一定の事由の発生により会社が株式を取得する際の株主向け通知。会社法第168条第2項及び第169条の通知公告手続と取得日の決定、対価の交付方法を解説します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
取得条項付株式の取得に関する通知書
第1部: 書式本文
【株主名】様
株式会社【会社名】(以下「当会社」という)
取得条項付株式の取得に関する通知書
当会社は、【 年 月 日】開催の取締役会において、当会社定款【 】条に定める取得事由(例:【当会社の発行する株式が金融商品取引所に上場されたこと、又は当会社取締役会が別に定める日が到来したこと】)が発生したことを確認いたしましたので、会社法第168条及び第169条の規定に基づき、下記のとおり当会社が発行するB種優先株式(取得条項付株式)を取得する旨を通知いたします。
記
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取得事由発生日 【 年 月 日】
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取得する株式の種類及び数 B種優先株式 全部・一部【 】株のうち、貴殿保有分【 】株
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一部取得の場合の決定方法 本取得が一部取得に該当する場合、当会社は会社法第168条第1項に基づき、【 年 月 日】開催の取締役会において、取得する株式を各B種優先株主の持株数に応じた按分比例の方法により決定した。
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株式の取得日(効力発生日) 【 年 月 日】
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取得の対価 B種優先株式1株につき、普通株式【 】株を割り当てる(会社法第107条第2項第3号、第108条第2項第6号ロに定める定款の定めによる)。
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対価の交付方法 取得日をもって、貴殿は前項の対価を取得し、当会社は株主名簿の記載を書き換える。当会社は株券発行会社【である・でない】ため、【株券提出の要否】について別途ご案内する。
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効力の発生 本通知記載の取得事由の発生又は前記3の取締役会決定により、当会社は法律上当然に前記2記載の株式を取得し、貴殿は前記4の取得日をもって当該株式の株主でなくなる(会社法第170条第1項)。
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通知の時期 本通知は、会社法第169条第3項の規定に基づき、前記4の取得日の2週間前までに発送するものである。
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公告による代替 当会社は、本通知に代えて、会社法第169条第2項の規定により、【日刊新聞紙名・電子公告の別】において公告する場合がある。
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株式買取請求権の不発生 本取得は当会社定款にあらかじめ定められた取得条項に基づく法律上当然の効力発生であり、貴殿による承諾又は同意を要しない。本取得に関し、会社法上の反対株主の株式買取請求権は生じない。
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お問い合わせ先 【部署名・連絡先・担当者名】
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 種類株式発行会社(発行会社側の手続管理)
修正条文例:
- 一部取得の場合の決定方法 本取得が一部取得に該当する場合、当会社は会社法第168条第1項に基づき、【 年 月 日】開催の取締役会において、抽選により取得するB種優先株式【 】株を決定した。決定内容は取締役会議事録【 】号に記載のとおりである。
一言解説: 一部取得の場合、按分比例によらず抽選その他の方法で取得株式を決定することも可能だが、いずれの方法によったかを取締役会議事録に明記し、決定後直ちに(会社法第168条第2項)株主及び登録株式質権者へ通知する社内フローを整えておく必要がある。
B節: 株主宛(通知を受け取る株主への説明)
修正条文例:
- 株式買取請求権の不発生 本取得は、全部取得条項付種類株式の取得(会社法第171条)とは異なり、当会社定款にあらかじめ定められた取得条項に基づく法律上当然の効力発生であるため、反対株主の株式買取請求権(会社法第116条第1項第2号・第3号)は生じません。本取得の対価にご不服がある場合は、価格決定の申立て制度がないことをご了承ください。
一言解説: 取得条項付株式の取得(168条・169条)と全部取得条項付種類株式の取得(171条)は、いずれも会社が既発行株式を取得する制度であるが、後者には株主総会特別決議と反対株主の買取請求権が伴う点で法的性質が異なる。株主への説明時にこの違いを誤解なく伝えることが紛争予防上重要である。
第3部: 書き方と法的ポイントの解説
本書式は、定款にあらかじめ取得条項(会社法第107条第2項第3号、第108条第2項第6号)が定められている種類株式について、取得事由が現実に発生した場合に、会社が株主に対して取得の実行を通知する場面で使用することを想定している。他方、取得条項の定めが定款に存在しない株式を取得しようとする場合や、全部取得条項付種類株式(会社法第171条)を株主総会特別決議によって取得する場合には、それぞれ異なる手続と書式を要するため、本書式をそのまま流用してはならない。
根拠法令としては、取得条項付株式の内容を定める会社法第107条第2項第3号及び第108条第2項第6号、一部取得の場合の取得株式の決定と通知を定める同法第168条、取得の通知及び公告を定める同法第169条、取得の効力発生を定める同法第170条、対価として株式を交付する場合の株券不発行に関する同法第215条第4項を確認する必要がある。
実務でよくある失敗としては、第一に、通知の発送が取得日の2週間前を切ってしまい、会社法第169条第3項の期限要件を満たさないまま発送してしまう例がある。対策として、取得日から逆算した発送スケジュールを管理表化し、余裕をもった発送体制を整えることが有効である。第二に、一部取得の場合に取得する株式を決定する手続(第168条第1項)を経ないまま通知を発送してしまう例がある。対策として、取締役会決議(取締役会非設置会社では株主総会決議)を経てから通知を発送する社内フローを明文化しておくことが望ましい。第三に、対価の種類(金銭か株式か、あるいは新株予約権か)の記載が、実際に定款が定める内容と齟齬する例がある。対策として、通知文言を作成する都度、定款第108条第2項第6号に対応する条項を参照し、対価の内容を再確認することが重要である。
いずれの手続についても、取得事由の該当性や対価算定の妥当性が事後に争われる可能性があるため、個別事案は専門家に確認の上で通知文言及び発送スケジュールを最終化することを推奨する。加えて、取得の対象となる株式に質権が設定されている場合には、登録株式質権者に対しても株主本人と同様に通知を行う義務(会社法第169条第1項)が生じる点、及び通知の名宛人が所在不明である場合には会社法第196条の株主所在不明株式の取扱いに準じた社内対応方針をあらかじめ検討しておく点にも留意が必要である。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 定款に取得条項付株式に関する定め(会社法第107条第2項第3号、第108条第2項第6号)が存在することを確認したか
- [ ] 取得事由が現実に発生したことを裏付ける資料(登記事項証明書、上場承認通知等)を確認したか
- [ ] 一部取得の場合、取締役会(非設置会社は株主総会)で取得する株式を決定したか(会社法第168条第1項)
- [ ] 取得株式の決定後、直ちに株主及び登録株式質権者へ通知したか(会社法第168条第2項)
- [ ] 通知又は公告を取得日の2週間前までに行ったか(会社法第169条第3項)
- [ ] 公告による通知の代替の可否及び定款上の根拠を確認したか(会社法第169条第2項)
- [ ] 対価の種類(金銭・株式・新株予約権等)と算定根拠を定款の定めと照合したか
- [ ] 株券発行会社である場合、株券提出手続の要否を通知に明記したか
- [ ] 取得日以降、株主名簿の書換え及び対価となる株式の発行事務を速やかに行う体制があるか
- [ ] 反対株主の株式買取請求権が生じない旨を株主に誤解なく説明したか