増資により計上する資本金の額が適正であることを代表者が証明する書面。会社計算規則第14条の算定方法と、商業登記の添付書面としての位置づけを解説しています。
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資本金の額の計上に関する証明書
第1部: 書式本文
本書式は、募集株式の発行等により資本金の額が増加する場合に、増加後の資本金の額の計上が会社計算規則の定める算定方法に従って適正に行われたことを、会社の代表者が証明するために作成する書面である。登記申請書に添付し、登記官が資本金の額の計上根拠を確認できるようにする趣旨で用いられる。
証明書本体
資本金の額の計上に関する証明書
当会社の資本金の額【増加後の資本金の額】円は、会社計算規則第14条第1項の規定に従い、次のとおり計上されたことに相違ないことを証明する。
記
- 払込み又は給付を受けた財産の額(募集株式の発行の場合) 金【払込金額の総額】円
- 資本金として計上する額に関する募集事項の定め 【資本金等増加限度額の2分の1を下回らない額を資本金とする旨等】
- 資本金として計上しないこととした額(資本準備金に組み入れる額) 金【資本準備金組入額】円
- 算定の根拠 会社計算規則第14条第1項各号所定の算式による
【証明年月日】 【会社名】 代表取締役 【氏名】 ㊞
記載必須項目一覧
- 増加後の資本金の額(登記すべき事項として登記申請書に記載する額と一致させる)。
- 払込み・給付を受けた財産の額または合併等の対価の額(資本金等増加限度額の算定基礎となる数値)。
- 資本金として計上する額の定め方(募集事項・組織再編契約等における定めの引用)。
- 資本準備金その他資本金として計上しない額の内訳。
- 会社計算規則上の算定根拠となる条項の明示。
- 証明年月日および代表者の記名押印。
本証明書は、募集株式の発行のほか、新株予約権の行使、株式交付、合併・会社分割・株式交換・株式移転といった組織再編行為に伴う資本金の額の増加登記でも共通して用いられる書式である。ただし、行為の類型によって会社計算規則第14条第1項各号のいずれが適用されるかが異なるため、証明書の記載内容(算定の基礎となる財産の額、控除項目の有無)を行為類型に応じて修正する必要がある。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 登記申請用(添付書面として提出する場合)
修正条文例:
当会社は、募集株式の発行に係る払込金額の総額【払込金額の総額】円のうち、株式会社が資本金として計上する額として2分の1に相当する金【資本金組入額】円を資本金に組み入れ、残余の金【資本準備金組入額】円を資本準備金に計上した。この計上は会社計算規則第14条第1項第1号の規定によるものである。
一言解説: 登記申請書に記載する「変更後の資本金の額」と本証明書に記載する算定過程の数値が一致しているかを、提出前に必ず突合する。金額の端数処理(円未満切り捨て等)についても、募集事項の定めに従った処理であることを明記しておくと審査がスムーズになる。
B節: 代表者作成(合併・会社分割等の組織再編に伴う資本金計上の場合)
修正条文例:
当会社が吸収合併により承継した財産の額から負債の額を控除して得た額のうち、合併契約において資本金として計上すると定めた額は金【資本金計上額】円である。この計上は会社計算規則第14条第1項第2号又は第3号(組織再編の類型に応じた号)の規定によるものである。
一言解説: 合併・会社分割・株式交換等の組織再編行為に伴う資本金の計上は、募集株式の発行の場合と算定式が異なるため、証明書上でどの類型の行為に基づく計上であるかを明示し、適用条項の号数を正確に引用する必要がある。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、募集株式の発行、新株予約権の行使、組織再編行為等、会社法上の行為により資本金の額が増加し、これに伴う変更登記を申請する場面で用いる。他方で、資本金の額を減少する場合や、株式無償割当てのように資本金の額に変動が生じない行為の登記には、性質の異なる書面(株主総会議事録等)が必要であり、本書式をそのまま流用することはできない。また、資本金の額が変動しない範囲での剰余金の資本組入れについても、募集株式の発行とは異なる算定過程を経るため、証明書の記載項目を個別に見直す必要がある。
根拠法令としては、会社計算規則第14条第1項が、募集株式の発行等における資本金の額の計上について、払込み又は給付された財産の額を基礎として算定する方法を定めている。商業登記の実務上、登記すべき資本金の額が会社法及び会社計算規則の定める算定方法に従って計上されたものであることを確認するための添付書面として、代表者が作成した証明書の提出が求められる取扱いとなっている。これは、資本金の額という登記事項が第三者の信頼の基礎となる情報であることから、その計上過程を書面上で跡付けられるようにする趣旨によるものと考えられる。
実務でよくある失敗として、第一に、資本金等増加限度額の算定過程で控除すべき項目(株式発行費用のうち資本金等増加限度額から控除できるものとできないものの区別等)を誤り、証明書記載の金額と実際の払込金額が整合しなくなる例が挙げられる。募集事項決定時に算定根拠の計算過程を別紙として保存し、証明書作成時に再確認する対策が有効である。第二に、資本金として計上する額と資本準備金として計上する額の合計が、払込金額の総額と一致しないという単純な計算誤りである。証明書を作成する段階で、資本金計上額と準備金計上額を合算し、払込金額の総額と突き合わせる検算の工程を設けることが対策となる。第三に、募集事項において資本金等増加限度額の2分の1を下回らない額を資本金とする旨を定めていたにもかかわらず、実際の計上額がこれを下回ってしまう例であり、会社法第445条第2項及び第3項の規律に反するおそれがあるため、証明書作成前に募集事項の定めと計上額を照合する工程を挟むことが望ましい。第四に、複数回に分けて払込みを受ける募集株式の発行(分割払込み)において、払込期日ごとの払込金額を合算する際に集計を誤り、証明書記載の払込金額の総額が実際の払込金額と一致しないという事例もある。払込みを受けるたびに払込取扱金融機関の残高証明や通帳の記録と照合し、最終的な合計額を証明書作成時に再集計する運用が対策となる。なお、算定方法の適用条項や個別の計算過程の適否については、税理士や司法書士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 増加後の資本金の額が登記申請書記載の額と一致しているか確認したか
- [ ] 払込み又は給付を受けた財産の額(払込金額の総額)を正確に記載したか
- [ ] 資本金として計上する額と資本準備金として計上する額の合計が払込金額の総額と一致しているか検算したか
- [ ] 募集事項において定めた資本金組入れの基準(2分の1基準等)を遵守しているか確認したか
- [ ] 組織再編行為による計上である場合、適用される会社計算規則第14条の号数を正確に特定したか
- [ ] 株式発行費用等、資本金等増加限度額の算定において控除すべき項目の扱いを確認したか
- [ ] 代表取締役の記名押印がなされているか確認したか
- [ ] 証明書の作成年月日が払込期日又は効力発生日以降になっているか確認したか
- [ ] 端数処理(円未満切り捨て等)の方法が募集事項の定めと整合しているか確認したか