書面投票を採用する会社が招集通知に添付する参考書類。会社法第301条と会社法施行規則第73条以下の記載事項に基づき、議案ごとの提案理由の書き方をまとめました。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
株主総会参考書類(書面による議決権行使用)
第1部: 書式本文
第【 】回定時株主総会 参考書類
当社は、会社法第298条第1項第3号の規定に基づき、書面による議決権行使の方法を採用しております。株主の皆様におかれましては、本参考書類をご参照のうえ、同封の議決権行使書用紙により議決権を行使くださいますようお願い申し上げます。
- 総会開催日時・場所 【20XX年X月X日 午前/午後X時、本店所在地/会場名】
- 本参考書類の位置づけ 本書面は会社法第301条第1項の規定に基づき、招集通知に際して交付する株主総会参考書類であり、株主総会における議決権行使の判断資料として作成するものである。
- 議決権行使書面の返送期限 議決権行使書面は、会社法第311条第1項の規定により、総会の日時の直前の営業時間終了時(【20XX年X月X日午後X時】)までに当社宛てにご到着いただく必要があります。
- 議案の一覧 第1号議案 【剰余金の処分に関する件】、第2号議案 【取締役【 】名選任の件】、第3号議案 【 】(会社法施行規則第73条第1項第1号に基づく議案の概要)
- 第1号議案の内容及び提案の理由(会社法施行規則第73条第1項第2号、第77条) 配当財産の種類 金銭、配当財産の割当てに関する事項 普通株式1株につき金【 】円、剰余金の配当がその効力を生ずる日 【20XX年X月X日】。提案の理由として、当期の業績及び今後の事業展開に必要な内部留保等を総合的に勘案し、株主の皆様への利益還元を行うものである旨を記載する。
- 第2号議案の内容(会社法施行規則第74条) 取締役候補者の氏名、生年月日、略歴、当社における地位及び担当、所有する当社株式数、他の会社の代表状況、当社との特別な利害関係の有無、社外取締役候補者の場合は独立性に関する事項を候補者ごとに記載する。
- 第2号議案の提案の理由(会社法施行規則第73条第1項第2号) 現任取締役の任期満了に伴う改選である旨、又は事業体制強化のための新任である旨など、具体的な選任の趣旨を記載する。
- 議案に関する追加情報(会社法施行規則第73条第1項第3号) 法令又は定款により当該議案について株主総会の決議が必要とされる理由、その他株主の判断に資すると認められる事項を記載する。
- 議決権の代理行使 株主総会に出席できない株主は、他の株主1名を代理人として議決権を行使することができます。代理権を証明する書面をご提出ください。
- 電磁的方法による議決権行使との関係 【電磁的方法による議決権行使を併用する場合はその方法及び優先順位、併用しない場合はその旨】
- 議決権の不統一行使 株主が2以上の議決権を有する場合において、これを統一しないで行使しようとするときは、総会の日の3日前までに当社に対しその旨及び理由を通知してください。
- お問合せ先 【担当部署名、連絡先電話番号・メールアドレス】
以上
【20XX年X月X日】 【本店所在地】 【会社名】 【代表取締役氏名】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 書面投票制度(会社法第298条第1項第3号に基づき書面投票を採用する場面)
書面投票制度を採用する会社では、議決権行使書面の様式及び返送方法を参考書類とあわせて設計する必要がある。書き換え例として第3項に続けて、「議決権行使書用紙に議案ごとの賛否を明記のうえ、同封の返信用封筒によりご返送ください。なお、期限までに到着しない場合は棄権として取り扱います」との一文を加えることで、株主に返送方法と未着時の取扱いを明確に伝えることができる。また、書面投票と電磁的方法による投票を併用する会社では、両者が重複して行使された場合の優先順位(通常は後に到達したもの又は電磁的方法を優先する取扱い)をあらかじめ定め、参考書類上に記載しておくことが望ましい。
B. 招集通知添付(招集通知本体と一体で株主に送付する場面)
参考書類は招集通知に添付する書類であって、招集通知そのものではない点に留意が必要である。招集通知添付書類として作成する場合、書き換え例として第1項の前に「本参考書類は、【20XX年X月X日】付で発送した第【 】回定時株主総会招集ご通知に添付するものです」との一文を加え、招集通知との対応関係を明示する。また、招集通知の発送は会社法第299条第1項により総会日の一定期間前(公開会社では原則2週間前)までに行う必要があるため、参考書類の印刷・封入スケジュールを招集通知の発送期限から逆算して管理することが実務上重要である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面: 取締役会において書面による議決権行使の方法を採用する旨を決定した会社(会社法第298条第1項第3号)が、株主総会の招集通知に際して株主に交付する参考書類を作成する場合に使用する。本書式は取締役会議事録や招集通知そのものではなく、株主の議決権行使の判断材料となる「参考書類」本体である点を明確に区別して用いる必要がある。書面投票を採用しない会社(取締役等の人数が少なく全株主が出席可能な非公開会社など)では会社法第301条の交付義務が生じない場合もあるため、その場合は本書式を無理に用いる必要はない。
根拠法令: 会社法第298条第1項第3号(書面投票制度を採用する旨の決定)、同法第301条第1項(書面投票を採用する場合の議決権行使書面及び参考書類の交付義務)、同法第311条(書面による議決権行使の効力発生、総会の日時の直前の営業時間終了時までの提出)、会社法施行規則第73条(参考書類の記載事項、議案の概要・提案の理由・追加情報)、同規則第74条(取締役等の選任議案における個別記載事項)、同規則第77条(剰余金の処分議案における個別記載事項)。上場会社においては金融商品取引法上の開示規制(有価証券報告書等)との整合にも留意する必要がある。
実務でよくある失敗と対策: (a) 議案の「提案の理由」(会社法施行規則第73条第1項第2号)を「取締役会の決議に基づき提案するものです」といった形式的な一文で済ませてしまい、株主が議決権行使の可否を判断するための実質的な情報が不足するケースがある。これを防ぐには、業績動向、資金使途、選任の背景事情など、議案の内容に即した具体的な理由を記載することが必要である。 (b) 取締役選任議案において、会社法施行規則第74条が求める候補者の略歴、他の会社の代表状況、当社との特別な利害関係の有無等の記載を一部欠いてしまうケースがある。特に社外取締役候補者については独立性に関する事項の記載も求められるため、候補者ごとにチェックリストを用いて記載事項を網羅する運用が有効である。 (c) 議決権行使書面の返送期限(会社法第311条第1項、総会の日時の直前の営業時間終了時までが実務上の目安とされる)を参考書類上に明記せず、株主が返送期限を誤認して行使機会を逸するリスクがある。第3項のように返送期限を具体的な日時で明記し、あわせて期限を過ぎた場合の取扱い(棄権扱いとなる旨)も記載することが望ましい。
参考書類の記載内容は上場・非上場の別や議案の内容によって求められる水準が異なるため、個別事案については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 会社が会社法第298条第1項第3号に基づき書面投票制度を採用していることを確認したか
- [ ] 議案ごとの概要及び提案の理由(会社法施行規則第73条第1項)を具体的に記載したか
- [ ] 取締役等の選任議案について会社法施行規則第74条の個別記載事項を網羅したか
- [ ] 剰余金の処分議案について会社法施行規則第77条の個別記載事項を網羅したか
- [ ] 議決権行使書面の返送期限(会社法第311条第1項)を具体的な日時で明記したか
- [ ] 返送期限経過後の取扱い(棄権扱い等)を記載したか
- [ ] 招集通知との対応関係(発送日・添付関係)を明確にしたか
- [ ] 電磁的方法による議決権行使を併用する場合、優先順位の取扱いを記載したか
- [ ] 議決権の代理行使及び不統一行使に関する案内を記載したか
- [ ] 社外取締役候補者がいる場合、独立性に関する事項を記載したか