被相続人と相続人の関係を図示する書式です。登記申請時に戸籍謄本の原本還付を受けるための記載事項を満たしています。提出先や保存期間の目安もあわせて整理しています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
相続関係説明図
第1部: 書式本文
1. 表題 「相続関係説明図」又は「被相続人○○ 相続関係説明図」と冒頭に記載する。
2. 被相続人の表示 【最後の本籍】【最後の住所】【氏名】【生年月日】【死亡年月日】を図の起点に記載する。「(被相続人)」と併記する。
3. 作成日及び作成者の表示 図の末尾に【作成年月日】及び【作成者の氏名(記名で足り、押印は不要とする取扱いが一般的)】を記載する欄を設ける。
4. 相続人の表示形式 各相続人について【氏名】【生年月日】【被相続人との続柄】を記載し、被相続人との関係を線でつなぐ。既に死亡している相続人がいる場合は「(死亡)」及び【死亡年月日】を付記し、代襲相続の関係を示す線を分岐させる。
5. 相続放棄をした者の表示 相続放棄をした相続人がいる場合、氏名の横に「相続放棄」と付記する。ただし、相続放棄の事実は登記申請の添付書面としては別途相続放棄申述受理証明書が必要であり、本図の記載のみでは登記原因を証する書面とはならない点に留意する。
6. 遺産分割の結果を反映する記載 不動産を取得する相続人の氏名の横に「(相続)」と記載し、他の相続人には「(分割)」等と記載して、遺産分割協議の結果、当該不動産を取得しない相続人であることを明示する取扱いが実務上行われている。
7. 本籍の記載省略に関する注記 相続人については、本籍の記載を省略し住所のみを記載する取扱いも見られるが、登記申請の便宜のためには本籍を記載しておくことが望ましい。
8. 図の様式に関する注記 用紙はA4サイズとし、家系図の形式(横書き・系統線を用いる図)で作成する。文字は明瞭に判読できるよう記載する。
9. 添付を要する原本の一覧との対応 図の下部又は別紙に、還付を希望する戸籍謄本等の原本一覧(【被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)】【相続人全員の戸籍謄本】【住民票】等)を記載し、原本と図の記載内容が対応していることを明示する。
10. 登記申請書との関連付け 登記申請書の添付書類欄に「相続関係説明図」を記載し、原本還付を希望する旨を申請書側にも記載する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節 相続人(作成者)としての記載パターン
A-1. 数次相続が発生している場合 被相続人の死亡後、遺産分割前に相続人の一人が死亡した場合(数次相続)、図を二段構成とし、「第一次相続の被相続人」と「第二次相続の被相続人」をそれぞれ起点として系統を分けて記載する。「(令和○年○月○日死亡・第二次相続の被相続人)」のように注記を付す。数次相続の場合、法務局によっては相続関係説明図を「第一次相続分」「第二次相続分」に分けて2通作成するよう案内されることがあるため、事前に申請先法務局の運用を確認することが望ましい。
A-2. 養子縁組がある場合 養子について「(養子)」と続柄を明記し、実親・養親双方との関係を系統線で示す。特別養子縁組の場合は実方との親族関係が終了するため、実親側との系統線を記載しない。
A-3. 相続人の一部が海外在住の場合 住所欄に【現地の住所(在外公館発行の在留証明の記載どおり)】を記載し、戸籍謄本に代えてサイン証明・在留証明を取得した旨を別紙に注記する。
B節 法務局・金融機関(提出先)ごとの留意パターン
B-1. 法務局(不動産登記申請)向け 登記申請書に相続関係説明図を添付すると、戸籍謄本等の原本の還付を受けられる取扱いが実務上定着している。この取扱いは、登記官が図の記載内容と戸籍謄本の記載内容を照合し、相続人の範囲に誤りがないことを確認できることを前提とするため、記載漏れや誤記があると原本還付を受けられない、又は補正を求められることがある。
B-2. 金融機関(預金の払戻し・名義変更)向け 金融機関によっては、独自の相続関係一覧表の提出を求められる場合があり、本図をそのまま流用できないことがある。また、金融機関は原本還付の運用が法務局と異なる場合があるため、事前に各金融機関の窓口で必要書類を確認することが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
相続関係説明図は、不動産登記における相続登記申請の際に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式や相続人全員の戸籍謄本といった大部の書類の原本還付を受けるために広く用いられている書式である。この取扱いは、不動産登記規則における原本還付の実務運用及び登記実務上の先例に基づくものであり、相続関係説明図を提出することで、登記官が戸籍謄本等の記載内容を確認したうえで原本を返却する取扱いが定着している。
使う場面は、相続を原因とする不動産の所有権移転登記(相続登記)を申請する場合であり、戸籍謄本等の原本を手元に残しておきたいときに特に有用である。他方、法定相続情報一覧図の写しを既に取得している場合は、当該写しをもって戸籍謄本等の代わりとすることができるため、相続関係説明図を別途作成する必要性は低くなる。また、相続関係説明図は法務局の証明を受けるものではなく、あくまで申請人が作成する私文書にとどまる点で、法務局長名の認証を受ける法定相続情報一覧図の写しとは性質が異なる。金融機関の中には相続関係説明図のみでは足りず、法定相続情報一覧図の写し又は戸籍謄本一式の提示を求めるところもあるため、提出先の要求水準を事前に確認する必要がある。
よくある失敗の第一は、相続人の記載漏れである。被相続人の戸籍を出生まで遡って確認しないと、前婚の子や認知した子の存在に気付かないことがあり、図に記載漏れがあると登記官から補正を求められ、原本還付を受けられないおそれがある。対策として、戸籍謄本一式を出生まで遡って取得し、相続人の範囲を確定させたうえで図を作成することが不可欠である。
第二の失敗は、数次相続が発生している事案で系統を単純化しすぎることである。第一次相続と第二次相続を区別せずに一枚の図にまとめてしまうと、各相続における相続人の範囲や相続分の考え方が不明確になり、登記官の確認作業が滞る原因となる。対策として、数次相続の場合は各相続を明確に区分した記載とすることが望ましい。
第三の失敗は、遺産分割の結果を図に反映しないまま提出することである。不動産を取得しない相続人についても単に「相続人」とだけ記載すると、実際の権利関係との対応が分かりにくくなる。対策として、取得者には「(相続)」、非取得者には「(分割)」等と付記し、遺産分割の結果と整合させることが望ましい。個別の事案については専門家(弁護士・司法書士等)に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 被相続人の出生から死亡までの戸籍を遡り、相続人の範囲を確定したか
- [ ] 図に記載した相続人と戸籍謄本の記載内容が一致しているか
- [ ] 数次相続がある場合、第一次・第二次相続を区別して記載したか
- [ ] 養子縁組・認知等、特殊な身分関係がある場合に続柄を正確に記載したか
- [ ] 死亡した相続人及び代襲相続の関係を正確に図示したか
- [ ] 相続放棄をした者がいる場合、その旨を付記し、受理証明書を別途準備したか
- [ ] 遺産分割の結果(取得者・非取得者)を図に反映したか
- [ ] 作成年月日及び作成者の氏名を記載したか
- [ ] 登記申請書の添付書類欄に相続関係説明図を記載し、原本還付を希望する旨を明示したか
- [ ] 提出先(法務局・金融機関)ごとに求められる様式が異なる可能性を確認したか