企業がイベントやチームへ協賛する際のスポンサーシップ契約書。ロゴ使用の商標権許諾範囲や露出保証、景品表示法に配慮した表示条件を定めます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
スポンサーシップ契約書
第1部: 書式本文
【スポンサー企業名】(以下「甲」という。)と【権利者名(主催者・チーム)】(以下「乙」という。)とは、乙が主催又は運営する【イベント・チーム名称】(以下「本対象」という。)に対する甲の協賛に関し、次のとおりスポンサーシップ契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的) 乙は、甲から協賛金の提供を受け、これと引き換えに、甲に対し本契約に定める露出機会及び権利を付与する。
第2条(協賛金) 1. 甲は乙に対し、協賛金として金【〇〇】円(消費税別)を、【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】までに乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。 2. 前項の協賛金は、本契約に定める甲の露出機会及び権利の対価であり、返還を要しない。ただし第7条に定める場合はこの限りでない。
第3条(商標等の使用許諾) 1. 乙は甲に対し、乙が保有し又は管理する商標、ロゴマーク及び名称(以下「乙標章」という。)を、本契約に定める露出媒体及び用途に限り、非独占的に使用することを許諾する。 2. 甲は、乙標章を第4条に定める露出媒体以外の広告、商品又はサービスに使用する場合、事前に乙の書面による承諾を得るものとし、承諾なく乙標章を改変してはならない。 3. 甲は、乙標章の使用にあたり、商標法(昭和34年法律第127号)上の商標権が乙又は第三者に帰属すること、及び本条の許諾が使用権の設定又は移転を伴わないことを確認する。
第4条(露出機会) 乙は甲に対し、次の露出機会を提供する。 (1) 会場内における甲の社名・ロゴの表示 (2) 公式ウェブサイト及び公式SNSにおける甲のロゴ掲載 (3) 【その他の露出機会】
第5条(露出の保証及び未達成時の措置) 1. 乙は、第4条に定める露出機会を合理的な努力をもって提供するものとし、来場者数、視聴者数その他の露出効果を保証するものではない。 2. ただし、乙の責めに帰すべき事由により第4条各号の露出が実施されなかった場合、甲乙協議の上、協賛金の一部返金又は次回以降の露出機会による代替提供その他の是正措置を講じる。
第6条(表示内容の適正化) 1. 甲及び乙は、本契約に基づく広告及び告知において、本対象の内容、効果又は取引条件について、実際のもの又は事実に相違して著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるおそれのある表示を行ってはならない。 2. 甲及び乙は、前項の表示が不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)第5条に定める優良誤認表示又は有利誤認表示に該当しないよう、表示内容を事前に相互確認する。
第7条(中止・延期時の取扱い) 1. 乙の責めに帰すべき事由により本対象が開催されなかった場合、乙は既に受領した協賛金のうち、未提供の露出機会に対応する部分を甲に返金する。 2. 天災その他の不可抗力により本対象が中止された場合、甲乙協議の上、協賛金の返金の要否及び範囲を定める。
第8条(有効期間) 本契約の有効期間は【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】から【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】までとする。
第9条(秘密保持) 甲及び乙は、本契約の履行に関連して知り得た相手方の営業上の情報を、相手方の承諾なく第三者に開示してはならない。
第10条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当せず、これらと関係を有しないことを表明し保証する。
第11条(協議及び合意管轄) 本契約に関する紛争は、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上の合意を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。
【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
(甲) 名称:【 】 代表者:【 】 印 (乙) 名称:【 】 代表者:【 】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. スポンサー(協賛企業)向け
A-1. 露出効果が期待を下回った場合に備える場面
第5条2項修正例:「会場来場者数が【〇〇】人を下回った場合、乙は甲に対し、協賛金の【10】パーセントに相当する額を減額して返金する。」 解説: 露出保証を数値化した客観的な下限基準に置き換えることで、協議の余地を残しつつ最低限の是正を確保する。
A-2. 自社の広告表示に本対象の実績を用いる場面
第6条2項追加例:「甲が本対象の来場者数、視聴者数その他の実績を自社広告に引用する場合、乙が提供する公式データに基づくものとし、実際の数値を超えて表示してはならない。」 解説: スポンサー側が実績を誇張して広告表示すると景品表示法第5条の有利誤認表示のリスクが甲自身にも生じるため、引用元データを限定する。
B. 権利者(主催者・チーム)向け
B-1. 複数スポンサーの露出を差別化する場面
第4条修正例:「乙は、協賛金額の階級に応じて【タイトルスポンサー】【オフィシャルスポンサー】等の区分を設け、区分ごとに提供する露出機会の内容及び優先順位を別紙のとおり定める。」 解説: 露出機会を階層化して明文化することで、他のスポンサーとの露出範囲の重複や不公平感によるクレームを防止する。
B-2. 天災等により開催中止となった場面
第7条2項修正例:「不可抗力により本対象が中止された場合、乙は協賛金の返金に代えて、翌年度開催時の同等の露出機会の提供を提案することができ、甲がこれを承諾したときは返金義務を負わない。」 解説: 一律返金ではなく代替提供の選択肢を設けることで、乙の資金繰りへの影響を緩和しつつ甲の利益にも配慮する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、企業がイベントやスポーツチーム等に金銭を提供し、その対価として商標使用や露出機会を得る協賛契約に用いる。単なる寄付として対価性のない資金提供を行う場合や、広告掲載枠の単純な売買にとどまる場合には、権利関係がより単純な広告掲載契約書を用いるべきであり、本書式のような包括的な権利許諾構成はなじまない。
根拠法令 乙標章の使用許諾については商標法上の商標権が乙又は第三者に帰属することを前提に、非独占的な使用権を契約上設定する構成をとる(商標法第25条以下が定める商標権の効力及び使用権の考え方を参照)。表示内容については、不当景品類及び不当表示防止法第5条が、商品又は役務の内容や取引条件について実際より著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認させる表示を禁止しており、スポンサー本人及び権利者の双方の広告表示がこの規制の対象となり得る。
実務でよくある失敗と対策 第一に、露出効果(来場者数や視聴者数の獲得)そのものを保証する条項を置き、未達成時に契約不履行として争われる失敗がある。第5条1項のように露出機会の提供を義務の内容とし、効果自体は保証しない旨を明記する。第二に、露出保証未達時の是正措置を定めず、協議が整わないまま紛争化する失敗がある。第5条2項のように減額又は代替提供の枠組みをあらかじめ用意する。第三に、実績数値を誇張して広告に用い、景品表示法上の有利誤認表示に該当するおそれが生じる失敗もある。表示規制の適用は個別の表示態様により判断が分かれるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 協賛金の金額、支払時期及び返還条件を明記したか
- [ ] 乙標章の使用許諾範囲(媒体・用途・改変の可否)を具体的に定めたか
- [ ] 商標権の帰属と非独占的使用許諾であることを明記したか
- [ ] 提供する露出機会を具体的に列挙したか
- [ ] 露出効果自体は保証しない旨と、未達成時の是正措置を分けて規定したか
- [ ] 広告表示が景品表示法第5条の優良誤認・有利誤認表示に該当しないか相互確認する仕組みを設けたか
- [ ] 実績データの引用元及び上限を定めたか
- [ ] 開催中止・延期時の協賛金返金又は代替提供の条件を定めたか
- [ ] 複数スポンサーが存在する場合の露出範囲の重複防止を検討したか