労働災害で法律上の賠償責任を負う場合に備えた保険の付保内容を確認する書面です。労災保険の上乗せ補償の範囲を明示します。必要事項を埋めるだけで短時間に整えられる書式です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
使用者賠償責任保険付保確認書
第1部: 書式本文
使用者賠償責任保険付保確認書
【発行日】令和【 】年【 】月【 】日 【発行者】【会社名】 【所在地】 【代表者役職・氏名】 【提出先/閲覧先】【従業員代表/労働組合/取引先名】殿
当社は、労働災害等により当社が法律上の損害賠償責任を負う場合に備え、下記のとおり使用者賠償責任保険に加入していることを確認します。
- 保険契約の対象保険会社【保険会社名】および証券番号【 】 記載要領:契約保険会社の正式名称と保険証券に記載された番号を正確に転記する。記入例「〇〇損害保険株式会社/証券番号1234567-8」
- 保険契約の種類【使用者賠償責任保険(法定外補償を含む/含まない)】 記載要領:政府労災保険の上乗せを目的とする商品か、単独商品かを明記する。
- 保険期間【令和【 】年【 】月【 】日から令和【 】年【 】月【 】日まで】 記載要領:始期・終期を年月日で明記し、自動更新条項の有無も付記する。
- 被保険者の範囲【当社および当社と雇用関係にある全従業員(正社員・契約社員・パートタイマー・派遣先として受け入れる派遣労働者を含む/含まない)】 記載要領:適用対象となる雇用形態を漏れなく列挙する。
- 支払限度額(対人)【1名につき金【 】円、1事故につき金【 】円】 記載要領:1名当たり限度額と1事故当たり限度額を分けて記載する。
- 支払限度額(総支払限度額・年間)【年間総支払限度額 金【 】円】 記載要領:保険期間内の累計支払上限を記載し、複数事故発生時の按分方法にも触れる。
- 労災保険の上乗せ補償の範囲【休業補償の上乗せ、後遺障害補償の上乗せ、死亡補償の上乗せ、遺族への見舞金相当額の補償】 記載要領:労災保険給付を超える部分のうち、どの損害項目を填補対象とするかを具体的に列挙する。
- 免責事由・支払われない場合【故意による事故、法令違反の是正を怠った結果としての反復事故、通勤災害の一部除外等】 記載要領:約款上の免責条項の主要なものを平易な言葉で要約する。
- 自己負担額(免責金額)【1事故につき金【 】円】 記載要領:保険金請求時に会社が負担する自己負担部分を明示する。
- 弁護士費用担保特約の有無【付帯あり/付帯なし】 記載要領:損害賠償請求への対応費用(争訟費用)が担保対象かを明記する。
- 保険料の負担者【当社が全額負担】 記載要領:従業員に費用負担を求めない旨を確認的に記載する。
- 保険事故発生時の連絡窓口【総務部リスク管理課 担当【 】 連絡先【 】】 記載要領:事故発生時に従業員・取引先が最初に連絡すべき社内窓口を明記する。
- 保険会社への通知期限の目安【事故発生(またはその危険を知った日)から【 】日以内】 記載要領:保険約款上の通知義務違反による支払拒否リスクを避けるため、社内目標期限を設定する。
- 本確認書の有効期間および見直し【保険更新のたびに再発行する】 記載要領:保険契約更新時に本書を改訂し、旧版を無効化する運用を明記する。
- 添付書類【保険証券の写し、重要事項説明書の写し】 記載要領:本確認書に添付する裏付け資料を列挙する。
- 照会先【総務部 担当者名【 】 電話【 】 メール【 】】 記載要領:本確認書の内容について疑義がある場合の照会窓口を明記する。
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 会社の立場からの書き換え
A-1. 社内向け周知文への転用 「当社は、業務中の事故により従業員が被災し、当社が使用者責任等に基づく損害賠償義務を負うと判断された場合に備え、使用者賠償責任保険(労災上乗せ保険)に加入しております。本保険は労災保険給付を上回る損害を填補することを目的としており、保険金額の詳細は総務部にて閲覧できます。」 一言解説:従業員への安心材料として周知する場面を想定し、保険の目的と閲覧方法を明示する言い回しにしている。
A-2. 取引先への提出用(元請からの付保証明要求への対応) 「当社は、貴社との請負契約の履行に際し従業員が被災した場合の使用者賠償責任について、下記保険により対応可能な体制を整えております。ただし、本書面は保険契約の存在および概要の確認にとどまり、個別事故における支払可否を保証するものではありません。」 一言解説:建設業等で元請から下請への付保証明提出要求に応じる場面を想定し、支払保証ではない旨を明確に区別している。
A-3. 保険未加入・限度額不足が判明した場合の是正文言 「本確認書記載の支払限度額は現行の従業員規模に照らして不足するおそれがあることが判明したため、当社は速やかに増額改定または追加保険の検討に着手する。」 一言解説:定期点検で保険内容の不備が見つかった際の社内是正記録として使う言い回し。
B節: 従業員・取引先の立場からの書き換え
B-1. 従業員代表としての受領確認 「当社従業員代表は、会社より本確認書の提示を受け、使用者賠償責任保険の加入状況について説明を受けたことを確認する。ただし、個別の労災事故が生じた場合の補償の可否・金額は、事故ごとの事実関係と約款により判断されるものであることを了解する。」 一言解説:説明を受けたことの記録であり、将来の補償を保証するものではない点を従業員側にも明確化している。
B-2. 取引先(発注者)としての確認依頼文 「貴社におかれましては、当社との業務委託に従事する貴社従業員が業務中に被災した場合に備え、使用者賠償責任保険への加入状況を証する書類(保険証券写し等)のご提出をお願いいたします。」 一言解説:発注者側が下請の保険加入を確認する場面での依頼文言。付保証明を求める根拠として使える。
B-3. 取引先が付保内容の不足を指摘する場合 「ご提示いただいた確認書の支払限度額は、想定される労働者数・作業内容に照らして十分とは言い難いため、限度額の見直しをご検討いただけますようお願いいたします。」 一言解説:現場のリスクに比して補償額が過小な場合の是正依頼として活用する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、会社が使用者賠償責任保険に加入していることを社内外に確認・周知する場面で用いる。従業員への安心材料の提供、元請・発注者からの付保証明要求への対応、保険内容の定期点検の記録として有用である。他方で、個別の労災事故における保険金支払の可否・金額を保証する目的で使ってはならない。支払可否は事故発生時の約款・免責条項・保険会社の査定に委ねられるため、本確認書はあくまで契約の存在と概要を示すものにとどめる必要がある。
法的な背景としては、労働契約法第5条が使用者に安全配慮義務を課しており、これに違反して労働者に損害を与えた場合、使用者は民法第415条(債務不履行)または民法第709条(不法行為)に基づく損害賠償責任を負い得る。労働者災害補償保険法に基づく労災保険給付はこの損害賠償責任を当然に填補するものではなく、給付額を超える慰謝料や逸失利益部分は使用者が自己負担するのが原則であるため、上乗せ補償としての使用者賠償責任保険が実務上重要となる。保険契約自体の権利義務関係は保険法の規律に服する。
よくある失敗として、第一に、保険金額(支払限度額)が実際の従業員数や賃金水準に照らして不足しているにもかかわらず放置されるケースがある。対策として、本書式の第7項目・第9項目のような限度額欄を定期的に見直し、従業員数や平均賃金の変動に応じて増額改定の要否を確認する運用を条項化するとよい。第二に、事故発生後の保険会社への通知が遅れ、約款上の通知義務違反を理由に支払が減額・拒否される例がある。対策として、第13項目のように社内の通知期限目標を明記し、リスク管理部門への即時連絡フローと連動させる。第三に、労災保険給付と上乗せ保険金の関係が従業員に十分説明されず、誤解に基づく紛争が生じる例がある。対策として、第7項目で填補対象を具体的に列挙し、労災保険との関係を平易に説明する運用を併記する。
なお、保険約款の解釈や個別事故における支払可否の判断は保険会社ごと・事案ごとに異なるため、個別事案は専門家(弁護士・保険代理店・社会保険労務士等)に確認の上で対応することが望ましい。本書式の記載をもって特定の保険金支払や損害賠償責任の存否を保証するものではない。
第4部: 使用前チェックリスト
- 保険証券記載の会社名・所在地と本書式の記載が一致しているか確認したか
- 保険期間の始期・終期および自動更新条項の有無を確認したか
- 支払限度額(対人・総支払限度額)が現在の従業員規模に照らして十分か検証したか
- 被保険者の範囲に派遣労働者・契約社員・パートタイマーが漏れなく含まれているか確認したか
- 労災保険の上乗せ補償として填補される損害項目を具体的に列挙したか
- 免責事由・支払われない場合の記載が最新の約款と整合しているか確認したか
- 弁護士費用担保特約の要否を検討したか
- 社内の事故発生時連絡窓口・通知期限が明記され、周知されているか
- 取引先から付保証明を求められた際の提出範囲・提出方法を事前に決めているか
- 本確認書の発行部署・改訂タイミング(保険更新時等)を定めたか
- 個人情報や取引先の秘密情報に該当する記載がないか確認したか
- 発行前に社内の法務・リスク管理部門および可能であれば専門家の確認を経たか