消防法第17条の3の3に基づく機器点検・総合点検を委託する契約書です。点検回数、報告書作成、不備事項の是正提案を規定します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
消防用設備等点検業務委託契約書
第1部: 書式本文
消防用設備等点検業務委託契約書
【防火対象物の関係者名】(以下「甲」という。)と【点検業者名】(以下「乙」という。)は、甲が管理する下記防火対象物に設置された消防用設備等の点検業務の委託に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
対象防火対象物:【名称・所在地】 設置消防用設備等:【消火器、屋内消火栓設備、自動火災報知設備、避難器具、誘導灯等を具体的に列挙】
第1条(目的) 本契約は、消防法第17条の3の3の規定に基づき、甲が防火対象物に設置する消防用設備等について、乙が定期に点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告する義務の履行を甲に代わって支援することを目的とする。
第2条(委託業務の内容) 乙は、消防法施行規則第31条の6の定めるところにより、次の点検業務を行う。 一 機器点検(外観点検及び機能点検を主とし、6か月ごとに1回実施) 二 総合点検(消防用設備等を作動させ、総合的な機能を確認する点検であり、1年ごとに1回実施) 三 点検の結果に基づく消防用設備等点検結果報告書の作成 四 不備事項が発見された場合の是正提案書の作成及び甲への説明
第3条(点検資格者) 乙は、消防法第17条の3の2に定める点検資格者(消防設備士又は消防設備点検資格者)をして点検業務に従事させるものとし、点検実施者の氏名及び資格の種別を点検の都度、甲に通知する。
第4条(点検の実施時期及び方法) 1 機器点検は毎年【4】月及び【10】月の年2回、総合点検は毎年【4】月の年1回実施する。 2 乙は、点検実施日の【2】週間前までに甲に日程を通知し、甲の立会いのもと点検を実施する。ただし、甲が立会いを要しない旨を通知したときはこの限りでない。 3 点検の対象範囲は、前記の設置消防用設備等の全部とし、増設又は変更があった場合は甲乙協議のうえ対象を見直す。
第5条(点検結果の報告) 1 乙は、点検終了後【2】週間以内に、消防用設備等点検結果報告書(消防法施行規則別記様式に準拠したもの)を作成し、甲に提出する。 2 甲は、消防法第17条の3の3に基づき、特定防火対象物にあっては1年に1回、非特定防火対象物にあっては3年に1回、乙作成の報告書を用いて消防長又は消防署長に報告する。当該報告は甲の名において行うものとし、乙は書類の作成を支援するにとどまる。
第6条(不備事項の是正提案) 1 乙は、点検の結果、消防用設備等に不良又は機能不全(以下「不備事項」という。)を発見したときは、遅滞なく甲に報告し、是正のために必要な措置及び概算費用を記載した是正提案書を提出する。 2 甲は、是正提案書の内容を踏まえ、修理・交換等の要否を決定する。是正工事の実施は本契約の対象業務に含まれず、別途契約によるものとする。 3 消防長又は消防署長から是正の指示があった場合、甲は速やかにこれを乙に通知し、乙は是正計画の策定に協力する。
第7条(委託料) 1 委託料は、機器点検及び総合点検を合わせて年額金【 】円(消費税別)とする。 2 甲は、各点検実施後、乙が発行する請求書に基づき【30】日以内に委託料を支払う。
第8条(緊急点検) 火災、地震その他の事由により消防用設備等に異常が生じた疑いがある場合、甲は乙に対し臨時点検を依頼することができる。この場合の費用は甲乙協議のうえ別途定める。
第9条(記録の保存) 乙は、点検記録及び報告書の写しを【3】年間保存し、甲の求めに応じて開示する。
第10条(秘密保持) 甲及び乙は、本業務に関連して知り得た防火対象物の構造、設備配置その他の情報を、業務遂行の目的以外に使用し、又は第三者に開示してはならない。
第11条(責任の範囲) 1 乙は、善良な管理者の注意をもって点検業務を行う。 2 乙の点検実施後に生じた消防用設備等の故障であって、点検時点において通常の点検方法により発見し得なかったものについては、乙は責任を負わない。
第12条(契約期間) 本契約の有効期間は【 】年【 】月【 】日から1年間とし、期間満了の【1】か月前までに甲乙いずれからも解約の申出がないときは、同一条件で1年間自動更新する。
第13条(解除) 甲又は乙は、相手方に本契約の重大な違反があり、催告後相当期間内に是正されないときは、本契約を解除することができる。
第14条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己及びその役員等が暴力団等反社会的勢力に該当しないことを表明し、保証する。
第15条(管轄裁判所) 本契約に関する紛争については、【 】地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
【 】年【 】月【 】日
甲(防火対象物の関係者) 住所: 名称: 代表者: 印 乙(点検業者) 住所: 名称: 代表者: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 防火対象物の関係者(甲)側で修正すべきポイント
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立会い省略時の記録確認方法 第4条第2項では立会い省略が可能とされているが、甲としては「立会いを省略した場合、乙は点検箇所ごとの写真記録を報告書に添付する」旨を追加し、非立会い時でも点検実態を事後検証できるようにすることが望ましい。
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是正工事の別途発注に関する調整 第6条第2項により是正工事は別契約となるが、甲としては「乙が是正提案書を提出した不備事項について、甲が乙以外の業者に是正工事を発注する場合、乙はその実施に必要な範囲で技術情報を提供する」旨の協力義務を追加すると、業者間の引継ぎが円滑になる。
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複数管理権原者がいる場合の費用分担 雑居ビル等で管理権原が分かれる防火対象物の場合、「本契約の委託料は、別紙に定める区分所有者間の負担割合に従い、甲の代表者が一括して支払う」旨を明記し、後日の費用負担紛争を防止する。
B節: 点検業者(乙)側で修正すべきポイント
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点検範囲の明確化と免責 甲が増改築を行い、点検対象に含まれない新設の消防用設備等が生じた場合に備え、「対象範囲外の設備について乙は点検義務及び責任を負わない」旨を第4条第3項に付加することが望ましい。
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立会い拒否・非協力時の対応 甲側の都合で点検日に立入りができない場合の取扱いとして、「甲の都合により点検が実施できなかったときは、乙は速やかに再点検日を提案し、これに要する追加費用は甲の負担とする」旨を第4条に追加する。
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報告書提出後の消防機関対応への関与範囲 消防長又は消防署長からの指摘に乙がどこまで対応するかが曖昧になりやすいため、「乙は、甲の求めに応じ、消防機関への説明に同席し技術的な助言を行うが、甲に代わって回答又は届出を行うものではない」旨を第5条又は第6条に明記する。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説
本書式は、消防法第17条の3の3に基づき定期点検及び報告が義務付けられている防火対象物の管理権原者が、点検業務を外部の点検業者に委託する場合を想定している。住宅用防災機器のみが設置された一般住宅など、点検・報告義務の対象外である防火対象物には適合しない。また、点検資格者を有しない業者との契約には用いるべきではなく、第3条の点検資格者要件を満たすことを契約締結前に確認する必要がある。
根拠法令の解説
点検及び報告の義務は消防法第17条の3の3に、点検の種別及び頻度(機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごとを原則とする)は消防法施行規則第31条の6に、点検を行う資格者の範囲は消防法第17条の3の2にそれぞれ定められている。防火対象物の用途(特定防火対象物か否か)により消防機関への報告頻度(1年に1回又は3年に1回)が異なる点も本書式の第5条第2項に反映している。
よくある失敗と条項上の対策
第一に、点検の「実施」と消防機関への「報告」の主体を混同し、業者が報告義務まで負うかのような誤解が生じる例がある。第5条第2項のように報告義務の主体が甲であることを明記し、乙の役割を書類作成支援に限定することで誤解を防ぐ。第二に、不備事項が発見されても是正の要否・期限についての取り決めがなく放置される失敗が見られる。第6条のように是正提案書の提出義務と甲の意思決定手続を明確化する。第三に、点検範囲の変更(増改築、設備更新)が契約に反映されず、未点検の設備が生じる例がある。第4条第3項のように増設・変更時の対象見直し手続を設けることが有効である。
点検頻度や報告義務の適用範囲は防火対象物の用途・規模により異なるため、個別の物件については専門家(消防設備士、行政書士、弁護士等)に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象防火対象物の用途区分(特定用途・非特定用途)を確認したか
- [ ] 設置されている消防用設備等の種類を全て契約書別紙に列挙したか
- [ ] 乙が消防法第17条の3の2の点検資格者を有していることを確認したか
- [ ] 機器点検(6か月ごと)及び総合点検(1年ごと)の実施時期を明記したか
- [ ] 消防機関への報告頻度(1年に1回又は3年に1回)を確認したか
- [ ] 点検結果報告書の様式が消防法施行規則の定めに準拠しているか確認したか
- [ ] 不備事項発見時の是正提案の手続を定めたか
- [ ] 是正工事が本契約の対象外であることを明記したか
- [ ] 立会いの要否と非立会い時の記録方法を定めたか
- [ ] 委託料の算定根拠(設備数・点検回数)を確認したか
- [ ] 緊急点検が必要な場合の対応と費用負担を定めたか
- [ ] 点検記録の保存期間及び開示方法を確認したか