60万円以下の金銭支払を求める少額訴訟の訴状様式です。1回の期日で審理される特徴と、証拠の準備方法を踏まえた記載例です。

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少額訴訟訴状

第1部: 書式本文

訴状(少額訴訟)

【年】年【月】月【日】日

【提訴する簡易裁判所名】 御中

原告 住所:【 】 氏名(名称):【 】 連絡先:【 】

被告 住所:【 】 氏名(名称):【 】

金【 】円請求事件 訴訟物の価額 金【 】円 貼用印紙額 金【 】円

第1 請求の趣旨 1 被告は原告に対し、金【 】円及びこれに対する【起算日】年【月】月【日】日から支払済みまで年【 】パーセントの割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決並びに仮執行宣言を求める。

第2 請求の原因 1 原告と被告は、【年】年【月】月【日】日、【契約内容、例:中古品の売買契約】を締結した。

2 原告は、上記契約に基づき、【年】年【月】月【日】日、被告に対し【給付内容】を引き渡した。

3 被告は、上記契約に基づく代金【 】円の支払期日である【年】年【月】月【日】日を経過しても、これを支払わない。

4 よって、原告は被告に対し、売買代金【 】円及びこれに対する支払期日の翌日である【年】年【月】月【日】日から支払済みまでの民法所定の年【 】パーセントの割合による遅延損害金の支払を求め、本訴に及ぶ。

第3 少額訴訟による審理を求める申述 原告は、本件について少額訴訟による審理及び裁判を求める。原告が本年、当該簡易裁判所において少額訴訟の手続を求めた回数は【 】回目である。

第4 証拠方法 1 甲第1号証 契約書 2 甲第2号証 【納品書等】

第5 添付書類 1 甲号証写し 各1通 2 資格証明書(法人の場合) 1通

第6 分割払いの定めを求める場合の申述 原告は、被告の資力等の事情を考慮し、裁判所が相当と認めるときは、民事訴訟法第375条に基づく分割払いの定め等を付した判決がなされることに異議はない。

第7 送達場所の届出 被告への訴状の送達は、上記被告の住所宛に行うことを希望する。当該住所での送達が不奏功に終わった場合、判明している他の送達場所があれば別紙に記載する。

以上

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節:原告側で1回の期日での審理充実を図る場合

少額訴訟は原則1回の期日で審理が終わるため、証拠と主張を漏れなく整理して提出します。

第4(修正例) 甲第1号証から甲第【 】号証まで、契約締結から支払請求に至る経緯を裏付ける全ての証拠をあらかじめ整理し、第1回期日に提出できるよう準備する。

一言解説:少額訴訟は即日判決が原則であるため、期日前に主張・立証を出し尽くす準備が特に重要です。

B節:被告側で通常訴訟への移行を求める場合

被告は、少額訴訟ではなく通常訴訟での審理を求める場合、その旨の申述を行います。

移行申述書(骨子) 被告は、本件について、民事訴訟法第373条第1項に基づき、通常の手続により審理及び裁判を求める。

一言解説:被告には少額訴訟から通常訴訟への移行を求める権利があり、争いの内容が複雑な場合はこの申述を検討すべきです。

C節:被告側で分割払い等の和解案を提示する場合

被告が請求原因を争わないが、支払方法について配慮を求める場合の記載です。

答弁書(骨子) 被告は、原告の請求原因事実を認めるが、一括での支払は困難であるため、分割払いによる和解を希望する。

一言解説:少額訴訟では和解による解決も多いため、争いがない場合は支払方法について具体的な提案をすることが解決の近道です。

D節:賃金や敷金返還請求など類型が異なる場合

売買代金請求以外の類型(未払賃金、敷金返還等)に応用する記載です。

第2(修正例) 原告(賃借人)は、被告(賃貸人)との間で【年】年【月】月【日】日締結の建物賃貸借契約に基づき敷金【 】円を差し入れたが、退去時の原状回復費用を控除しても金【 】円の返還を受けるべきところ、被告はこれを返還しない。

一言解説:少額訴訟は少額の金銭請求全般に利用できるため、請求原因の記載を紛争類型に応じて調整します。

E節:分割払いによる判決を想定する場合

被告の資力に配慮し、裁判所による分割払いの定めを見越した記載とします。

第6(修正例) 原告は、被告の支払能力に鑑み、判決において金【 】円を毎月【 】円ずつの分割払いとする定めがなされることについて、あらかじめ異議を留めない。

一言解説:少額訴訟では裁判所の裁量により分割払いや支払猶予の定めを付した判決がなされることがあるため、原告としてその可能性を踏まえた対応を示しておくと審理がスムーズになります。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面

60万円以下の金銭の支払を求める請求について、通常訴訟よりも簡易・迅速な手続で解決を図りたい場合に使用します。原則として1回の期日で審理を終え即日判決が言い渡される特徴があり、少額の売買代金、賃金、敷金返還などの請求に適しています。

使ってはいけない場面

請求金額が60万円を超える場合や、事実関係や法律関係が複雑で1回の期日では十分な審理が尽くせないと見込まれる場合には、少額訴訟ではなく通常訴訟によるべきです。また、同一の原告が同一の簡易裁判所において少額訴訟を求めることができる回数には年間10回までの制限があり(民事訴訟法第368条第1項ただし書、同法規則第223条)、これを超える場合は少額訴訟を利用できません。

根拠法令

少額訴訟の手続は民事訴訟法第368条から第381条までに規定されています。訴額は60万円以下の金銭の支払請求に限られます(同法第368条第1項)。審理は原則として最初にすべき口頭弁論の期日において完了させなければならず(同法第370条第1項)、判決には原則として仮執行の宣言を付さなければなりません(同法第376条第1項)。被告は、訴訟が係属した際に通常の手続への移行を求めることができます(同法第373条第1項)。

よくある失敗と条項上の対策

  1. 証拠や主張の準備が不十分なまま第1回期日に臨み、1回で審理が終わる原則のもとで十分な立証ができない失敗があります。対策としてA節のように期日前に証拠を整理しておきます。
  2. 少額訴訟の利用回数制限(年10回)を確認せず、上限を超えて申立てを行い受理されない失敗があります。対策として事前に当該簡易裁判所での申立て回数を確認します。
  3. 遅延損害金の起算日や利率の記載を誤り、認容される金額が請求額と食い違う失敗があります。対策として請求の趣旨で起算日と利率の根拠を正確に記載します。

少額訴訟は簡易迅速な反面、1回の期日で結論が出ることのリスクも伴うため、事案の複雑さに応じて通常訴訟によるべきか、個別事案は専門家に確認のうえ判断してください。

第4部: 使用前チェックリスト

  1. 請求金額が60万円以下であることを確認したか
  2. 提訴する簡易裁判所(被告住所地等)を確認したか
  3. 当該裁判所での本年の少額訴訟利用回数(10回以内)を確認したか
  4. 請求の趣旨(金額・遅延損害金の起算日と利率)を正確に記載したか
  5. 請求の原因を契約締結から未払いに至る経緯まで整理したか
  6. 証拠方法(甲号証)を第1回期日までに準備したか
  7. 被告が通常訴訟への移行を求める可能性を想定したか
  8. 添付書類(資格証明書等)を準備したか
  9. 訴訟物の価額と貼用印紙額を正確に計算したか
  10. 第1回期日に出頭できる日程を確保したか
  11. 和解による解決の可能性(分割払い等)を検討したか
  12. 仮執行宣言付判決を得た場合の執行方法を想定したか