取引先の環境管理体制と法令遵守状況を確認する調査票です。許認可、化学物質管理、排出データの提供可否を確認します。社内の承認手続と証跡管理にもそのまま活用できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
サプライヤー環境調査票
第1部: 書式本文
サプライヤー環境調査票
調達企業:【調達企業名】 回答企業:【サプライヤー企業名】 回答責任者:【役職・氏名】 提出期限:【20〇〇年〇月〇日】
第1項 基本情報 1. 事業所名及び所在地【 】 2. 主要事業内容【 】 3. 従業員数【 】名 4. ISO14001その他環境マネジメントシステムの認証取得状況【有・無】(有の場合、認証機関・取得年月日を記載)
第2項 法令遵守状況 5. 事業所に適用される環境関連法令(大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法、フロン排出抑制法、土壌汚染対策法等)のうち、該当するものすべてに【✓】を付し、直近3年間の行政指導・改善命令・許可取消しの有無を記載してください。 6. 上記法令に基づく届出・許可・登録の一覧(許可番号、有効期限を含む)を別紙にて添付してください。
第3項 化学物質管理 7. 化学物質排出把握管理促進法(化管法)に基づくPRTR対象物質の取扱いの有無【有・無】 8. 取扱いがある場合、物質名、年間取扱量、排出・移動量を別紙SDS等と併せて開示してください。
第4項 温室効果ガス・エネルギー 9. 直近事業年度の温室効果ガス排出量(Scope1・Scope2)【 】t-CO2 10. 貴社への納入品・サービスに関連するScope3排出量データの提供可否【可・条件付き可・不可】
第5項 廃棄物・資源循環 11. 産業廃棄物の処理委託先及び許可番号一覧を別紙で提出してください。 12. 再生材・リサイクル材の使用比率【 】%
第6項 是正・改善計画 13. 前各項の回答内容において行政指導・改善命令等の履歴がある場合、是正措置の内容及び完了予定時期を記載してください。 14. 環境負荷低減に向けた今後1〜3年の取組計画(設備投資、認証取得予定等)があれば概要を記載してください。
第7項 秘密保持 15. 調達企業は、本調査票により取得した情報を、サプライチェーン管理及び法令遵守状況の確認以外の目的に使用しないものとし、第三者への開示は回答企業の事前承諾又は法令上の要請がある場合に限るものとします。
第8項 確認事項 16. 本調査票の記載内容が事実と相違ないことを表明し、虚偽記載が判明した場合は取引条件の見直し対象となることに同意します。 17. 提出書類の保存期間は提出日から【5】年間とし、調達企業の求めに応じて追加資料の提出に応じるものとします。
回答日:【 】 回答企業 記名押印:【 】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 調達企業側で厳格に運用したい場合
第2項に「未回答又は虚偽回答が判明した場合、新規発注の停止及び既存契約の解除事由とする」旨を追加する。取引基本契約の解除条項と整合させ、単独の調査票だけで解除効を持たせない設計にすることがポイントです。
B節: サプライヤー側が中小企業で対応負担を抑えたい場合
第2項・第3項について「該当する範囲で合理的に把握している情報を提出する」旨の限定文言を加え、「保有していない情報については保有時点で追送する」との代替対応を明記する。全数調査を前提とせず、段階的な情報開示を可能にする書き換えです。
C節: グループ会社(海外拠点含む)を対象とする場合
第1項に「本調査票は貴社及び貴社が実質的に支配する子会社・関連会社(海外拠点を含む)を対象とする」との定義を追加し、現地法令の名称を注記欄に記載できるようにする。日本の法令名のみでは海外拠点の実態を捕捉できないための修正です。
D節: 一次調査後にフォローアップ調査を行う場合
「本調査票は初回調査であり、次回調査は【 】年後を目安に実施する」との条項を追加し、変更が生じた場合の中間報告義務(重大な行政処分・事故発生時は速やかに報告)を第6項に加える。
E節: 是正措置を求める段階で使用する場合
既に軽微な指摘事項が判明しているサプライヤーに対しては、第6項の是正計画欄を独立させ、「是正措置の完了報告を【 】か月以内に行うものとし、期限内に報告がない場合は取引条件を見直すことがある」との実効性を持たせた文言に修正する。単なる情報収集にとどめず、改善サイクルを回す運用に適した書き換えです。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、調達企業がサプライチェーン全体の環境リスクを把握し、取引先の法令遵守状況を確認する目的で使用します。CSR調達方針やサプライヤー行動規範の一環として、新規取引開始時や定期的なモニタリングの場面で活用するのが典型です。逆に、調査票の回答結果のみをもって取引先の環境法令適合性を保証する趣旨で使うべきではありません。調査票はあくまで自己申告に基づく一次スクリーニングであり、必要に応じて現地監査や第三者認証の確認と組み合わせることが望まれます。
根拠となる法令としては、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律などが挙げられます。また、独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当しないよう、調査事項は取引の性質に照らして合理的な範囲にとどめる必要があります。下請代金支払遅延等防止法(下請法)が適用される取引では、調査への回答を理由に不当な減額や取引停止を行うことは同法違反となり得る点にも留意が必要です。
よくある失敗として、第一に、調査項目が過大で回答企業の実務負担を超え、形骸的な回答しか得られないケースがあります。対策として、第2項・第3項のように「該当するもののみ」を基本とし、業種・規模に応じた記載範囲の限定を条項上明記することが有効です。第二に、虚偽記載が判明した場合の効果が曖昧で、実際に是正措置を求める根拠にならないケースです。第13項のように取引条件見直しの根拠となる旨を明記し、取引基本契約側の解除条項とリンクさせておく必要があります。第三に、提出データの保存・管理体制が定められておらず、個人情報や機密情報の取扱いが不明確になるケースです。第14項のように保存期間と開示先の範囲を明示し、必要に応じて秘密保持条項を別途締結することが望まれます。なお、個別の取引における適法性の最終判断や、下請法・独占禁止法の該当性については、事案ごとの取引実態を踏まえた検討が必要であるため、個別事案は専門家に確認することを推奨します。
使ってはいけない場面としては、取引開始の交渉力を背景に、調査票の回答内容を理由として一方的な価格引下げや発注停止を通告する目的で使用することが挙げられます。このような運用は、独占禁止法上の優越的地位の濫用や下請法違反のリスクを高めるため、是正措置は合理的な猶予期間を設けたうえで、双方協議を経て行う設計とすることが望まれます。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 調査対象企業の範囲(グループ会社・海外拠点の扱い)を明確にしたか
- [ ] 調査項目が取引内容に照らして過大でないか確認したか
- [ ] 下請法・独占禁止法上の優越的地位濫用に該当するおそれがないか検討したか
- [ ] 虚偽記載時の取扱い(取引条件見直し・契約解除)を取引基本契約と整合させたか
- [ ] 提出データの保存期間・保存方法・開示範囲を明記したか
- [ ] 化学物質・廃棄物等の専門項目について、SDSなど添付資料の要否を確認したか
- [ ] 回答企業の規模に応じた記載負担の軽減措置(限定文言)を検討したか
- [ ] 次回調査の実施時期・中間報告義務の要否を検討したか
- [ ] 回答責任者及び記名押印欄の記載方法を確認したか
- [ ] 社内での回収・集計・フォローアップ体制を事前に整備したか
- [ ] 秘密保持条項の要否及び第三者開示の条件を確認したか
- [ ] 是正措置の完了報告期限と未達成時の対応方針を定めたか