無断で撮影された写真や氏名の商業的利用について、人格権に由来する肖像権とパブリシティ権の侵害を指摘し使用中止を求める警告書です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
肖像権・パブリシティ権侵害警告書
第1部: 書式本文
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表題 「肖像権・パブリシティ権侵害警告書」
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作成年月日 【発送年月日】
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宛先(使用者) 〒【郵便番号】【住所】 【使用者の氏名又は名称・代表者役職氏名】殿
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差出人(権利者又はその代理人) 〒【郵便番号】【住所】 【氏名】 (代理人がいる場合)代理人【氏名】
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前文 「貴殿(貴社)は、当方に無断で当方の写真・氏名を使用しており、これは人格権に由来する肖像権及びパブリシティ権を侵害するものです。本書をもって、下記のとおり警告いたします。」
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対象行為の特定 「貴殿(貴社)は、【西暦年月日】、【媒体名・URL・掲載場所】において、当方の【写真/氏名/肖像を模したイラスト等】を、当方の事前の許諾なく使用しました(以下『対象使用行為』)。対象使用行為は【商品広告/商品パッケージ/物販グッズ/ウェブ広告等】としての使用であり、【報道・論評目的にとどまらない商業的利用】と認められます。」
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肖像権侵害の指摘 「肖像権は、みだりに自己の容ぼう等を撮影され、又は公表されない自由を内容とする人格的利益であり、最高裁判所平成17年11月10日判決は、被撮影者の受ける精神的苦痛の程度が社会生活上受忍すべき限度を超える場合に、撮影・公表が違法となる旨を判示しています。対象使用行為は、当方の許諾なく行われたものであり、当方が受ける不利益の程度、使用の目的・態様、公共性の有無等の事情に照らし、社会生活上受忍すべき限度を超えるものと考えます。」
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パブリシティ権侵害の指摘 「パブリシティ権については、最高裁判所平成24年2月2日判決(いわゆるピンク・レディー事件)が、肖像等に顧客吸引力を有する者は、当該顧客吸引力を排他的に利用する権利(パブリシティ権)を有し、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合、すなわち①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、又は③肖像等を商品等の広告として使用するなどの場合には、パブリシティ権を侵害する不法行為に該当する旨を判示しています。対象使用行為は上記③(広告としての使用)に該当し、専ら当方の顧客吸引力の利用を目的とするものと考えます。」
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報道・論評との区別に関する言及 「対象使用行為は、時事の報道や論評の一環として行われたものではなく、商品又は役務の宣伝を目的とするものであることを申し添えます。」
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請求事項 「貴殿(貴社)におかれては、下記事項を実施されたく請求いたします。 ①対象使用行為の即時中止 ②対象の写真・氏名等を使用した広告物・商品・ウェブページの削除又は撤去 ③今後当方の肖像・氏名を使用しない旨の誓約」
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損害賠償請求に関する言及 「当方は、対象使用行為により被った精神的損害及び本来得られたはずの許諾料相当額の損害について、不法行為に基づく損害賠償請求権を有します。」
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著名人・一般人の区別に関する留保 「なお、当方が著名人に該当するか否かにかかわらず、本人の同意なく肖像等を商業的に利用する行為は、その使用態様によって肖像権又はパブリシティ権の侵害を構成し得ることを申し添えます。」
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回答期限 「本書到達後【10日以内】に、上記請求に対する回答を書面にて提出されたく申し入れます。」
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不履行の場合の対応予告 「期限内に誠実な回答がない場合、当方は使用差止め及び損害賠償を求める訴訟提起その他の法的措置を検討いたします。」
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末尾文言 「以上、警告いたします。」
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差出人署名・押印欄 【氏名】㊞
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 権利者側の書き換え例
「当方の写真は【撮影状況:私的な集まり・非公開の場等】で撮影されたものであり、公表を前提としない場面での撮影であったことから、受忍限度を超える侵害であると考えます。」
一言解説: 平成17年最高裁判決の受忍限度論は撮影の場所・態様・目的等を総合考慮するため、撮影時の状況を具体的に記載すると侵害の程度を基礎づけやすい。
「当方は【職業・活動内容】として一定の知名度を有しており、当方の氏名・肖像には顧客吸引力が認められます。」
一言解説: パブリシティ権侵害の主張には顧客吸引力の存在が前提となるため、権利者の知名度や活動実績を具体的に示すことが必要である。
B. 使用者側の回答書き換え例
「対象使用行為は、【報道番組/ニュース記事】における時事の報道の一環として行われたものであり、商業的利用を目的とするものではありません。」
一言解説: 報道・論評目的での使用は専ら顧客吸引力の利用を目的とする使用には当たらないとの反論であり、ピンク・レディー事件判決の基準に沿った防御方法である。
「掲載写真は公道上で撮影されたものであり、撮影態様も社会通念上相当な範囲にとどまるため、受忍限度を超えるものではないと考えます。」
一言解説: 撮影場所が公共の場所であることや撮影態様の相当性は、受忍限度論における違法性判断の重要な考慮要素となる。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、無断で撮影された写真や氏名が、商品広告・商品パッケージ・物販グッズ・ウェブ広告等の商業的利用に用いられた場合に用いる。他方、対象行為が時事の報道や公正な論評の一環として行われたものである場合には、表現の自由・報道の自由との調整が必要となり、本書式による警告の前に使用目的・態様を慎重に精査する必要がある。また、著名人と一般人とでは、パブリシティ権侵害の成否(顧客吸引力の有無)及び肖像権侵害の受忍限度の判断枠組みが異なる点にも留意する。
根拠法令の解説 肖像権は人格権に由来する権利であり、明文の規定はないものの、最高裁判所平成17年11月10日判決が受忍限度論の枠組みを示している。パブリシティ権については、最高裁判所平成24年2月2日判決(ピンク・レディー事件)が、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とする使用行為が不法行為法上違法となる旨の判断基準を示した。いずれも民法第709条(不法行為)に基づく損害賠償請求及び人格権に基づく差止請求の根拠となる。
実務でよくある失敗と条項上の対策 第一に、対象使用行為が報道・論評目的か商業的利用目的かを区別せずに一律に警告し、報道の自由を理由とする強い反論を招くケースがある。対策として、対象行為の特定欄で使用媒体・目的・態様を具体的に記載し、商業的利用であることを裏付ける事実を明示する。第二に、著名人でない一般人についてパブリシティ権侵害のみを主張し、顧客吸引力の立証に窮するケースがある。対策として、一般人の事案では肖像権(人格権)に基づく受忍限度論を主軸に据え、パブリシティ権は顧客吸引力が認められる場合の補助的構成と位置付ける。第三に、撮影場所・撮影態様に関する事実関係を確認せずに警告し、公共の場所での相当な撮影であるとの反論により受忍限度内と判断されるケースがある。対策として、撮影状況(場所・同意の有無・態様)を可能な限り具体的に記載する。なお、個別の使用行為が肖像権又はパブリシティ権を侵害するか否かの判断は、使用目的・態様・当事者の属性等により異なるため、送付前に弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象となる写真・氏名等の使用箇所・媒体・掲載期間を特定したか
- [ ] 使用目的が商業的利用(広告・商品化等)か報道・論評目的かを整理したか
- [ ] 権利者本人の同意の有無・撮影時の状況を確認したか
- [ ] 権利者が著名人か一般人かを踏まえ、主張の中心を肖像権とパブリシティ権のいずれに置くか検討したか
- [ ] パブリシティ権を主張する場合、顧客吸引力を基礎づける事実を収集したか
- [ ] ピンク・レディー事件判決の3類型(独立鑑賞対象・差別化目的での付加・広告使用)のいずれに該当するか検討したか
- [ ] 受忍限度論における考慮要素(撮影場所・態様・公共性等)を整理したか
- [ ] 削除・使用中止の対象範囲(媒体・商品・在庫等)を具体的に特定したか
- [ ] 損害賠償請求(精神的損害・許諾料相当額)の根拠を検討したか
- [ ] 証拠(掲載物の写し・スクリーンショット・撮影状況の記録等)を保全済みか
- [ ] 回答期限を明記したか
- [ ] 個別事案について専門家への確認を予定しているか