発注担当者向けに3条書面の記載事項をまとめた社内要領。下請代金支払遅延等防止法第3条の書面交付義務と第5条の書類作成・保存義務に対応します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
下請法に基づく発注書面の記載要領
第1部: 書式本文
本要領は、購買・発注部門の担当者が下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)の適用を受ける取引を発注する際に、同法第3条書面(以下「発注書面」という。)を作成・交付するにあたって社内で確認すべき手順をまとめたものである。
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発注前の該非確認 発注担当者は、発注しようとする取引が下請法上の製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託のいずれかに該当し、かつ自社及び相手方の資本金区分から下請法の適用対象となるかを、発注前に社内の該非判定シートを用いて確認する。判定に疑義がある場合は、発注確定前に法務・内部監査部門へ照会する。
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発注書面の交付原則 下請法の適用対象と判定された取引については、下請法第3条に基づき、給付を委託した都度、直ちに発注書面を交付しなければならない。口頭発注のみで書面交付を後回しにする運用は禁止する。
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交付時期の例外的取扱い 正当な理由により記載事項の一部(下請代金の額等)を直ちに定めることができない場合は、当該事項を記載しない書面を交付したうえで、内容が確定次第、補充書面を速やかに交付する。この場合も、記載しなかった理由と補充予定時期を書面に明記する。
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記載事項の網羅性の確認 発注担当者は、発注書面に給付の内容、下請代金の額、支払期日、検査完了期日、受領場所その他公正取引委員会規則が定める必須記載事項が漏れなく記載されていることを、発注確定前に発注システム上のチェック項目に沿って確認する。
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支払期日の適法性確認 支払期日は、給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定めなければならない。発注担当者は、社内標準支払サイトが60日を超えていないかを都度確認する。
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手形・一括決済方式利用時の追加記載 手形交付又は一括決済方式による支払を予定する場合は、手形サイト又は割引困難性の有無、金融機関名等の追加記載事項を確認し、下請中小企業振興法関連の指導基準(手形サイトの短縮化)にも留意する。
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電磁的方法による交付 発注書面を電磁的方法(電子メール、EDI等)により提供する場合は、あらかじめ下請事業者の承諾を得たうえで、下請事業者が記録を出力して書面を作成できる方式によらなければならない。
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書類の作成・保存 下請法第5条に基づき、発注書面の写しのほか、給付・受領・検査・支払等に関する記録を作成し、取引終了後2年間保存する。保存責任者と保存場所を部門ごとに明確にする。
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記載事項の変更時の対応 発注後に納期、代金額等を変更する場合は、変更内容を記載した書面を改めて交付する。口頭合意のみで変更を進めることは禁止する。
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発注書面の社内承認フロー 発注担当者が作成した発注書面は、送付前に上長の承認を経るものとし、下請法の適用対象取引については承認欄に該非判定結果を明記する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 購買・発注部門向け
A-1 運用上の留意点: 情報成果物作成委託(ソフトウェア開発等)を発注する場合、第4項の記載事項確認において「給付の内容」を仕様書番号やバージョンで特定し、口頭での仕様変更を記載事項の変更として都度書面化する運用を徹底する。 一言解説: ソフトウェア開発委託は仕様変更が頻発しやすく、発注書面の記載内容と実際の作業指示がずれると、下請代金の算定根拠が不明確になり支払遅延のトラブルにもつながるため、変更管理を発注書面の運用に組み込む必要がある。
A-2 運用上の留意点: 継続的な製造委託で個別発注が多数に上る取引先については、基本取引条件を定めた基本契約書と、個別発注ごとの簡易発注書(第2項の即時交付を満たす様式)を組み合わせ、基本契約書に記載済みの事項は個別発注書での重複記載を省略できる旨を社内様式に明記する。 一言解説: 大量の個別発注がある取引先では、都度全項目を記載すると発注担当者の負担が大きいため、基本契約書と個別発注書を組み合わせる方式が公正取引委員会の運用でも認められており、業務効率化に資する。
B. 法務・内部監査部門向け
B-1 運用上の留意点: 第1項の該非判定について、四半期ごとに主要取引先との資本金区分の変動(増資・減資等)を確認し、判定結果を更新する棚卸しを実施する。 一言解説: 資本金額は取引先の増資等により変動し得るため、発注時点で下請法対象外と判定した取引先が後に対象取引先に変わる可能性があり、定期的な棚卸しがないと適用漏れに気づけない。
B-2 運用上の留意点: 第8項の書類保存について、電子データで保存する場合は改ざん防止のための版数管理・アクセスログの記録を行い、公正取引委員会の立入検査等に備えて検索性を確保する。 一言解説: 内部監査部門としては、紙書面の保存だけでなく電子データの保存体制についても改ざん防止と検索性の両面から検証しておくことが、調査対応の実効性を左右する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本要領は、下請法の適用対象となる可能性がある製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託を行う企業の購買・発注部門が、発注実務の中で3条書面の交付漏れや記載不備を防ぐために使用する。自社が下請法上の下請事業者側(受注側)にすぎず、親事業者としての交付義務を負わない取引にはそもそも適用がなく、社内要領としても混同しないよう注意が必要である。
根拠法令は下請代金支払遅延等防止法である。同法第3条は、親事業者が下請事業者に製造委託等をした場合、下請事業者の給付内容、下請代金の額その他の事項を記載した書面を直ちに交付しなければならない旨を定め、具体的な記載事項は公正取引委員会規則(下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則)により定められている。また同法第5条は、親事業者に対し、給付、給付の受領、下請代金の支払その他の事項について記載した書類等を作成し、これを保存する義務を課している。同法第4条は、受領拒否、下請代金の減額、返品、買いたたき等の禁止行為を定めており、発注書面の記載内容自体がこれらの禁止行為の有無を検証する資料にもなる。
実務でよくある失敗の一つ目は、口頭で発注し、書面交付を後日にまとめて行う運用が常態化することである。下請法は「直ちに」交付することを求めており、事後的な一括交付は違反となりうる。発注確定と同時に書面を発行するシステム上の仕組みを整えることが対策となる。
二つ目の失敗は、記載事項の一部(特に下請代金の額や検査完了期日)を空欄のまま発注書面を交付し、後日補充する運用について、補充書面の交付自体を失念することである。正当な理由がある場合の未定事項の取扱いには、補充書面の交付時期を管理する仕組みが必要である。
三つ目の失敗は、支払期日を社内標準の支払サイト(例えば月末締め翌々月末払い)のまま機械的に設定し、給付受領日からの起算で60日を超えてしまうことである。締め日と支払日の組み合わせによっては60日を超える場合があるため、取引ごとに実際の起算日から支払期日までの日数を検証する必要がある。
下請法の適用の有無や記載事項の充足性は取引の実態によって判断が分かれるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 発注しようとする取引の委託類型(製造・修理・情報成果物作成・役務提供)を特定したか
- [ ] 自社及び相手方の資本金区分から下請法の適用対象かを確認したか
- [ ] 発注書面を給付委託と同時又は直ちに交付する運用になっているか
- [ ] 記載事項が公正取引委員会規則の定める項目を網羅しているか
- [ ] 支払期日が給付受領日から起算して60日以内に設定されているか
- [ ] 手形・一括決済方式利用時の追加記載事項を確認したか
- [ ] 電磁的方法により交付する場合、相手方の事前承諾を得ているか
- [ ] 記載事項変更時に改めて書面を交付する運用になっているか
- [ ] 書類の作成・保存責任者と保存期間(2年間)を明確にしているか
- [ ] 該非判定の結果を発注書面の社内承認フローに反映しているか
- [ ] 主要取引先の資本金区分を定期的に棚卸ししているか