販売店と信販会社が購入者の代金を立替払する三者間の契約書。割賦販売法第35条の3の3の支払能力調査と第30条の4の抗弁の接続に対応します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
立替払契約書
第1部: 書式本文
【信販会社商号】(以下「甲」という。)、【加盟販売店商号】(以下「乙」という。)及び【購入者氏名】(以下「丙」という。)は、丙が乙から購入する商品の代金を甲が乙に立替払いし、丙が甲に分割して返済することに関し、次のとおり立替払契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(目的) 本契約は、割賦販売法第2条第4項に定める個別信用購入あっせんの方法により、丙が乙から別紙商品目録記載の商品(以下「本商品」という。)を購入するにあたり、甲が丙に代わって商品代金を乙に立替払いし、丙が甲に対しその立替金及び手数料を分割して支払うことを目的とする。
第2条(売買契約の確認) 乙及び丙は、本商品につき代金【金〇〇円】とする売買契約を締結したことを確認し、丙は本契約締結をもって当該代金の支払方法を甲による立替払いに委ねる。
第3条(支払可能見込額の調査) 甲は、本契約締結に先立ち、割賦販売法第35条の3の3に基づき、丙の年収、生活維持費及び既存の債務状況等を勘案した支払可能見込額を調査し、丙の年間支払額が当該見込額を超えないことを確認したものとする。
第4条(立替払い) 甲は、乙が本商品を丙に引き渡したこと及び丙が検収を完了したことを確認した上で、商品代金相当額から加盟店手数料を控除した金額を乙の指定口座へ振り込む方法により立替払いする。
第5条(丙の返済) 丙は、甲に対し、立替金及び手数料の合計額【金〇〇円】を、毎月【〇〇日】限り金【〇〇円】ずつ、【〇〇回】の分割払いにより返済する。
第6条(書面の交付) 甲は、割賦販売法第35条の3の8及び第35条の3の9に基づき、本契約の内容を記載した書面を丙に交付する。
第7条(クーリング・オフ) 丙は、割賦販売法第35条の3の10乃至第35条の3の12の適用がある取引に該当する場合、法定書面の受領日から起算して8日を経過するまでの間、書面により本契約及び乙との売買契約を無条件で解除できる。この場合、丙は乙又は甲に対し、損害賠償又は違約金の支払義務を負わない。
第8条(抗弁の接続) 丙は、本商品に関し乙との間に生じている事由(商品の不引渡し、契約不適合、乙の債務不履行等)をもって、割賦販売法第35条の3の19の定めるところにより、甲からの支払請求に対抗することができる。
第9条(乙の表明保証及び責任) 1. 乙は、丙に対する本商品の説明及び売買契約の締結が、不実告知その他丙の判断を誤らせる方法によるものではないことを表明し保証する。 2. 前項の違反により丙が甲に対して抗弁を主張し甲が損失を被った場合、乙は甲に対しその損失を賠償する。
第10条(期限の利益喪失) 丙が返済を遅滞した場合、甲は、割賦販売法第35条の3の17の定めるところにより20日以上の相当な期間を定めて書面で催告し、当該期間内に丙が支払をしないときは、丙は期限の利益を喪失する。
第11条(遅延損害金の制限) 丙の返済遅滞に伴い甲が請求できる遅延損害金の額は、割賦販売法第35条の3の18の定める利率(年14.6パーセント)を超えないものとする。
第12条(個人情報の取扱い) 甲及び乙は、丙から取得した個人情報を、支払可能見込額の調査、与信管理及び本契約の履行の目的の範囲内でのみ利用する。
第13条(反社会的勢力の排除) 甲、乙及び丙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当しないことを表明し保証する。
第14条(協議及び合意管轄) 本契約に関する紛争については、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上の合意を証するため本書3通を作成し、甲乙丙記名押印の上、各自1通を保有する。
【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
(甲) 住所:【 】 商号:【 】 代表者:【 】 印 (乙) 住所:【 】 商号:【 】 代表者:【 】 印 (丙) 住所:【 】 氏名:【 】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 信販会社向け
A-1. 加盟店の不適切勧誘リスクを遮断したい場合
第9条2項修正例:「乙の不実告知等により丙が抗弁を主張した場合、甲は丙に対する請求を停止するとともに、乙に対し立替払済額の全額の補償を求めることができる。」 解説: 抗弁の接続により丙への請求が制限された場合の損失を、原因を作った乙に転嫁する求償条項を明確化する。
A-2. 高額商品で調査を厳格化したい場合
第3条追加例:「甲は、立替金額が【〇〇円】を超える場合、丙から源泉徴収票その他の収入を証する書面の提出を求めた上で支払可能見込額を調査する。」 解説: 高額な個別信用購入あっせんでは調査義務違反の指摘を避けるため、資料徴求の基準を明文化する。
B. 加盟販売店向け
B-1. 立替金の入金時期を早めたい場合
第4条修正例:「甲は、乙からの商品引渡完了報告受領後【3】営業日以内に立替払いを行う。」 解説: 加盟店の資金繰りを踏まえ、検収確認から入金までの期間を具体的に定め早期の資金化を図る。
B-2. クーリング・オフによる返品対応を明確にしたい場合
第7条追加例:「丙が本条に基づき解除した場合、乙は既に受領した商品代金相当額を甲に返還し、本商品の引取費用は乙が負担する。」 解説: クーリング・オフ成立時の商品引取り及び費用負担の主体を明確にし、乙の実務対応を円滑にする。
C. 購入者向け
C-1. 説明不足への対抗手段を確保したい場合
第8条追加例:「丙は、乙による本商品の性能又は効果に関する説明が事実と著しく異なっていた場合、甲に対する残債務の支払を拒むとともに既払金の返還を求めることができる。」 解説: 抗弁の接続の範囲に既払金の取扱いも含めることを明記し、丙の実効的な救済を確保する。
C-2. 途中完済を希望する場合
第5条追加例:「丙は、残存する立替金及び手数料の全部又は一部について、甲所定の計算方法による繰上返済を随時行うことができる。」 解説: 手数料負担を軽減するため、丙による繰上返済の権利を明記しておく。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、信販会社が加盟販売店に対し商品代金を立替払いし、購入者が信販会社に分割返済する個別信用購入あっせん(割賦販売法第2条第4項)の取引で用いる。販売業者自身が分割払いの条件で直接代金を受領する取引には割賦販売契約書を用いるべきであり、また信販会社があらかじめ極度額の範囲で継続的に立替払いを行う包括信用購入あっせん(クレジットカード取引等)の場合は別途の加盟店契約及び会員規約が必要となるため、本書式はなじまない。
根拠法令の解説 割賦販売法第35条の3の3は、個別信用購入あっせん業者に対し、契約締結前に購入者の支払可能見込額を調査する義務を課しており、第3条はこれに対応する。第35条の3の8及び第35条の3の9は契約内容を記載した書面の交付義務を定め、第6条の根拠となる。同法第35条の3の19(いわゆる抗弁の接続)は、購入者が販売業者との間に生じている事由をもって立替払業者からの請求に対抗できることを定めるものであり、第8条はこれを明記した。クーリング・オフについては同法第35条の3の10以下が特定の取引類型を対象に定めており、対象取引に該当するか否かは訪問販売等の勧誘方法によって異なる点に留意を要する。
実務でよくある失敗と対策 第一に、支払可能見込額の調査を形式的にしか行わず、後に調査義務違反として立替払契約の効力や行政処分が問題となる失敗がある。第3条のように調査項目及び基準を具体的に定める。第二に、抗弁の接続を条項上明記せず、丙からの抗弁主張時に甲乙間の求償関係が不明確となる失敗がある。第8条及び第9条2項のように抗弁事由の内容と乙への求償を対応させる。第三に、クーリング・オフ成立時の商品引取りや代金返還の実務手順を定めず、乙丙間で混乱が生じる失敗がある。第7条のように解除の効果と費用負担を明記する。個別の取引類型(訪問販売該当性等)や調査基準の妥当性については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 個別信用購入あっせん(割賦販売法第2条第4項)に該当する取引構造であることを確認したか
- [ ] 支払可能見込額の調査手順を割賦販売法第35条の3の3に従い定めたか
- [ ] 契約内容を記載した書面の交付義務(第35条の3の8・9)を履行する手順を定めたか
- [ ] クーリング・オフの対象取引該当性及び手続を定めたか
- [ ] 抗弁の接続(第35条の3の19)の範囲と乙への求償条項を対応させたか
- [ ] 乙の不実告知等があった場合の責任及び補償条項を定めたか
- [ ] 遅延損害金の利率が割賦販売法第35条の3の18の上限を超えないか確認したか
- [ ] 期限の利益喪失前の催告手続を定めたか
- [ ] 立替払いの実行条件(商品引渡し・検収確認)を明記したか
- [ ] 個人情報の利用目的を調査・与信管理の範囲に限定したか