セット内容
- 連帯保証契約書(金銭消費貸借附属)Word形式
- 極度額設定・保証意思確認(公正証書)の要否チェックリスト
- 保証人への説明事項まとめ
こんな場面で
金銭消費貸借契約を締結する際、借主の返済を担保するために第三者に連帯保証人となってもらう場面。
特長
- 個人根保証契約における極度額の明示義務(民法改正対応)に準拠した条項構成
- 経営者以外の第三者保証における公正証書での保証意思確認手続きの要否を解説
- 金銭消費貸借契約書(kinsen-shohitaisyaku-keiyaku)と組み合わせて利用する前提の条項設計
連帯保証契約書(金銭消費貸借附属)(監修用ドラフト)
⚠ 本ファイルは弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布を禁止する。
商品ID: tanpo-keiyaku-rentai-hosho / 価格: 1,480円 / 立場バージョン: 債権者側
金銭消費貸借契約書(kinsen-shohitaisyaku-keiyaku)と組み合わせて利用することを前提とした連帯保証契約書である。債権者・主債務者・連帯保証人の三者関係のうち、「債権者」と「連帯保証人」との間で締結される保証契約として条文を構成する。個人根保証契約における極度額の明示義務(民法465条の2)、主債務者の履行状況に関する情報提供義務(民法458条の2、458条の3)に対応するとともに、事業のために負担する債務についての第三者保証における公正証書での保証意思確認手続(民法465条の6〜465条の9)の要否について整理する。本ドラフトは債権者側に有利な視点を基調としつつ、民法改正による保証人保護規律を踏まえた条項設計とする。
第1部: 契約書本文(債権者側基準版)
連帯保証契約書
〇〇〇〇(以下「甲」といい、債権者とする。)と〇〇〇〇(以下「丙」といい、連帯保証人とする。)とは、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日付で甲と〇〇〇〇(以下「乙」といい、主債務者とする。)との間で締結された金銭消費貸借契約(以下「原契約」という。)に基づき乙が甲に対して負担する債務を担保するため、次のとおり連帯保証契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(保証の内容)
- 丙は、甲に対し、乙が原契約に基づき甲に対して負担する一切の債務(元金、利息、遅延損害金及び原契約上の債務不履行に伴う損害賠償債務を含む。以下「主債務」という。)について、乙と連帯してその履行の責任を負う。
- 丙は、民法第454条により、催告の抗弁及び検索の抗弁を有しない。
- 丙が数人ある場合であっても、各丙はそれぞれ主債務の全部について履行の責任を負うものとし、分別の利益を主張しない。
第2条(極度額)
- 本契約は、主債務の元本、主債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる一切のものについて丙が責任を負う根保証契約であるときは、民法第465条の2第1項の規定に基づき、丙が履行の責任を負う限度額(以下「極度額」という。)を金〇〇〇〇円と定める。
- 極度額を定めない保証契約は、その効力を生じない。
- 丙が履行の責任を負う金額は、元金、利息、遅延損害金その他一切の従たる債務を合算して極度額を上限とする。
第3条(保証期間)
- 本契約に基づく丙の保証の対象となる主債務は、〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇〇〇年〇〇月〇〇日までの間に生じるものに限る(以下「保証期間」という。)。
- 保証期間の満了後に生じた債務については、丙は保証の責任を負わない。ただし、保証期間中に生じた債務について、保証期間満了後に発生する利息及び遅延損害金は、この限りでない。
- 本契約が主債務の元本を確定すべき期日(元本確定期日)を定める根保証契約に該当する場合、当該元本確定期日は保証期間の末日と同日とする。元本確定期日の定めがないときは、民法第465条の3の規定によるものとする。
第4条(主債務の内容の変更)
- 甲及び乙は、丙の書面による事前の承諾を得ることなく、主債務の元金の増額、弁済期の変更その他丙の責任を加重する内容の変更を行ってはならない。
- 前項の承諾を得ずに主債務の内容が変更された場合、丙は、当該変更により加重された部分については責任を負わない。
第5条(主債務者の履行状況に関する情報提供義務)
- 甲は、丙の請求があったときは、遅滞なく、丙に対し、主債務の元本及び主債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない(民法第458条の2)。
- 丙が乙の委託を受けて保証をした場合であって、丙が個人であるときは、甲は、乙が期限の利益を喪失したことを知った時から2か月以内に、その旨を丙に通知しなければならない(民法第458条の3第1項)。
- 甲が前項の期間内に通知をしなかったときは、甲は、丙に対し、乙が期限の利益を喪失した時から通知を現に行うまでに生じた遅延損害金に係る保証債務の履行を請求することができない(民法第458条の3第2項)。
第6条(保証意思の確認)
- 丙は、本契約締結に先立ち、乙の事業の内容、原契約に基づく主債務の金額及び弁済条件、丙が保証人となることにより負担する責任の内容を理解した上で、自らの自由な意思に基づき本契約を締結するものであることを確認する。
- 主債務が丙の事業のために負担する貸金等債務に該当し、かつ丙が乙の経営者等(民法第465条の9に定める者をいう。以下同じ。)に該当しない個人であるときは、本契約は、本契約締結の日前1か月以内に作成された公正証書で丙が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない(民法第465条の6第1項、第465条の9)。
- 前項の場合、甲及び乙は、丙が公正証書による保証意思の確認手続を適法に履践したことを確認するために必要な資料の提出を求めることができる。
- 丙が乙の経営者等に該当する場合、又は主債務が丙の事業のために負担する貸金等債務に該当しない場合には、前2項の規定は適用されない。
第7条(主債務者による情報提供義務との関係)
- 丙は、本契約の締結が、乙が事業のために負担する債務を主債務とする委託を受けた保証であるときは、乙から、乙の財産及び収支の状況、主債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、主債務の担保として他に提供し又は提供しようとするものがあるときはその旨及びその内容について、あらかじめ情報の提供を受けたことを確認する。
- 乙が前項の情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために丙が誤認をし、それによって本契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、甲がそのことを知り又は知ることができたときは、丙は本契約を取り消すことができる(民法第465条の10)。
第8条(丙の求償権)
- 丙が本契約に基づき主債務を弁済したときは、丙は、乙に対し、弁済した額、免責のあった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を求償することができる。
- 丙は、乙に対する求償権を確保するため、弁済によって当然に甲が乙に対して有していた権利を代位行使することができる(民法第499条以下)。
第9条(丙による事前の通知)
丙は、主債務者である乙が弁済その他の免責行為を求められるべき事由が生じたことを知ったときは、あらかじめその旨を乙に通知した上で弁済その他免責の行為をするよう努めるものとする。
第10条(担保の変更・解除)
甲は、その担保を喪失し、又は減少させたときであっても、これによって丙が免責されることはないものとする。ただし、甲が故意又は重大な過失により担保を喪失し、又は減少させた場合は、この限りでない。
第11条(通知義務)
丙は、住所、勤務先若しくは事業所又は連絡先に変更が生じたとき、その他丙の資力に重大な影響を及ぼす事由が生じたときは、遅滞なく甲に通知しなければならない。
第12条(反社会的勢力の排除)
- 甲及び丙は、それぞれ相手方に対し、自己が暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団その他これらに準ずる者(以下「反社会的勢力」という。)に該当しないことを表明し、保証する。
- 甲又は丙が前項の表明保証に違反した場合、相手方は、何らの催告を要せず本契約を解除することができる。この場合、解除した当事者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
第13条(権利義務の譲渡禁止)
甲及び丙は、相手方の事前の書面による承諾を得ることなく、本契約上の地位並びに本契約に基づく権利及び義務を第三者に譲渡し、承継させ、又は担保に供してはならない。
第14条(有効期間)
本契約は、本契約締結の日から効力を生じ、主債務の完済(保証期間経過後に生じた遅延損害金等を含む一切の付随債務の消滅を含む。)に至るまで効力を有する。
第15条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲丙誠意をもって協議のうえ解決するものとする。
第16条(合意管轄)
本契約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲丙記名押印のうえ、各自1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日
(甲・債権者)住所 商号又は名称 代表者名 印
(丙・連帯保証人)住所 氏名 印
(別途、原契約の当事者である乙(主債務者)が本契約の内容を了知している旨を証するため、乙の署名押印欄を設ける例もある。)
第2部: 立場別修正パターン
商品は「債権者側」の立場を基準として作成されているが、実務上は「連帯保証人保護バージョン」を用意し、公正証書要否の確認プロセスを差分として整理しておくことが有用である。以下、A:債権者有利バージョン、B:連帯保証人保護バージョン、C:公正証書要否パターンの3系統に分けて記載する。
A. 債権者有利バージョンへの変更
A-1. 第2条(極度額)を高額に設定
修正後: 「極度額は、原契約の元金の〇倍相当額とし、将来の利息・遅延損害金の累積を見込んだ十分な余裕を持たせるものとする。」
解説: 極度額規制(民法465条の2)自体は遵守しつつ、回収可能性を最大化するために元金の一定倍数(例: 1.5倍〜2倍)を極度額として設定する例が多い。もっとも、極度額が不相当に高額である場合、保証人の実質的な保護に欠けるとの評価を受けうる点には留意が必要である。
A-2. 第3条(保証期間)の長期化・自動更新条項の追加
追加条文例: 「保証期間は、期間満了の1か月前までに甲丙いずれからも書面による別段の意思表示がない場合、同一条件でさらに1年間自動的に更新されるものとし、以後も同様とする。」
解説: 保証期間を自動更新にすることで、主債務者の返済が長期化した場合でも保証の空白期間が生じないようにする修正である。もっとも、個人根保証契約においては、自動更新条項を設けることが保証人の予測可能性を損なうとの指摘もあり、更新の都度、極度額・保証期間について丙の再確認を得る運用が望ましいと考えられる。
A-3. 第5条(情報提供義務)の請求要件を厳格化
修正後: 「丙が第1項の情報提供を請求する場合、甲所定の書式により、主債務の特定に必要な事項を明示して請求しなければならない。」
解説: 情報提供義務(民法458条の2)自体は削除できない強行法規的な性格を持つと解されるが、請求手続を書式化することで、甲の事務負担を軽減する趣旨の修正である。丙の請求権を実質的に制限しない範囲にとどめる必要がある。
A-4. 第10条(担保の変更・解除)の免責事由を限定
修正後: 「甲が担保を喪失し、又は減少させた場合であっても、丙は一切免責されない。」(民法第504条の担保保存義務違反の抗弁を実質的に排除する内容)
解説: 民法第504条は、債権者が故意又は過失によって担保を喪失し、又は減少させたときは、保証人はその喪失又は減少によって償還を受けることができなくなる限度において責任を免れる旨を定める。同条は任意規定と解されており、特約により排除することも可能とされているが、丙が個人であり事業性の融資の第三者保証人である場合には、この種の免責事由排除特約の有効性・相当性について慎重な検討を要する。
A-5. 第8条(求償権)に期限前求償の制限を追加
追加条文例: 「丙は、主債務の弁済期到来前に事前求償権を行使することができない。」
解説: 委託を受けた保証人の事前求償権(民法460条)を契約上制限し、甲の資金回収を優先させる修正である。丙にとっては不利な修正であるため、連帯保証人保護バージョン(B)との対比で提示することが望ましい。
B. 連帯保証人保護バージョン(民法改正の趣旨をより手厚く反映する版)
B-1. 第2条(極度額)の設定基準を明確化
修正後: 「極度額は、原契約に定める元金の額を上限とし、利息及び遅延損害金は元金に対する年〇%の範囲内で発生した実額に限り極度額の内数として算入する。」
解説: 極度額を元金と同額程度に抑え、利息・遅延損害金の見込み分を過大に上乗せしない設計とする。個人根保証契約の極度額規制の趣旨(保証人が予測可能な範囲で責任を負うこと)をより手厚く反映する修正である。
B-2. 第5条(情報提供義務)の請求手続を簡素化し、定期通知義務を追加
追加条文例: 「甲は、丙からの請求の有無にかかわらず、6か月ごとに主債務の履行状況(元金残高、利息の支払状況、延滞の有無)を丙に通知するものとする。」
解説: 民法458条の2は丙からの請求を要件とするが、保証人保護バージョンでは請求を待たずに甲から定期的に情報提供する仕組みを付加し、実質的な情報の非対称性を解消しようとする修正である。
B-3. 第3条(保証期間)に自動更新を設けず、更新時の再確認手続を明記
修正後: 「保証期間の満了に伴い保証を継続する場合、甲丙間で改めて極度額及び保証期間を定めた合意書を取り交わすものとし、自動更新は行わない。」
解説: A-2とは対照的に、保証人が保証継続の可否を都度判断できるようにする修正である。長期の自動更新は保証人が保証の存在を失念するリスクを高めるため、更新の都度、書面による再確認を要求する設計とする。
B-4. 第10条(担保の変更・解除)の免責を明記
修正後(A-4を採用しない場合の原則形): 「甲が故意又は過失によりその担保を喪失し、又は減少させたときは、丙は、これによって償還を受けることができなくなる限度において、その責任を免れる。」(民法第504条の原則どおりの規定)
解説: 担保保存義務違反の抗弁を排除しない、民法の原則形に忠実な条項である。丙が個人・非経営者である場合には、この原則形を採用することが保証人保護の観点から望ましいと考えられる。
B-5. 第8条(求償権)に事前求償権を明記
追加条文例: 「丙は、乙が破産手続開始の決定を受け、かつ甲が破産財団の配当に加入しないとき、乙が弁済期にある債務を弁済せず丙が過失なく弁済の請求を受けたとき、その他民法第460条各号に定める事由が生じたときは、乙に対し、あらかじめ求償権を行使することができる。」
解説: A-5とは対照的に、事前求償権を制限せず民法の原則どおり確保する修正である。丙の資金繰りへの配慮から、保証人保護バージョンではこの規定を残すことが一般的と考えられる。
C. 公正証書による保証意思確認の要否パターン
事業のために負担する債務についての第三者個人保証には、公正証書による保証意思確認手続(民法465条の6〜465条の9)が適用されるが、丙が主債務者の経営者等に該当する場合は適用が除外される(民法465条の9)。この適否によって条項構成が変わるため、パターンを分けて提示する。
C-1. 丙が乙の経営者等に該当し、公正証書手続が不要な場合
該当類型(民法465条の9各号): 主債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者、主債務者の総株主の議決権の過半数を有する者等、主債務者と共同して事業を行う者又は主債務者が行う事業に現に従事している主債務者の配偶者(主債務者が個人である場合)。
条項例: 第6条第4項の適用除外規定をそのまま適用し、公正証書作成の手続を要しない旨を確認的に記載するにとどめる。ただし、経営者等該当性の判断を誤ると保証契約自体が無効となるリスクがあるため、丙が上記いずれかに該当することを裏付ける資料(登記事項証明書、株主名簿の写し等)を保存しておくことが望ましいと考えられる。
C-2. 丙が乙の経営者等に該当せず、公正証書手続が必要な場合
追加条文例: 「本契約は、本契約締結の日前1か月以内に作成された、丙が保証債務を履行する意思を表示した公正証書(民法第465条の6第2項に定める方式によるもの)の作成を停止条件として効力を生じる。」
解説: 公正証書の作成を経ない保証契約は無効となるため(民法465条の6第1項)、本契約の効力発生を公正証書作成に係らしめる規定を明記することが、実務上の安全策として考えられる。なお、根保証契約の場合の公正証書作成手続については民法465条の8に、法人が主債務者である場合の保証人以外の者による公正証書作成の委託等に関する規律は民法465条の6第3項・465条の7にそれぞれ定めがあり、本契約の主債務者が法人か個人かによって適用条文の確認を要する。
C-3. 経営者等該当性が事後的に争われた場合の手当て
追加条文例: 「丙が第6条第4項に定める経営者等に該当しないことが判明した場合において、公正証書による保証意思確認の手続を経ていなかったときは、本契約は当該部分について効力を生じないものとする。この場合、甲及び乙は速やかに必要な手続の履践について協議する。」
解説: 経営者等該当性の判断を契約締結時点で誤った場合の手当てとして、事後的な手続追完の余地を残す規定である。もっとも、事後的な公正証書作成によって遡って契約を有効化できるかについては解釈上の争いがあると考えられ、監修時に確認を要する事項である(第4部参照)。
第3部: 逐条解説(購入者向け)
第1条(保証の内容) 連帯保証人は、催告の抗弁・検索の抗弁(民法452条、453条)を主張できないため、債権者は主債務者に先立って連帯保証人に請求することができる。通常の保証(単純保証)と異なり、連帯保証は保証人にとって著しく不利な性質を持つ点を、保証人候補者に十分説明しておくことが紛争予防の観点から望ましいと考えられる。また、分別の利益(民法456条、427条)が生じないことも連帯保証の特徴であり、共同保証人が複数存在する場合であっても各保証人が主債務の全額について責任を負う点は、保証人候補者に対する説明事項として重要度が高いと考えられる。裁判例においても、連帯保証契約の性質について保証人の理解が不十分であったことを理由に契約の有効性が争われた事例が散見されるため、契約締結時の説明記録(重要事項説明書、確認書等)を別途整備しておくことが紛争予防に資すると考えられる。
第2条(極度額) 2020年施行の民法改正により、個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)は、極度額を書面又は電磁的記録で定めなければその効力を生じないとされた(民法465条の2)。本契約が特定の1回の貸付けのみを保証する「特定保証」であるか、将来発生する不特定の債務までを保証する「根保証」であるかによって、本条の適用要否が変わりうる点に注意を要する。原契約(金銭消費貸借契約)が反復貸付けや極度額型の融資枠を予定する場合は、根保証契約に該当する可能性が高く、極度額の記載を欠くと契約全体が無効となるリスクがあるため、実務上は極度額を明記しておくことが安全である。
第3条(保証期間) 個人貸金等根保証契約については、元本確定期日の定めがない場合、契約締結日から3年を経過する日が元本確定期日となる旨の規律がある(民法465条の3第2項)。また、元本確定期日を定める場合、契約締結日から5年を超える日を定めることはできないとされる(同条第1項)。本条第3項はこの規律を踏まえた設計であるが、原契約が根保証契約に該当するか特定保証契約にとどまるかによって、本条の要否・記載内容が異なりうる(第4部参照)。
第4条(主債務の内容の変更) 主債務の内容が保証人の同意なく加重される場合にまで保証人の責任を及ぼすことは、保証人保護の観点から相当でないと解される。判例上も、主債務の変更が保証人の予測の範囲を超える場合には保証債務への効力が制限される傾向がみられ、本条はこうした考え方を確認的に規定するものである。
第5条(主債務者の履行状況に関する情報提供義務) 2020年民法改正により新設された規定である。委託の有無を問わず、保証人からの請求があれば、債権者は主債務の履行状況に関する情報を提供しなければならない(民法458条の2)。さらに、保証人が個人であり、かつ主債務者から委託を受けて保証をした場合には、主債務者が期限の利益を喪失したときから2か月以内に、債権者がその旨を保証人に通知しなければならず、これを怠ると、喪失時から通知までの間に生じた遅延損害金相当額について保証債務の履行を請求できなくなる(民法458条の3)。この規律は、保証人が気づかないうちに遅延損害金が累積することを防ぐ趣旨であり、本契約の実務運用上、期限の利益喪失の把握・通知フローを社内規程として整備しておくことが望ましいと考えられる。
第6条(保証意思の確認) 2020年民法改正により、事業のために負担する債務についての第三者個人保証には、公正証書による保証意思確認手続が必須とされた(民法465条の6以下)。もっとも、主債務者の経営者等(取締役、過半数株主、共同事業者、事業に現に従事する配偶者等)については、経営に対する実質的な関与や情報アクセスがあることを理由に適用除外とされている(民法465条の9)。実務上、丙が経営者等に該当するか否かの判断を誤ると保証契約自体が無効となるおそれがあるため、該当性の判断根拠となる資料を保存しておくことが安全である。
第7条(主債務者による情報提供義務との関係) 主債務者が事業のために負担する債務について個人に保証を委託する場合、主債務者は財産状況等の情報を保証人に提供しなければならず、これを怠り、かつ債権者がその不提供・不実告知の事実を知り又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができる(民法465条の10)。本条は主債務者と保証人との間の情報提供の存在を確認する趣旨の規定であるが、実際の情報提供は原契約(金銭消費貸借契約)側の条項(例: kinsen-shohitaisyaku-keiyaku 第11条相当)と重複しうるため、両契約書の整合性を確認しておくことが望ましい。
第8条・第9条(求償権、事前の通知) 連帯保証人が弁済した場合の求償権(民法459条以下)及び通知に関する規定(民法443条)を確認的に定める条項である。複数の保証人が存在する場合や、保証人と主債務者との間に親族関係がある場合には、求償権の行使が事実上困難になることが少なくなく、契約書上の規定と実際の運用に乖離が生じやすい部分である。
第10条(担保の変更・解除) 民法第504条は、債権者が故意又は過失によって担保を喪失し、又は減少させたときは、保証人はこれによって償還を受けることができなくなる限度で責任を免れる旨を定める。同条は任意規定と解する見解が一般的であり、特約による排除も可能とされるが、排除特約を設ける場合、個人保証人に対する説明義務との関係で相当性が問題となりうる。なお、同条の免責は、保証人が事業のために債務を負担した場合であって、債権者が担保の喪失又は減少について取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認められるときは適用されないとする例外も定められており(同条第2項)、事業性融資における担保管理の実務ではこの例外規定の該当性も併せて検討する必要があると考えられる。
第11条(通知義務) 保証人の住所・連絡先等に変更が生じた場合の通知義務を定める条項である。特に個人根保証契約においては、保証期間中の連絡が取れなくなることで、期限の利益喪失通知(民法458条の3)の履践が困難になる事態が生じうるため、本条のような通知義務規定を設けることは、債権者・保証人双方にとって手続の実効性を確保する意味を持つと考えられる。
第12条(反社会的勢力の排除) 現在の契約実務でほぼ必須の条項であり、原契約(金銭消費貸借契約)側の同種条項との整合性を保つことが望ましい。表明保証の対象を保証人個人にとどめず、保証人が実質的に経営に関与する法人が存在する場合にはその法人にも同様の表明保証を及ぼす設計とすることも考えられる。
第13条(権利義務の譲渡禁止) 保証契約上の地位や保証債権の譲渡を制限する条項である。債権者が保証付き債権を第三者(サービサー等)に譲渡する場面では、保証人の同意取得の要否や保証人への通知のタイミングが実務上の論点となりやすく、原契約の債権譲渡条項との整合性を確認しておく必要がある。
第14条(有効期間) 本契約の効力が主債務の完済まで存続する旨を定める条項である。保証期間(第3条)が経過した後であっても、保証期間中に発生した債務に関する遅延損害金等の付随債務が残存する限り、保証人の責任が継続する構成としている点に注意を要する。
第15条・第16条(協議・合意管轄) 原契約(金銭消費貸借契約書)における同種条項と条文番号・文言を可能な限り揃えておくことで、原契約と本契約とが一体として運用されていることを明確にする趣旨がある。合意管轄裁判所についても、原契約と異なる裁判所を定めると紛争時の手続が分散するおそれがあるため、原則として同一の裁判所を指定することが望ましいと考えられる。
第4部: 監修者への確認依頼事項
- 第2条の極度額規定について、原契約(金銭消費貸借契約書)が特定の1回限りの貸付けを内容とする「特定保証」である場合にも、実務上は極度額の記載を推奨すべきか、それとも民法465条の2の適用がない特定保証であることを条項上明記して極度額規定自体を任意記載とする設計にすべきか、方針を確認いただきたい。
- 第3条第3項の元本確定期日について、個人貸金等根保証契約における法定の元本確定期日の規律(民法465条の3)を本条にどこまで詳細に反映すべきか、また特定保証の場合との書き分けの要否を確認いただきたい。
- 第6条第2項以下の公正証書による保証意思確認手続について、経営者等に該当するかどうかの判断が実務上争われやすい類型(例: 名目的な取締役、事業に「現に従事している」配偶者の該当性)を第3部の解説にどの程度具体的に記載すべきか確認いただきたい。
- 第2部C-3の「事後的な手続追完」の可否について、公正証書作成を欠いた保証契約の無効を事後的に治癒できるとする解釈が実務上どこまで支持されているか、監修者の見解を確認いただきたい。
- 第5条・第7条の情報提供義務について、原契約(金銭消費貸借契約書)側に定められた同種の情報提供条項との重複・矛盾がないか、両商品の条項を突合して整合性を確認いただきたい。
- 第10条(担保の変更・解除)について、民法504条の免責規定を排除する特約(第2部A-4)を収録する場合、個人保証人保護の観点からどの程度強い注意喚起を購入者向け解説に付すべきか確認いただきたい。
- 丙が複数存在する場合(共同保証)の分別の利益の取扱い(第1条第3項)について、本契約のような連帯保証・連帯根保証の場面で分別の利益を排除する記載が民法上・実務上妥当か確認いただきたい。
- 本商品を金銭消費貸借契約書(kinsen-shohitaisyaku-keiyaku)と併用する場合の販売導線・注意書き(本契約単体では効力を生じない旨等)について、サイト上の表示方法に関する法的な留意点があれば確認いただきたい。