賠償請求の根拠となる損害額を項目別に算定する書式です。修理費、代車費用、休業損害、慰謝料の計算過程を明示します。想定される例外的な場面への対応方針も補足しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
損害額算定書
第1部: 書式本文
損害額算定書
作成日: 【 】 事故番号: 【 】 請求者: 【氏名】 相手方: 【氏名又は保険会社名】
本書は、【発生日】に発生した事故により請求者に生じた損害額を、下記の区分に従い算定したものである。
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算定の前提 本算定は、【裁判基準/自賠責基準/任意保険基準】のうち【 】を基礎として行った。基準を異にする算定を併記する場合は、別紙比較表【 】を参照する。
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物的損害 (1) 修理費: 金【 】円(【修理工場名】見積書、発行日【 】に基づく) (2) 評価損(格落ち損): 金【 】円(算定根拠: 車種・年式・走行距離・修理歴等【 】) (3) 代車費用: 金【 】円(使用期間【 】日×日額【 】円) (4) 積載物損害: 金【 】円 (5) 物的損害小計: 金【 】円
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人身損害(傷害部分) (1) 治療費: 金【 】円 (2) 通院交通費: 金【 】円(通院日数【 】日、1日あたり【 】円) (3) 休業損害: 金【 】円(算定式: 基礎収入日額【 】円×休業日数【 】日) (4) 入通院慰謝料: 金【 】円(算定基準: 【 】、通院期間【 】か月) (5) 傷害部分小計: 金【 】円
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後遺障害等級認定後の損害(該当する場合) (1) 後遺障害逸失利益: 金【 】円(算定式: 基礎収入【 】円×労働能力喪失率【 】%×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数【 】) (2) 後遺障害慰謝料: 金【 】円(認定等級: 第【 】級) (3) 後遺障害部分小計: 金【 】円
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損害額合計(過失相殺前) 金【 】円(2+3+4の合計)
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過失相殺 請求者の過失割合を【 】割と評価し、民法第722条第2項に基づき、前項合計額から当該割合に相当する額を控除する。 控除額: 金【 】円 過失相殺後の損害額: 金【 】円
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既払金・損益相殺 自賠責保険等からの既払金: 金【 】円 その他損益相殺の対象額(健康保険給付、労災給付等): 金【 】円 差引後の請求額: 金【 】円
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算定根拠資料一覧 診断書、診療報酬明細書、休業損害証明書、修理見積書、事故状況説明図、後遺障害診断書(該当する場合)等、別紙のとおり添付する。
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算定の留保事項 症状固定前の場合、本算定は暫定であり、今後の治療経過により変動し得る旨を付記する。
以上、上記のとおり損害額を算定したので、確認のうえご回答いただきたい。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 請求者側の視点による修正パターン
請求者側で作成する場合、裁判基準による算定を基本としつつ、保険会社基準との差額を可視化することが交渉上有効である。第1項及び別紙比較表を次のように修正する。
修正例(第1項): 「本算定は裁判基準(裁判実務で用いられる算定基準)を基礎として行い、参考として自賠責基準及び相手方提示の任意保険基準による算定額を別紙比較表に併記する。両基準の差額については、その発生要因(慰謝料算定表の違い、休業損害の基礎収入の捉え方の違い等)を注記する。」
一言解説: 差額の発生要因を注記することで、単なる金額の対立ではなく、算定方法の違いに争点を絞り込み、交渉を建設的に進めやすくなる。
B節 相手方・保険会社側の視点による修正パターン
相手方又は保険会社側が算定書を検証・反論する場合、争いのある項目とない項目を区分し、部分的な合意形成を図る条項を加える。第9項の後に次の項目を追加する。
追加例: 「本算定書のうち、物的損害(第2項)については争いがないものとして先行協議を行い、人身損害(第3項以下)のうち休業損害の基礎収入及び後遺障害の労働能力喪失率については、追加資料(源泉徴収票、業務内容申告書等)の提出を受けたうえで別途回答する。」
一言解説: 争点を項目単位で切り分けることで、全体の解決を待たずに合意可能な部分から先に処理でき、交渉の停滞を防げる。
C節 事業所得者・主婦(主夫)など基礎収入の算定に争いが生じやすい場合の修正パターン
給与所得者以外の休業損害算定では、基礎収入の設定自体が争点となりやすいため、第3項(3)を次のように補強する。
補強例: 「請求者が事業所得者である場合、基礎収入は前年の確定申告書記載の所得金額を基礎とし、固定経費のうち休業中も支出を継続した部分を加算する。主婦(主夫)である場合、賃金センサスの女性(又は男性)全年齢平均賃金を基礎収入とする。」
一言解説: 職業属性ごとに算定方法の選択肢を明示しておくことで、基礎収入をめぐる不毛な水掛け論を避け、根拠のある協議に導きやすくなる。特に確定申告をしていない事業所得者の場合は、通帳や取引記録など代替資料の準備も併せて検討すべきである。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面
交通事故等により生じた損害について、請求者が具体的な算定過程・根拠資料を示して相手方又はその保険会社との交渉材料とする場面で使用する。特に、修理費・休業損害・慰謝料など複数項目にわたる損害を整理し、過失相殺や既払金控除まで含めた最終請求額を明確化する目的で用いる。
使ってはいけない場面
後遺障害等級の認定前に確定的な逸失利益・後遺障害慰謝料を算定・請求する場面には適さない。等級認定前の算定はあくまで見込み額にとどまる旨を明記しなければ、後日の等級認定結果と齟齬を生じ、算定書自体の信用性を損なうおそれがある。
根拠法令
民法第416条は、債務不履行による損害賠償の範囲について、通常生ずべき損害(通常損害)を賠償の範囲とし、特別の事情によって生じた損害についても当事者がその事情を予見すべきであったときは賠償の範囲に含める旨を定めており、不法行為に基づく損害賠償の範囲についてもこの規律が及ぶとするのが判例・実務の扱いである。民法第722条第2項は、被害者に過失があったときは、裁判所がこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる旨を定め、過失相殺の根拠となる。実務上は、裁判基準(裁判実務で用いられる算定基準)、自賠責保険基準、任意保険会社の内部基準の3つが並存し、それぞれ算定結果が異なる点に留意が必要である。
よくある失敗と条項上の対策
- 算定基準を明示しないまま金額のみ提示してしまう: 第1項のように依拠した基準を明記し、比較表で他基準との差異を示す。
- 休業損害の基礎収入の算定根拠が不明確: 給与所得者・事業所得者・主婦(主夫)など属性によって算定方法が異なるため、算定式と根拠資料を項目ごとに明示する。
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既払金・損益相殺の控除漏れ又は二重計上: 第7項のように既払金と損益相殺対象額を区分して明記し、最終請求額との整合性を確認する。
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中間利息控除の考慮漏れ: 後遺障害逸失利益の算定において、将来分の収入を現在価値に引き直す際にライプニッツ係数による中間利息控除を行わないと、算定額が過大となる。第4項(1)のように係数を明示して算定式を可視化する。
なお、裁判基準と保険会社基準の差異は、特に入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料の算定表において顕著であり、任意保険基準は裁判基準を下回ることが一般的である点も、交渉の初期段階で認識しておくべきである。
損害額の算定基準は事案の属性(職業、後遺障害の有無、過失割合等)により大きく変動するため、個別事案は専門家に確認のうえ、本書式の算定式・金額を具体的資料に基づき修正して使用する必要がある。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 依拠した算定基準(裁判基準・自賠責基準・任意保険基準)を明記したか
- [ ] 物的損害(修理費・評価損・代車費用等)の内訳と根拠資料を整理したか
- [ ] 休業損害の算定式(基礎収入×休業日数)と根拠資料を明示したか
- [ ] 慰謝料の算定根拠(通院期間・認定等級等)を明記したか
- [ ] 後遺障害等級認定の有無を確認し、認定前は暫定算定である旨を明記したか
- [ ] 過失割合とその根拠(民法第722条第2項)を明示したか
- [ ] 既払金及び損益相殺の対象額を控除したか
- [ ] 算定根拠資料一覧を添付したか
- [ ] 症状固定前後の区分を明記したか
- [ ] 争いのある項目とない項目を区分できているか
- [ ] 請求者の職業属性に応じた基礎収入の算定方法を選択したか
- [ ] 後遺障害逸失利益の算定でライプニッツ係数による中間利息控除を行ったか
- [ ] 裁判基準と保険会社基準の差異が生じる項目(慰謝料等)を把握しているか