信用保証を委託して金融機関から融資を受ける場面の契約書。民法第459条の受託保証人の求償権を軸に、保証料と代位弁済後の求償条件を定めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
信用保証委託契約書
第1部: 書式本文
【保証委託者(借主)商号】(以下「甲」という。)、【保証人商号】(以下「乙」という。)及び【連帯保証人氏名】(以下「丙」という。)は、甲が金融機関から融資を受けるにあたり乙に信用保証を委託することに関し、次のとおり信用保証委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(信用保証の委託) 甲は、甲が【金融機関商号】(以下「取扱金融機関」という。)から金【 】円の融資を受けるにあたり、乙に対し当該融資債務についての信用保証を委託し、乙はこれを引き受ける。
第2条(受託保証人の求償権) 乙が取扱金融機関に対し甲の債務を保証したことに基づき代位弁済を行ったときは、乙は甲に対し、民法第459条に定める受託保証人の求償権に基づき、その支出した財産の額(当該財産の額がその代位弁済等をした日以後の法定利息を超えるときは、その超過部分を含む)及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を求めることができる。
第3条(保証料) 甲は、乙に対し、本契約に基づく信用保証の対価として、保証料金【 】円(又は融資額に対し年【 】パーセントの割合による保証料)を、【融資実行時に一括/毎年〇月〇日】支払う。
第4条(代位弁済) 甲が取扱金融機関に対する分割返済を【 】回以上延滞したとき、その他取扱金融機関との間の融資契約に基づき期限の利益を喪失したときは、乙は取扱金融機関からの請求に基づき、甲に代わって取扱金融機関に対し残債務を代位弁済する。
第5条(代位弁済後の求償権の範囲) 乙が代位弁済したときは、甲は乙に対し、代位弁済額、これに対する代位弁済日の翌日から支払済みまで年【 】パーセントの割合による違約金及び代位弁済に要した費用を支払う。
第6条(弁済による代位) 乙が代位弁済したときは、民法第499条及び第500条の規定により、乙は取扱金融機関が甲に対して有していた債権及びこれに付随する担保権を、求償権の範囲内で代位取得する。
第7条(連帯保証) 丙は、甲の乙に対する求償債務(第2条、第5条に基づく債務を含む。)につき、甲と連帯して保証する。
第8条(担保の提供) 甲は、乙の求めに応じ、乙の求償権を担保するため、【担保目的物】について乙のために担保権を設定する。
第9条(報告義務) 甲は、乙及び取扱金融機関からの求めに応じ、財務状況その他信用状況に関する情報を提供する。
第10条(協議及び合意管轄) 本契約に関する紛争については、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上を証するため本書3通を作成し、甲乙丙記名押印の上、各自1通を保有する。
【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
(甲) 住所:【 】 商号:【 】 代表者:【 】 印 (乙) 住所:【 】 商号:【 】 代表者:【 】 印 (丙) 住所:【 】 氏名:【 】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 保証委託者(借主)向け書き換え
A-1. 代位弁済後の違約金負担を軽減したい場面
第5条修正例:「代位弁済に対する違約金の利率は年【10】パーセントとし、甲が代位弁済日から【1】か月以内に一部でも支払を行った場合は当該部分について違約金を付さない。」 解説: 早期の自主的な返済を促すインセンティブを設け、違約金の負担を実質的に軽減する余地を残す。
A-2. 連帯保証人の負担を限定したい場面
第7条修正例:「丙の連帯保証責任は、求償債務の元本部分に限るものとし、違約金及び費用相当額には及ばない。」 解説: 保証人の予測可能性を高めるため、保証範囲を求償元本に限定する。
B. 保証人向け書き換え
B-1. 信用保証協会等の公的保証を想定した設計の場面
第2条追加例:「乙の求償権の行使にあたっては、中小企業信用保険法その他関係法令及び乙の業務方法書の定めるところによる。」 解説: 信用保証協会が保証人となる場合、求償権の内容や範囲は業務方法書等の内部規程にも従うため、その旨を確認的に明記する。
B-2. 代位取得する担保権の対抗要件を確実にしたい場面
第6条修正例:「取扱金融機関は、乙の代位弁済と同時に、被担保債権に付された担保権の移転につき必要な付記登記手続に協力する。」 解説: 代位により取得する担保権を確実に行使できるよう、取扱金融機関の協力義務を明記する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、企業等が金融機関から融資を受けるにあたり、信用保証協会その他の保証機関に保証を委託し、保証料を支払う場面で用いる。信用保証協会保証付き融資の場合、実際の保証条件や求償権の内容は各信用保証協会の業務方法書及び関係法令(中小企業信用保険法等)に従うため、本書式は一般的な枠組みを示すものであり、実際の手続では保証協会所定の様式が優先されることが多い。単なる連帯保証人による保証(保証料を伴わない個人保証)の場合は、根保証契約書等の通常の保証書式を用いるべきである。
根拠法令 受託を受けて保証をした保証人(受託保証人)が債務者のために弁済その他自己の財産をもって免責を得たときは、民法第459条に基づき、債務者に対し求償権を有する。求償の範囲は、支出した財産の額(法定利息を超える部分を含む)及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償に及ぶ。乙が代位弁済したときは、民法第499条及び第500条により弁済による代位が生じ、原債権及びこれに付随する担保権を求償権の範囲内で行使できる。信用保証協会が保証人となる場合は、中小企業信用保険法に基づく信用保証制度の枠組みの下で行われ、同法及び関連する保険約款等の規律も及ぶ。
実務でよくある失敗と対策 第一に、保証料の算定根拠や支払時期を曖昧にし、後日保証料の未払いが問題になる失敗がある。第3条のように具体的な金額・料率及び支払時期を明記する。第二に、代位弁済後の求償権の範囲(違約金、費用等)を定めず、乙の回収額が実際の負担額を下回る失敗がある。第5条のように違約金・費用を含めた求償範囲を明記する。第三に、代位により取得する担保権の対抗要件具備を怠り、乙が担保権を実効的に行使できない失敗がある。第6条及びB-2修正例のように取扱金融機関の協力義務を明記する。信用保証協会等の公的保証機関を利用する場合は、当該機関所定の様式・手続を優先して確認する必要があり、専門家にも相談することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 保証委託の対象となる融資(金額・取扱金融機関)を特定したか
- [ ] 保証料の金額・料率及び支払時期を明記したか
- [ ] 代位弁済の要件(延滞回数等)を具体的に定めたか
- [ ] 代位弁済後の求償権の範囲(元本・違約金・費用)を明記したか
- [ ] 弁済による代位及び担保権の代位取得について確認したか
- [ ] 連帯保証人を設ける場合、その保証範囲を明確にしたか
- [ ] 求償権を担保するための担保提供の要否を検討したか
- [ ] 信用保証協会等の公的保証機関を利用する場合、当該機関の様式との整合を確認したか
- [ ] 財務状況等の報告義務の内容・頻度を定めたか