小規模な株式会社を設立する際の定款ひな形。会社法第27条の絶対的記載事項と第29条の相対的記載事項を網羅し、第30条の公証人認証を前提とした条項構成としています。

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定款(株式会社・非公開会社/取締役会非設置)

第1部: 書式本文

株式の全部に譲渡制限を付し、取締役会を置かない小規模な株式会社を発起設立する際の定款ひな形である。発起人が1名又は少数である創業初期のスタートアップや家族経営の会社を想定した構成とする。

第1章 総則

第1条(商号) 当会社は、〇〇株式会社と称する。

第2条(目的) 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。(1)〇〇の企画、開発及び販売 (2)〇〇に関するコンサルティング業務 (3)前各号に附帯する一切の事業

第3条(本店の所在地) 当会社は、本店を〇〇県〇〇市に置く。

第4条(公告方法) 当会社の公告方法は、官報に掲載する方法により行う。

第2章 株式

第5条(発行可能株式総数) 当会社の発行可能株式総数は、〇〇株とする。

第6条(株式の譲渡制限) 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を受けなければならない。ただし、当会社の株主に譲渡する場合は、承認をしたものとみなす。

第7条(株券の不発行) 当会社の株式については、株券を発行しない。

第8条(相続人等に対する売渡しの請求) 当会社は、相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。

第9条(基準日) 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。

第3章 株主総会

第10条(招集) 当会社の定時株主総会は、毎事業年度終了後3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要がある場合に随時招集する。

第11条(招集権者及び議長) 株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、代表取締役が招集し、議長を務める。代表取締役に事故があるときは、あらかじめ代表取締役が定めた順序により他の取締役がこれに代わる。

第12条(招集通知) 株主総会を招集するには、会日より5日前までに、議決権を行使することができる株主に対し、招集の通知を発する。

第13条(株主総会の決議) 株主総会の決議は、法令又は本定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う。

第14条(議決権の代理行使) 株主は、当会社の議決権を有する他の株主1名を代理人として、その議決権を行使することができる。

第15条(議事録) 株主総会の議事については、法令の定めるところにより議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに記名押印又は電子署名する。

第4章 取締役

第16条(員数) 当会社の取締役は、1名以上とする。

第17条(選任) 取締役は、株主総会の決議によって選任する。

第18条(任期) 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

第19条(代表取締役) 取締役が2名以上いる場合、取締役の互選により代表取締役1名を定めることができる。

第20条(業務執行) 取締役は、当会社の業務を執行し、代表取締役が当会社を代表する。

第5章 計算

第21条(事業年度) 当会社の事業年度は、毎年〇月1日から翌年〇月末日までの1年とする。

第22条(剰余金の配当) 剰余金の配当は、株主総会の決議によって定める株主又は登録株式質権者に対し支払う。

第6章 附則

第23条(設立時の資本金の額) 当会社の設立時の資本金の額は、金〇〇円とする。

第24条(最初の事業年度) 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から〇年〇月末日までとする。

第25条(発起人の氏名及び住所並びに引受株式数) 発起人〇〇〇〇は、当会社の設立に際して発行する株式〇〇株を引き受け、その引受けに係る金額を払い込む。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 株式会社(創業者複数名)の場合の修正

A-1. 種類株式の発行を可能にする条項の追加

追加記載例:「第〇条(種類株式)当会社は、剰余金の配当及び残余財産の分配に関して内容の異なる複数の種類の株式を発行することができる。各種類株式の内容は、発行の都度、株主総会の決議によって定める。」 一言解説: 複数の創業者や投資家が異なる経済的権利・議決権を持つことを想定する場合、種類株式発行会社である旨を定款に定める必要がある(会社法第108条)。

A-2. 取締役の解任要件を加重する条項の追加

追加記載例:「第〇条(取締役の解任)取締役の解任は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。」 一言解説: 少数株主による経営の安定性確保を目的とし、解任決議の要件を会社法第341条の普通決議から特別決議相当に加重する修正である。加重には定款変更(特別決議)が必要である。

B. 発起設立の場面での留意記載

B-1. 現物出資がある場合の記載追加

追加記載例:「第〇条(現物出資)発起人〇〇〇〇は、その所有する別紙記載の財産を出資の目的とし、これに対し〇〇株を割り当てる。当該財産の価額は金〇〇円と評価する。」 一言解説: 現物出資財産の価額が会社法第33条により原則として検査役の調査を要するが、同条第10項各号の要件(500万円以下等)を満たす場合は調査を省略できる。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面/使ってはいけない場面 本書式は、株式の譲渡に会社の承認を要する非公開会社であって、取締役会を設置しない小規模な株式会社を新たに設立する場面で用いる。株主が多数に及ぶ会社や、機動的な取締役会決議を要する事業運営を予定する会社では、取締役会設置会社向けの別書式を検討すべきである。また、募集設立(発起人以外の者からも出資を募る設立方法)を予定する場合は、創立総会の開催等、発起設立とは異なる手続が必要となるため、本書式をそのまま流用すべきではない。

根拠法令 会社法第26条は定款の作成及び発起人の署名又は記名押印を、第27条は商号・目的・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額・発起人の氏名又は名称及び住所という絶対的記載事項を定める。第29条は株式の内容や公告方法等、定款に定めがなければ効力を生じない相対的記載事項を定める。第30条は公証人による定款認証を設立の効力要件とする。取締役会非設置会社については第326条第1項により取締役1名以上で足りる旨が、株式の譲渡制限については第107条及び第108条が根拠となる。

実務でよくある失敗と対策 第一に、目的の記載が抽象的すぎて許認可事業(建設業、人材紹介業等)の許可申請時に目的の記載不足を指摘される失敗がある。許認可を要する事業を予定する場合は、監督官庁が求める文言に沿った目的を事前に確認して記載することが望ましい。第二に、取締役の任期を最長10年(会社法第332条第2項、非公開会社の特則)まで伸長したものの、実際には頻繁に役員変更が生じ、変更登記のたびに定款の任期条項との整合を確認する手間が生じる失敗がある。事業計画に応じて任期を短縮する選択肢も検討すべきである。第三に、公告方法を官報とした場合、決算公告を毎年行う義務(会社法第440条)を失念し、過料のリスクを負う失敗がある。電子公告を選択する場合は、その旨とウェブサイトのアドレスを定款に定める必要がある点にも注意する。

定款の内容は会社の資本政策や事業内容によって大きく異なるため、認証前に専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 商号が同一住所の既存会社と同一でないか確認したか(類似商号規制及び商標との抵触も確認)
  • [ ] 事業目的が許認可要件を満たす文言になっているか確認したか
  • [ ] 発行可能株式総数と設立時発行株式数のバランスを確認したか
  • [ ] 株式の譲渡制限の範囲(全部の株式か一部の種類株式か)を確認したか
  • [ ] 取締役の任期を何年に設定するか決定したか
  • [ ] 現物出資がある場合、検査役調査の要否を確認したか
  • [ ] 公告方法(官報・電子公告・時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙)を決定したか
  • [ ] 事業年度及び最初の事業年度の期間を確認したか
  • [ ] 発起人全員の実印及び印鑑証明書を準備したか
  • [ ] 公証人による定款認証の予約及び必要書類を確認したか