期間1年以上の定期借家契約について期間満了による終了を借主へ通知する書面。借地借家法第38条第6項の期間満了前1年から6か月の通知期間に沿った文例を収録。

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定期建物賃貸借終了通知書

第1部: 書式本文

定期建物賃貸借契約終了通知書

【賃借人住所】 【賃借人氏名・名称】 様

【通知日】

【賃貸人住所】 【賃貸人氏名・名称】 印

賃貸人は、賃借人との間で締結した下記定期建物賃貸借契約(以下「本契約」という。)について、借地借家法第38条第6項に基づき、期間満了により終了する旨を通知する。

第1条(契約の特定) - 物件所在地: 【物件所在地】 - 物件名称・号室: 【建物名称・号室】 - 契約締結日: 【契約締結日】 - 契約期間: 【始期】から【終期】まで - 契約期間の長さ: 【 】年【 】か月

第2条(終了通知) 1. 本契約は、借地借家法第38条第1項に定める定期建物賃貸借契約であり、上記契約期間の満了により終了する。 2. 本契約の期間は1年以上であるため、賃貸人は、借地借家法第38条第6項に基づき、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃借人に対し期間満了により本契約が終了する旨を通知するものであり、本書面がその通知にあたる。

第3条(明渡期限) 賃借人は、契約期間満了日である【終期】までに、本物件を原状に回復のうえ、賃貸人に明け渡すものとする。

第4条(再契約の有無) 1. 本契約について、再契約を締結するか否かは、本書面発送時点では未定である。 2. 再契約を希望する賃借人は、【回答期限】までに賃貸人又は管理会社宛てに書面又はメールでその旨を申し出るものとする。ただし、再契約の締結及びその条件は、当事者間の別途の合意による。

第5条(敷金・保証金の精算) 賃貸人は、明渡し完了後、契約書に定める敷金・保証金の精算条項に従い、原状回復費用等を控除の上、【精算期限】までに残額を賃借人が指定する口座へ返還する。

第6条(通知の到達) 本通知は、配達証明付内容証明郵便又はこれに準ずる方法により発送し、賃借人への到達をもって効力を生ずる。

以上

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 貸主向け(通知が遅れた場合)

A-1 第2条の修正例 「賃貸人は、本来の通知期間(期間満了の1年前から6か月前まで)を経過した後に本書面を発送した。この場合、借地借家法第38条第6項但書により、賃貸人は通知の日から6か月を経過した後でなければ、本契約の終了を賃借人に対抗することができない。」 一言解説: 通知期間を徒過した場合は契約終了時期そのものがずれるため、実際の明渡期限を「通知日から6か月経過後」に修正する必要がある。

B節: 管理会社向け(貸主に代わって通知事務を行う場合)

B-1 冒頭・第6条の修正例 「本通知は、賃貸人【賃貸人氏名】から委託を受けた管理会社【管理会社名】が、賃貸人の代理人として発送する。賃借人からの回答・再契約の申出は、管理会社【担当部署】宛てに行うものとする。」 一言解説: 管理会社が通知主体となる場合は、代理関係と連絡窓口を明記し、賃貸人本人への直接連絡が輻輳しないようにする。

C節: 賃借人向け(通知を受領した側が対応方針を検討する場合の確認事項)

C-1 第4条への追加確認事項 「賃借人は、本通知を受領した日から【回答期限】までの間に、再契約の希望有無、原状回復業者の手配、次の移転先の確保等の要否を検討し、必要に応じて賃貸人又は管理会社に照会するものとする。」 一言解説: 賃借人側で本通知をそのまま受け取るだけでなく、回答期限までに検討すべき事項を整理したメモとして活用すると、移転準備の遅れを防げる。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、契約期間が1年以上の定期建物賃貸借契約について、期間満了による契約終了を賃借人へ通知する場面で使用する。契約期間が1年未満の定期建物賃貸借契約には借地借家法第38条第6項の通知義務自体が適用されないため、本書式を用いる必要はない(ただし紛争予防の観点から任意に通知を行うことは可能である)。また、普通建物賃貸借契約の期間満了通知(借地借家法第26条の法定更新に関する通知)とは根拠条文も効果も異なるため、混同して使用してはならない。

根拠法令は借地借家法第38条第6項である。同項は「期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない」と定める。この通知は契約終了の効力発生要件ではなく対抗要件であり、期間満了によって契約自体は当然に終了するが、賃貸人が賃借人に終了を主張(明渡請求等)するためには本通知が必要となる。同項但書により、通知期間を経過した後に通知した場合でも、通知の日から6か月経過後は終了を対抗できるとされている。

実務でよくある失敗の一つ目は、通知期間(1年前から6か月前まで)を単純に失念し、期間満了直前や満了後に通知してしまうことである。本書式第2条のように契約期間と通知可能期間をあらかじめカレンダー管理し、期間満了の1年前を過ぎた時点でリマインドする社内体制を整えることが有効である。

二つ目の失敗は、通知の到達を証明する手段を用意していないことである。第6条のように配達証明付内容証明郵便を用いる、又は賃借人の受領サインを取得するなど、到達日を客観的に立証できる方法を選択する必要がある。単なる普通郵便やメールのみでの通知は、後日「受け取っていない」と争われるリスクがある。

三つ目の失敗は、再契約の可否や条件について、本通知の段階で確定的な約束をしてしまうことである。第4条のように、再契約は別途合意による旨を明記し、通知書自体が新たな契約の予約や優先交渉権の付与と解釈されないようにする必要がある。

四つ目の失敗は、賃借人が既に転居先を確保できず明渡しが困難な状況にあるにもかかわらず、賃貸人が明渡期限を機械的に契約期間満了日のまま固定し、任意の猶予や分割対応を一切検討しないまま法的手続に着手することである。定期建物賃貸借は更新がない契約類型であるとはいえ、明渡しの実現方法によっては自力救済的な対応が違法と評価されるおそれがあるため、明渡しが得られない場合であっても、まずは占有移転禁止の仮処分や明渡請求訴訟など法令上認められた手続を検討すべきである。

通知期間の徒過があった場合の明渡期限の再計算方法や、再契約時における敷金・保証金の扱い、賃借人が任意に明渡さない場合の法的手続の要否については、個別事案は専門家に確認することが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 対象契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であることを確認したか
  • [ ] 契約期間が1年以上であり、本通知の対象となることを確認したか
  • [ ] 通知発送日が期間満了の1年前から6か月前までの間に収まっているか
  • [ ] 通知期間を徒過している場合、対抗できる時期(通知日から6か月後)を再計算したか
  • [ ] 配達証明付内容証明郵便など到達を証明できる方法で発送する準備をしたか
  • [ ] 明渡期限と敷金・保証金精算の期限を明記したか
  • [ ] 再契約の可否について確定的な約束と誤解されない表現になっているか
  • [ ] 管理会社が通知主体となる場合、代理権限と連絡窓口を明記したか
  • [ ] 賃借人の現住所・連絡先が最新のものであるか確認したか
  • [ ] 通知書の控えと発送記録(配達証明等)を保管する体制があるか