退職を勧める面談における発言内容と本人の意向を客観的に残す場面で使う様式。強要による意思表示の瑕疵や不法行為の主張に備え、面談回数と所要時間も記録する。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
退職勧奨面談記録書
第1部: 書式本文
退職勧奨面談記録書
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対象者 氏名【 】 所属【 】 役職【 】
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面談実施日・回数 本件は【 】回目の面談である。これまでの面談日:【 】【 】【 】 本日の日時:【令和 年 月 日】 【 時 分】〜【 時 分】(所要時間【 】分)
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実施場所 【会議室名等、密室性の有無が分かる形で記載】
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出席者 会社側:【役職・氏名】、【役職・氏名】(記録担当) 対象者側:【氏名】、(同席者がいる場合)【氏名・立場】
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面談の目的・経緯 【退職勧奨に至った経緯(業績、配置転換の可否検討状況等)を客観的事実として記載】
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会社側の発言要旨 【会社側が伝えた内容を要約。「退職を強要した」との誤解を避けるため、退職を強制するものではない旨を伝えた場合はその旨も記載】
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対象者の発言要旨・反応 【対象者が述べた意見、質問、感情的反応等を要約。可能な限り発言に近い表現で記載】
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対象者の現時点での意向 □ 退職を前向きに検討する □ 検討したいので持ち帰る □ 退職の意思はない □ その他【 】
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提示した条件(提示した場合) 【退職日案、解決金の有無・金額目安、再就職支援の有無等を記載。確定的な約束をしたか、あくまで提案段階かを明記】
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次回面談の予定 【日時未定/令和 年 月 日予定】 次回までに会社側・対象者側それぞれが確認する事項:【 】
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本人への配慮事項 【面談中に休憩を挟んだか、体調不良の申出があったか、退席の自由を伝えたか等】
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特記事項 【威圧的な言動がなかったことの確認、対象者からの録音の申出への対応等、後日紛争になり得る事情があれば記載】
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面談継続の要否に関する社内判断 対象者が退職の意思がない旨を明確に示した場合、今後の面談継続の要否及び方針転換(配置転換の検討等)について、記録作成者から【役職】へ報告し、方針を確認する。
作成者:【役職・氏名】 作成日:【令和 年 月 日】 確認者(同席者):【役職・氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 人事担当者記録用
- 記載例:「会社側は、対象者に対し、退職するか否かはあくまで対象者本人の自由な判断による旨を明確に伝えた。」
- 一言解説:退職勧奨自体は直ちに違法となるものではないが、対象者の自由な意思決定を妨げていないことを記録上明確にしておくことが人事担当者としての防御に資する。
- 記載例:「本日の面談時間は【 】分であり、これまでの累計面談時間は【 】分である。」
- 一言解説:面談の頻度・長時間化は、それ自体が心理的圧迫と評価される要素となり得るため、累計時間を継続的に記録し、過度な繰り返しを避ける管理に用いる。人事担当者は面談記録を面談ごとに個別ファイルとして保存するのではなく、対象者ごとに時系列で通しの記録として管理すると、累計状況を把握しやすい。
B. 同席者記録用
- 記載例:「同席者として、会社側の発言に威圧的な言辞がなかったこと、対象者が任意に発言する機会が確保されていたことを確認した。」
- 一言解説:同席者は当事者である人事担当者とは独立した立場で客観的事実を確認する役割を担うため、圧力の有無に関する評価を独立の記録として残す。
- 記載例:「対象者から、本日の面談内容を録音したい旨の申出があり、会社側は【承諾/確認のうえ対応】した。」
- 一言解説:録音の申出への対応は後日の紛争で双方の主張の裏付けとなり得るため、対応の経緯を同席者の視点からも記録しておく。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、会社が従業員に対して退職を促す面談(退職勧奨)を実施する場面で、発言内容や対象者の意向を客観的に記録するために使用する。他方、対象者が明確に退職しない意思を示したにもかかわらず、それを無視して繰り返し面談を設定するような場面や、退職を事実上強制する手段として本書式の記録を体裁のみ整えるために用いる場面は、本書式の想定する用途ではない。
退職勧奨自体は、会社が労働者に退職の検討を促す行為であり、それのみで直ちに違法となるものではない。しかし、対象者の自由な意思決定を妨げるような態様(威迫的な言動、長時間・多数回にわたる執拗な面談等)で行われた場合には、退職の意思表示が民法第96条にいう強迫による意思表示として取り消され得るほか、面談の態様自体が民法第709条の不法行為に該当すると評価される可能性がある。本書式が面談の回数・所要時間・発言要旨・対象者の意向を項目として設けているのは、こうした強要や不法行為の主張がなされた場合に、面談の実際の経過を客観的に立証できるようにするためである。
実務でよくある失敗の一つは、面談記録を会社側の主張のみでまとめてしまい、対象者の発言や反応を十分に記録しないことである。これでは対象者から「一方的な記録であり信用できない」と指摘された場合に反論の根拠が乏しくなる。本書式は対象者の発言要旨・反応・意向を独立した項目として設け、双方の発言を対等に記録する構成としている。
二つ目の失敗は、面談の累計回数や所要時間を記録せず、結果として執拗な退職勧奨と評価されかねない実態が見えなくなることである。本書式は本日の面談が何回目かを明示し、過去の面談日を列挙する項目を設けることで、面談の頻度を継続的に把握できるようにしている。
三つ目の失敗は、面談中に提示した解決金や退職日等の条件について、確定的な合意なのか単なる提案段階なのかを記録上区別しないことである。これにより、対象者側から「確定的に合意したはずだ」と主張され、会社側の想定と食い違う紛争に発展することがある。本書式は提示条件の項目において、確定か提案かを明記する運用を想定している。
四つ目の失敗は、対象者が退職の意思がない旨を明確に示したにもかかわらず、記録に残すのみで社内の方針判断につなげず、同じ内容の面談を漫然と繰り返してしまうことである。対象者の拒絶の意思が示された後も執拗に面談を継続すれば、それ自体が退職強要と評価されるリスクが高まる。本書式は面談継続の要否について記録作成者から上位者へ報告する項目を設け、記録を漫然とした繰り返しの追認に使わせない工夫をしている。
なお、退職勧奨の態様が強要や不法行為に該当するか否かの評価は、面談の回数・時間・言動等の具体的事実関係に基づく個別の判断を要するため、事案ごとに弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 対象者の氏名・所属・役職が正確に記載されているか
- [ ] 本日の面談が通算何回目かが記録されているか
- [ ] 面談の所要時間(開始・終了時刻)が記録されているか
- [ ] 実施場所が記録され、密室性等が事後に検証できる内容になっているか
- [ ] 会社側出席者に記録担当が含まれているか
- [ ] 対象者側の発言要旨が対象者の視点からも記録されているか
- [ ] 対象者の現時点での意向が選択式又は具体的記述で記録されているか
- [ ] 提示した条件が確定事項か提案段階かが区別して記載されているか
- [ ] 本人への配慮事項(休憩、退席の自由の説明等)が記録されているか
- [ ] 威圧的言動の有無等、紛争予防上重要な特記事項欄が設けられているか
- [ ] 同席者による確認欄・署名欄が設けられているか
- [ ] 次回面談の要否・予定が記録されているか
- [ ] 対象者が拒絶の意思を示した場合の社内報告・方針確認の流れが記録に組み込まれているか
- [ ] 過去の面談記録との整合性(発言内容の矛盾がないか)を確認したか