セット内容
- 出向契約書(在籍出向)2バージョン(出向元/出向先)Word形式
- 出向中の指揮命令権・労務管理責任の整理表
- 出向料・社会保険負担の取り決め例
こんな場面で
グループ会社間や取引先への在籍出向を実施する際、出向元・出向先・出向者の権利義務関係を書面化したい場面。
特長
- 出向中の賃金負担・懲戒権・労災責任の所在を明確化
- 出向期間・復帰条件・出向解除事由を標準装備
- 在籍出向と転籍の違いを踏まえた条項構成
出向契約書(在籍出向)標準版(監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: shukko-keiyaku / 価格: 2,980円 / 立場バージョン: 出向元有利・出向先有利
本ドラフトは第2部で2バージョンの差分を提示する構成とし、第1部には中立的な標準条文をベースとして掲載する。在籍出向(出向元との労働契約を維持したまま出向先の指揮命令に服する形態)を前提とし、転籍(出向元との労働契約を終了させる形態)とは異なる条項構成としている点に留意する必要がある。
第1部: 契約書本文(標準版・中立)
出向契約書
〇〇〇〇株式会社(以下「出向元」という。)と〇〇〇〇株式会社(以下「出向先」という。)とは、出向元に在籍する従業員〇〇〇〇(以下「出向者」という。)を出向先へ在籍出向させることに関し、以下のとおり出向契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的)
本契約は、出向元が出向者を出向先に在籍出向させ、出向先の業務に従事させるにあたり、出向元、出向先及び出向者間の権利義務関係を明確にすることを目的とする。
第2条(出向の定義)
本契約における「出向」とは、出向者が出向元との労働契約関係を維持したまま、出向先との間で新たに労働契約関係を成立させ、出向先の指揮命令の下で出向先の業務に従事する形態(在籍出向)をいい、出向元との労働契約関係を終了させる転籍とは異なるものとする。
第3条(出向者の同意)
- 出向元は、出向者に対し、出向の目的、出向先、出向期間、出向中の労働条件その他本契約の内容を事前に説明し、出向者本人の個別の同意を得るものとする。
- 出向元は、前項の同意を得たことを証する書面(同意書。様式は別紙〇〇による。)を出向先に提出するものとする。
- 出向者の同意が得られない場合、出向元は当該出向者について本契約に基づく出向を実施することができない。
第4条(出向期間)
- 出向期間は、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇〇〇年〇〇月〇〇日までの〇年間とする。
- 出向元及び出向先は、出向期間満了の〇か月前までに協議のうえ、書面による合意により出向期間を延長することができる。
- 出向元及び出向先は、業務上の必要が生じた場合、協議のうえ、出向期間満了前に出向を終了させることができる。この場合、第10条の規定に従う。
第5条(指揮命令権及び労務管理)
- 出向期間中、出向者に対する業務上の指揮命令は出向先が行うものとし、出向者は出向先の就業規則その他の社内規程に従い、出向先の指揮命令の下で業務に従事する。
- 出向先は、出向者の労働時間、休憩、休日、時間外労働及び休日労働に関する労務管理を行うものとし、労働基準法その他の関係法令を遵守する。
- 出向者の服務規律に関する事項(出退勤管理、職場秩序の維持等)については、出向先の定めるところによる。
第6条(懲戒権)
- 出向者の職場規律違反その他の非違行為に対する懲戒処分の権限は、出向元に留保する。
- 出向先は、出向者に前項の非違行為があると認めるときは、事実関係を調査のうえ、速やかに出向元に報告し、懲戒処分の要否について出向元と協議するものとする。
- 出向先は、出向者の安全及び他の従業員の業務遂行に支障が生じるおそれがある場合、出向元との協議を経たうえで、当該出向者を一時的に就業させないことができる。
第7条(労働条件)
- 出向期間中の出向者の賃金、賞与及び退職金の算定方法は、出向元における労働条件を基準とし、出向元がその支給義務を負う。ただし、出向元及び出向先は、協議のうえ、出向先が賃金の全部又は一部を出向元に代わって支給する旨を別途合意することができる。
- 出向期間中の労働時間、休憩、休日及び休暇に関する労働条件は、出向先の定めるところによる。ただし、出向元における労働条件を著しく下回らないよう配慮するものとする。
- 出向により出向者の賃金その他の労働条件に不利益な変更が生じる場合、出向元は、出向者の同意取得にあたり当該不利益の内容を明示するものとする。
第8条(社会保険及び労働保険)
- 健康保険及び厚生年金保険については、出向者の労務提供の実態及び賃金の支払関係を踏まえ、出向元及び出向先のいずれかを事業主として、関係法令に従い適用の手続を行うものとする。
- 雇用保険については、出向者の生計を維持するに必要な主たる賃金を支払う事業主において被保険者資格を取得させるものとする。
- 労災保険については、出向先の業務に起因する災害に関して、出向者が出向先において労務を提供している実態に応じ、出向先の労災保険が適用されるものとする。出向元及び出向先は、労災保険の適用関係について事前に所轄労働基準監督署に確認し、必要な手続をとるものとする。
- 出向元及び出向先は、前3項の保険料の負担割合について、別紙〇〇(費用負担一覧)のとおり定める。
第9条(出向料の支払)
- 出向先は、出向者の労務提供の対価として、出向元に対し、出向料として月額金〇〇〇〇円(消費税別)を支払う。
- 出向料の算定根拠は、出向者に係る賃金、賞与、退職金の積立額、社会保険料の事業主負担分その他出向元が負担する人件費相当額とし、別紙〇〇(出向料算定書)のとおりとする。
- 出向先は、出向元が発行する請求書に基づき、毎月末日締め翌月末日払いの方法により、出向元の指定する銀行口座に振り込む方法で支払うものとする。振込手数料は出向先の負担とする。
- 出向料の額は、出向者の労働条件の変更、人事異動その他の事情変更があった場合、出向元及び出向先が協議のうえ改定することができる。
第10条(費用負担)
- 出向者の通勤に要する費用、赴任旅費及び住宅費用の負担については、別紙〇〇(費用負担一覧)のとおり定める。
- 出向先が出向者の業務遂行のために負担すべき費用(旅費交通費、研修費用等)は、出向先の負担とする。
- 前2項に定めのない費用の負担については、出向元及び出向先が協議のうえ決定する。
第11条(出向者の地位及び処遇)
- 出向先における出向者の役職、職位及び業務内容は、出向元及び出向先が協議のうえ、辞令等により定める。
- 出向先は、出向者を自社の従業員に準じて処遇するものとし、福利厚生施設の利用その他の待遇について、自社の従業員との間で不合理な相違が生じないよう配慮するものとする。
第12条(人事考課及び復職)
- 出向期間中の出向者の人事考課は、出向先が一次評価を行い、出向元に報告するものとする。出向元は、当該報告を踏まえ、出向者の処遇に反映させることができる。
- 出向元は、出向期間満了時又は前条第3項に定める出向の終了時において、出向者を出向元に復帰させ、原則として出向前の労働条件を下回らない処遇で受け入れるものとする。ただし、出向元の経営上の事情その他やむを得ない事情がある場合はこの限りでない。
- 出向元は、出向期間中及び復職後の出向者のキャリア形成に配慮し、復職後の配置について事前に出向者と協議するよう努める。
第13条(出向の中途終了)
- 出向元又は出向先は、次の各号のいずれかに該当する場合、相手方との協議のうえ、出向期間の満了前に出向を終了させることができる。 (1)出向者が心身の故障により業務に耐えられないと認められるとき (2)出向先の事業の廃止、縮小その他経営上の事由により出向の継続が困難となったとき (3)出向者に第6条の懲戒事由に該当する重大な非違行為があったとき (4)出向元又は出向先が本契約に違反し、催告後相当期間内に是正されないとき (5)その他出向の継続が困難と認められるやむを得ない事由が生じたとき
- 前項による出向の中途終了に伴い出向者を出向元に復帰させる場合の手続及び時期は、出向元及び出向先が協議のうえ定める。
第14条(秘密保持)
- 出向元及び出向先は、本契約の履行に関連して知り得た相手方の技術上・営業上の情報を、相手方の事前の書面による承諾なく第三者に開示又は漏えいしてはならない。
- 出向元は、出向者に対し、出向先で知り得た秘密情報について、出向先の定める秘密保持に関する規程等を遵守させるよう指導するものとする。
- 本条の義務は、本契約終了後〇年間存続する。
第15条(損害賠償)
- 出向元又は出向先が、本契約に違反し相手方に損害を与えた場合、当該違反当事者は相手方に生じた損害を賠償する責めを負う。
- 出向者の故意又は過失により出向先又は第三者に損害が生じた場合の責任の負担については、出向者の労務提供の実態、指揮命令の所在等の事情を踏まえ、出向元及び出向先が協議のうえ定める。
第16条(反社会的勢力の排除)
- 出向元及び出向先は、それぞれ相手方に対し、自己(自己の役員を含む。)が、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」と総称する。)に該当しないことを表明し、保証する。
- 出向元又は出向先が前項の表明保証に違反した場合、相手方は、何らの催告を要せず本契約を解除することができる。
第17条(権利義務の譲渡禁止)
出向元及び出向先は、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約上の地位並びに本契約に基づく権利及び義務を第三者に譲渡し、承継させ、又は担保に供してはならない。
第18条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、出向元及び出向先が誠意をもって協議のうえ解決するものとする。
第19条(合意管轄)
本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、出向元・出向先記名押印のうえ、各自1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
(出向元)住所 商号又は名称 代表者名 印
(出向先)住所 商号又は名称 代表者名 印
第2部: 立場別修正パターン
商品には「出向元有利」「出向先有利」の2バージョンを収録する。第1部は中立的な標準条文であり、以下は各バージョンを作成する際の差分(代替条文)である。
A. 出向元有利バージョンへの変更
出向元(従業員を送り出す側。グループ本社や親会社であることが多い)に有利にするための修正パターン。
A-1. 第7条(労働条件)を出向先の労働条件変更に対する出向元の関与を強化する内容に変更
修正後: 「出向先は、出向者の労働条件を変更しようとするときは、事前に出向元の書面による承諾を得なければならない。」を追加する。
解説: 出向元が出向者の労働条件決定に対する主導権を維持する趣旨。出向先にとっては現場での柔軟な処遇変更が制約されるため、出向先からの抵抗が予想される条項である。
A-2. 第9条(出向料)に出向料の未払い時の措置を追加
追加条文例: 「出向先が出向料の支払を〇か月分以上遅滞した場合、出向元は出向者を直ちに出向元に復帰させることができる。」
解説: 出向料は実質的に人件費の付け替えであり、未払いリスクは出向元にとって重大である。復帰権を明記することで出向元の交渉力を確保する趣旨。
A-3. 第12条(人事考課及び復職)の出向元復職受入義務を厳格化
修正後: 復職時の処遇について「出向前の労働条件を下回らない処遇で受け入れるものとする」の「ただし書き(経営上の事情等による例外)」を削除し、無条件の受入義務とする。
解説: 出向元有利版では復職保証を強め、出向者本人の同意取得を得やすくする狙いがあるが、出向元の経営環境変化時に柔軟性を欠く点には留意する必要がある。
A-4. 第13条(出向の中途終了)における出向元の一方的終了権を追加
追加条文例: 「出向元は、出向者本人からの申出があったとき、又は出向元の業務上の必要が生じたときは、出向先と協議のうえ、いつでも出向を終了させ、出向者を復帰させることができる。」
解説: 出向先の事業運営上、出向者の突然の引揚げは業務に支障を来すため、出向先としては予告期間の設定等の対案を求めることが想定される。
A-5. 第6条(懲戒権)の出向元専属性を強調
修正後: 「出向先は、出向者に対していかなる懲戒処分(訓戒を含む。)も行うことができず、懲戒の要否及び内容は出向元が単独で決定する。」
解説: 労働契約上の使用者としての懲戒権は出向元に留保されるのが一般的な整理であるが、これを徹底し出向先の関与を最小化する条項。出向先の現場統制上は不都合が生じ得るため、実務上は一次調査権限を出向先に残す折衷案も多い。
B. 出向先有利バージョンへの変更
出向先(従業員を受け入れて実際に業務に従事させる側)に有利にするための修正パターン。
B-1. 第5条(指揮命令権及び労務管理)の出向先権限を明確化
修正後: 「出向者は、出向先の業務命令、配置転換及び担当業務の変更について、出向先の裁量により決定される旨に同意するものとする。」を追加する。
解説: 出向先が実際の業務運営上必要とする柔軟な人員配置を確保する趣旨。出向元としては、出向者の同意取得時に配置転換の可能性を十分に説明する必要が生じる。
B-2. 第9条(出向料)の算定方法を出向先に有利な実費精算方式に変更
修正後: 「出向料は、出向者の実労働時間及び実際に出向先の業務に従事した日数に応じて算定するものとし、出向者が疾病、休職その他の事由により出向先の業務に従事しなかった期間については、当該期間に対応する出向料を減額する。」
解説: 出向元有利版の固定額方式に対し、出向先の実際の労務提供に応じた変動制とすることで、出向先の費用負担リスクを軽減する。出向元にとっては出向料収入が不安定になるため、双方の交渉状況に応じた調整が必要である。
B-3. 第13条(出向の中途終了)に出向先からの解除権を追加
追加条文例: 「出向先は、出向者の業務遂行能力又は勤務態度が出向先の求める水準に著しく達しないと認めるときは、出向元に対しその旨を通知し、〇か月以内に出向元に出向者を引き取らせることができる。」
解説: 出向先が期待した業務遂行が得られない場合の実務上の対応手段を確保する条項。出向者本人の同意取得の前提が崩れないよう、出向元との事前協議を経る運用が望ましい。
B-4. 第6条(懲戒権)に出向先の一次的措置権限を追加
追加条文例: 「出向先は、出向者に非違行為があると認めるときは、出向元への報告を待たず、業務上必要な限度で当該出向者の就業を一時停止する等の応急措置をとることができる。」
解説: 懲戒権自体は出向元に留保しつつ、出向先の職場秩序維持のための即時対応権限を確保する。労務管理の実効性の観点から出向先が求めることが多い条項である。
B-5. 第8条(社会保険及び労働保険)の費用負担を出向元優先に変更
修正後: 「社会保険料の事業主負担分は、原則として出向元が負担するものとし、出向先はこれを出向料に含めて支払うものとする。」を明記し、出向先が個別に保険料負担の実務対応を負わない構成とする。
解説: 出向先にとっては社会保険の適用関係に関する事務負担・法的責任を軽減できる利点があるが、出向料の額が実質的に増加する可能性がある点は出向元との交渉材料となる。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
第1条(目的) 契約全体の趣旨を示す条項。出向という制度の性質上、労働契約法上の権利濫用規制(労働契約法第14条)を踏まえ、出向命令の目的・必要性を出向者に説明できる状態にしておくことが望ましい。
第2条(出向の定義) 在籍出向と転籍の違いを明示する条項。転籍は出向元との労働契約を終了させ新たに出向先と労働契約を締結する形態であり、出向者本人の個別同意(民法上の契約上の地位の移転に準じる同意)がより厳格に要求される。本テンプレートは在籍出向を前提としており、転籍を検討する場合は別途転籍合意書の作成が必要である。
第3条(出向者の同意) 在籍出向は、労働契約法上、出向命令権の根拠となる就業規則・労働協約の定めがあることに加え、対象となる労働者本人の同意(個別の同意又は事前の包括的同意で足りるかは裁判例上争いがある)が重要な適法性要件となる。実務上は、就業規則に出向条項があっても、個別の説明と同意書の取得を行うことが紛争予防の観点から望ましい。
第4条(出向期間) 出向期間の長期化は、出向者の帰属意識やキャリア形成に影響するため、延長の際は改めて出向者の意向を確認する運用が一般的である。
第5条(指揮命令権及び労務管理) 在籍出向の最大の特徴は、労働契約上の使用者(出向元)と実際に指揮命令を行う使用者(出向先)が分離する点にある。労働基準法上の使用者責任は、労働時間管理等の実態に即して出向先が負う部分が大きいため、本条において労務管理の主体を明確にしておく必要がある。
第6条(懲戒権) 懲戒権の所在は、出向契約における最も紛争になりやすい論点の一つである。一般的には労働契約上の使用者である出向元に留保するとの整理が多いが、出向先の職場秩序維持の実効性を確保するため、一次的な事実調査や応急措置の権限を出向先に付与する例も見られる。
第7条(労働条件) 賃金等の基本的処遇は出向元基準、労働時間等の勤務管理的事項は出向先基準とする「二元的な整理」が実務上一般的である。ただし、出向により労働条件が不利益に変更される場合は、出向者の同意取得プロセスにおいてその内容を明確に説明しておくことが紛争予防の観点から重要である。
第8条(社会保険及び労働保険) 社会保険(健康保険・厚生年金保険)は「生計維持の中心となる賃金の支払者」を事業主とする実務上の扱いが一般的であり、雇用保険も同様の考え方による。労災保険については、出向先の指揮命令下で被災した場合は出向先の労災保険が適用されるのが原則的な整理であるため、二重加入や未加入とならないよう、所轄労働基準監督署・年金事務所への事前確認が望ましい。
第9条(出向料) 出向料の実質は出向元が負担する人件費の付け替えであり、消費税の課税関係(人材派遣と異なり出向は労働者供給に該当し得るため、給与負担金として非課税処理される場合がある等)を踏まえた税務上の整理が必要になる場合がある。具体的な取扱いは税理士等の専門家の確認を要する事項であり、本テンプレートの規定は契約上の枠組みを示すものにとどまる。
第10条(費用負担) 通勤費・赴任旅費・住宅費用等の負担者を明確にしておかないと、出向者の実質的な処遇低下につながりやすい。別紙での具体的な取り決めを推奨する。
第11条(出向者の地位及び処遇) 出向先の従業員との待遇差は、パートタイム・有期雇用労働法等の均衡待遇の考え方が直接適用される場面ではないものの、実務上のトラブル防止の観点から不合理な相違を生じさせないよう配慮することが望ましい。
第12条(人事考課及び復職) 復職保証の有無・程度は、出向者の同意取得の実効性に直結する重要な要素である。復職時の処遇を「出向前を下回らない」とする一方で、経営上の事情による例外を認めるかどうかは、出向元・出向先双方の交渉力によって変わり得る。
第13条(出向の中途終了) 出向契約の中途終了事由をあらかじめ列挙しておくことで、突発的な事情変更時の対応を予測可能にする。特に出向先の経営悪化等による出向解除は、出向者の生活基盤に影響するため、復帰の手続・時期についても事前に取り決めておくことが望ましい。
第14条(秘密保持) 出向者は出向先の内部情報に日常的に接するため、出向元・出向先間の秘密保持に加え、出向者本人に対する秘密保持義務の遵守指導についても言及しておくことが望ましい。
第15条(損害賠償) 出向者の行為に起因する損害についての責任分担は、指揮命令の所在(民法第715条の使用者責任における実質的な使用関係の所在)を踏まえて個別に整理する必要がある事項であり、画一的な取り決めが困難な場合は協議事項とする例も多い。
第16条(反社会的勢力の排除) 現在の契約実務でほぼ必須となっている条項であり、出向契約においても標準的に採用することが一般的である。
第17条(権利義務の譲渡禁止) グループ会社間の組織再編(出向先の事業譲渡等)を見据える場合、譲渡禁止の例外(事前通知による譲渡許容等)を設けることも検討に値する。
第18条・第19条(協議・合意管轄) 出向契約は継続的な労務提供関係を伴うため、合意管轄は出向者の就労地(出向先の所在地)を基準に定める例が実務上多い。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 第3条の出向者の同意取得について、就業規則上の包括的な出向条項がある場合でも、個別同意書の取得を必須とする構成が実務上の標準として妥当か確認いただきたい。
- 第8条の社会保険・労災保険の適用関係について、二重加入や未加入のリスクを回避するための記載として、現行の実務・通達に照らして過不足がないか確認いただきたい。
- 第9条の出向料に関する消費税・法人税上の取扱い(給与負担金としての非課税処理の可否等)について、契約書上どの程度言及すべきか、あるいは別途専門家への確認を促す注記にとどめるべきか確認いただきたい。
- 第13条の出向の中途終了事由について、労働契約法第14条(出向命令権の濫用法理)との関係で、出向者本人の同意なく中途で出向元に復帰させる場合の法的整理に問題がないか確認いただきたい。
- 第6条の懲戒権の所在について、出向元専属とする構成と出向先に一次的権限を持たせる構成のいずれを標準版として採用すべきか、実務相場を踏まえて確認いただきたい。
- 出向者が出向先で第三者に損害を与えた場合の使用者責任(民法第715条)の負担割合について、第15条の規定ぶりが実務上の裁判例の傾向と整合しているか確認いただきたい。
- 個人根保証(民法第465条の2以下)に関連する保証条項は本テンプレートには含めていないが、出向契約に付随して身元保証契約を締結する実務がある場合、極度額規制との関係で別紙又は別条項の追加が必要か確認いただきたい。
- グループ会社間の出向(親子会社間・関連会社間)と、資本関係のない取引先への出向とで、本テンプレートの条項構成に修正すべき点がないか確認いただきたい。