商店街振興組合法に基づく組合の定款です。地区の範囲、組合員資格、環境整備事業と共同経済事業の実施方法を規定します。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
商店街振興組合定款
第1部: 書式本文
商店街振興組合法に基づき、【〇〇商店街振興組合】(以下「本組合」という。)の定款を次のとおり定める。
第1条(名称) 本組合は、商店街振興組合法に基づき、商店街振興組合〇〇と称する。
第2条(地区) 1. 本組合の地区は、【〇〇市〇〇町〇丁目〇番から〇番まで】の区域とする。 2. 前項の地区は、小売商業又はサービス業を営む者の事業の用に供する店舗が連続して存在する区域であって、当該地区内で事業を営む者のうち小売商業又はサービス業を営む者の数が2分の1以上となるよう定める。
第3条(事務所) 本組合は、事務所を【〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号】に置く。
第4条(事業) 1. 本組合は、地区内における商店街の環境の整備改善を図るための事業(アーケード、街路灯、駐車場その他共同施設の設置及び管理を含む。)を行う。 2. 本組合は、前項の事業とあわせて、組合員の事業に関する共同経済事業(共同仕入れ、共同販売促進、共通商品券の発行その他組合員の経済的利益を図るための事業)を兼営することができる。 3. 前二項に掲げる事業の実施にあたっては、地区内において小売商業又はサービス業を営む者の利益を不当に害しないよう配慮する。
第5条(組合員の資格) 1. 本組合の組合員たる資格を有する者は、地区内において小売商業、サービス業その他別に定める業種の事業を営む者とする。 2. 前項の資格を有する者は、本組合に加入し、又は加入しないことができる。
第6条(加入) 組合員たる資格を有する者が本組合に加入しようとするときは、加入申込書を理事長に提出し、理事会の承認を受けなければならない。
第7条(脱退) 1. 組合員は、90日前までに理事長に予告し、事業年度末において任意に脱退することができる。 2. 組合員が組合員たる資格を喪失したとき、死亡し、又は解散したときは、当然脱退とする。
第8条(出資) 組合員は、1口【金〇円】の出資1口以上を有しなければならない。ただし、1組合員の有することのできる出資口数は、出資総口数の100分の25を超えることができない。
第9条(経費の賦課) 本組合は、第4条の事業に要する経費に充てるため、組合員から別に定める基準により経費を賦課徴収することができる。
第10条(役員) 1. 本組合に理事【〇名以上〇名以内】及び監事【〇名以内】を置く。 2. 理事のうち1名を理事長とし、理事の互選によりこれを定める。 3. 役員の任期は【〇年】とする。
第11条(総会) 1. 本組合は、毎事業年度〇回、通常総会を招集する。 2. 理事会が必要と認めるとき、又は総組合員の5分の1以上から会議の目的たる事項を示して請求があったときは、臨時総会を招集する。
第12条(議決権) 総会における議決権は、組合員1人につき1個とする。
第13条(定款の変更) この定款を変更しようとするときは、総会の議決を経なければならない。
第14条(解散及び清算) 本組合の解散及び清算については、法令の定めるところによる。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 組合(理事会・事務局)側の修正パターン
A-1. 未加入事業者への対応条項の追加
追加条文例:「理事会は、地区内で小売商業又はサービス業を営みながら本組合に加入しない者に対し、環境整備事業に係る受益者負担金の支払いを求めることができる。」 一言解説: フリーライダー対策として、未加入者にも共同施設の維持費相当分を負担させる実務上の工夫であるが、強制加入を意味するものではなく、あくまで受益に対する任意の協力要請にとどめる必要がある。
A-2. 共同経済事業の実施範囲の明確化
修正後:「第4条第2項の共同経済事業は、組合員の3分の2以上の同意を得た事業計画に基づいて実施するものとし、特定の組合員のみを対象とする事業は行わない。」 一言解説: 環境整備事業(全員が受益する事業)と経済事業(参加者のみが受益する事業)の会計を区分し、経費賦課の公平性を確保するための修正である。
B. 組合員側の修正パターン
B-1. 経費賦課基準の透明化
追加条文例:「経費の賦課基準は、店舗面積、業種区分その他客観的な指標に基づき理事会が定め、毎事業年度開始前に組合員に周知する。」 一言解説: 賦課金の算定根拠が不明確なまま徴収されることを避け、組合員が納得のうえで負担できるようにする修正である。
B-2. 脱退時の出資払戻しの明確化
修正後:「脱退した組合員は、脱退した事業年度末の決算に基づき、その持分の払戻しを請求することができる。」 一言解説: 脱退にあたり出資金の取扱いが曖昧なまま紛争化することを避けるため、払戻しの基準時を明記する修正である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、既存の商店街の事業者団体が法人格を取得し、アーケードや街路灯等の共同施設の整備及び共同経済事業を継続的に運営するために商店街振興組合を設立する場面で用いる。単発のイベント実施や任意団体としての活動で足りる場合には、法人設立に伴う登記・会計・総会運営等のコストが見合わないことが多く、任意の商店街組合や協議会形式の方が適することがある。
根拠法令の解説 商店街振興組合法第2条は、組合の地区について、小売商業又はサービス業を営む者の店舗が連続して存在し、地区内で事業を営む者のうち小売商業又はサービス業を営む者の数が2分の1以上であることを要件としており、第5条の地区の定めはこの要件を踏まえたものである。同法第8条は組合員の資格を地区内で一定の事業を営む者に限定しており、第5条・第6条はこれに対応する。同法第4条は、組合が環境整備事業とあわせて組合員の経済的利益を図る事業(経済事業)を兼営できる旨を定めており、第4条第2項はこれに基づく規定である。また、同法第13条は定款の記載事項(名称、地区、事務所、事業、組合員の資格、出資、経費等)を定めており、本書式の各条はこれらの記載事項をおおむね網羅する構成としている。
実務でよくある失敗と対策 第一に、地区の範囲を曖昧に定めたため、後日、地区内の新規出店者が組合員資格を有するか否かで争いになる失敗がある。第2条のように地区を番地単位で具体的に特定することが対策となる。第二に、環境整備事業と経済事業の会計を区分せず運営した結果、未加入者からの反発や、特定業種のみが利益を受ける事業への不公平感が生じる失敗がある。A-2のように事業ごとの区分と組合員の同意手続を明記することが望ましい。第三に、出資口数の上限を定めずに一部組合員へ議決権が実質的に集中する失敗があるが、第8条のように出資口数の上限(出資総口数の100分の25)を明記することで防止できる。地区の設定や賦課金の算定方法は地域の実情によって差が大きいため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 地区の範囲を番地等で具体的に特定したか
- [ ] 地区内の小売商業又はサービス業者の割合が2分の1以上となる見込みを確認したか
- [ ] 組合員資格の対象業種を明確にしたか
- [ ] 環境整備事業と共同経済事業の会計を区分する仕組みを設けたか
- [ ] 出資口数の上限(出資総口数の100分の25)を定款に明記したか
- [ ] 経費賦課の基準と徴収手続を明確にしたか
- [ ] 役員(理事・監事)の人数、任期及び選任方法を定めたか
- [ ] 総会の招集手続(通常総会・臨時総会)を定めたか
- [ ] 議決権の算定方法(組合員1人1個)を確認したか
- [ ] 脱退時の予告期間及び出資払戻しの基準を定めたか
- [ ] 定款変更に必要な総会の議決要件を確認したか
- [ ] 未加入事業者への対応方針(受益者負担の要請等)を検討したか