罪の動機や反省の程度に踏み込む文言は争いの対象になりやすく、修正提案で対応する。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、新聞記事・雑誌・ウェブ記事・SNS投稿等により社会的評価を低下させる事実が摘示され、示談交渉の前段階として任意の是正を求める場合に用いる。事実摘示ではなく単なる意見や論評にとどまる表現(名誉感情の侵害にとどまる場合)には、謝罪広告よりも侮辱に基づく損害賠償請求が適合的であり、本書式の適用対象外である。
根拠法令の解説 中心となる根拠は民法第723条(名誉毀損における原状回復処分)である。判例上の指針として最高裁判所昭和31年7月4日大法廷判決があり、謝罪広告命令が加害者の良心の自由(憲法第19条)を侵害しないとされる範囲は、単純な事実の陳謝広告に限定される。掲載の強制執行段階では民事執行法第171条(代替執行)が問題となる。
実務でよくある失敗と条項上の対策 第一に、掲載文言に加害者の主観的反省や謝罪の動機を盛り込みすぎ、代替執行になじまないとして裁判所に処分内容を認められないケースがある。対策として、別紙文案は「事実の摘示が誤りであった」という客観的陳謝表現にとどめる。第二に、掲載媒体・サイズ・期間を特定しないまま請求し、相手方から誠実な回答を得られないケースがある。対策として、請求事項において媒体名・掲載箇所・サイズ・期間・書体を具体的に定める。第三に、名誉毀損の3要件(社会的評価の低下・違法性阻却事由の不存在・故意過失)の主張立証を欠いたまま請求書を送付し、相手方の真実性・相当性の抗弁に対抗できないケースがある。対策として、事実経過欄に摘示事実の真実性を争う根拠を具体的に記載する。なお、個別の事案における名誉毀損の成否や謝罪広告の内容の適否は、事案ごとの事情により異なるため、送付前に弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 摘示された事実を正確に特定し、引用又は要約したか
- [ ] 社会的評価の低下を基礎づける具体的事情(取引減少・風評等)を把握したか
- [ ] 違法性阻却事由(真実性・相当性・公益目的)の不存在を検討したか
- [ ] 加害者の故意又は過失を基礎づける事情を確認したか
- [ ] 掲載媒体・箇所・サイズ・期間・書体を具体的に特定したか
- [ ] 謝罪文案が単純な事実の陳謝にとどまり、加害者の内心評価に踏み込んでいないか確認したか
- [ ] 回答期限を明記したか
- [ ] 損害賠償請求権を留保する旨を明記したか
- [ ] 証拠(記事の写し・魚拓・スクリーンショット等)を保全済みか
- [ ] 訴訟に発展した場合の代替執行の可能性を検討したか
- [ ] 送付方法(内容証明郵便等)を選定したか
- [ ] 個別事案について専門家への確認を予定しているか