主催者がプレイガイドへチケット販売を委託する契約書。チケット不正転売禁止法に対応する購入者確認や券面記載、売上精算と払戻手続を規定します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
チケット販売委託契約書
第1部: 書式本文
【主催者名】(以下「甲」という。)と【プレイガイド名】(以下「乙」という。)とは、甲が主催する【催事名称】(以下「本催事」という。)の入場券(以下「本チケット」という。)の販売に関し、次のとおり販売委託契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(委託の内容) 甲は乙に対し、本チケットの販売事務(申込受付、代金収受、発券及び購入者への交付を含む。)を委託し、乙はこれを受託する。
第2条(販売期間及び販売条件) 1. 本チケットの販売期間は【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から〇〇〇〇年〇〇月〇〇日まで】とする。 2. 本チケットの券種、価格及び販売枚数の上限は、甲乙協議の上、別紙のとおり定める。
第3条(券面記載事項) 乙は、本チケットの券面に、催事名称、開催日時、会場、購入者の氏名(記名式とする場合)、券種及び特定興行入場券の不正転売禁止等に関する法律(令和元年法律第100号。以下「不正転売禁止法」という。)第2条第5項に定める特定興行入場券に該当する場合はその旨を表示する。
第4条(購入者の本人確認) 1. 乙は、本チケットの購入にあたり、購入者に対し氏名及び連絡先の登録を求めるとともに、必要に応じて本人確認書類の提示を求める。 2. 乙は、不正転売禁止法第3条に定める特定興行入場券の不正転売を防止するため、同一購入者による購入枚数の制限、当日の入場時における本人確認の実施その他の措置を講じる。 3. 乙は、購入者による第三者への譲渡が予定される場合、甲が別途認める譲渡手続(公式リセールサービスの利用等)によらない譲渡は、不正転売に該当し得る旨を購入者に周知する。
第5条(不正転売の禁止に関する表示) 乙は、本チケットの販売画面及び券面において、不正転売禁止法第3条により、興行主の同意のない有償譲渡(不正転売)が禁止されている旨、及び不正転売されたチケットでは入場を拒否される場合がある旨を表示する。
第6条(販売手数料) 甲は乙に対し、本チケットの販売手数料として、販売金額の【〇〇】パーセントに相当する額を支払う。
第7条(売上金の精算) 1. 乙は、販売期間終了後【〇〇】日以内に、本チケットの販売実績(枚数、金額及び販売手数料)を記載した精算書を甲に提出する。 2. 乙は、精算書に基づき、販売代金から前条の販売手数料を控除した残額を、甲の指定する口座に振り込む方法により支払う。
第8条(払戻し) 1. 本催事が中止又は延期となった場合、乙は甲の指示に従い、購入者からの申出に基づき本チケットの払戻しを行う。 2. 払戻しに要する事務手数料の負担者及び払戻し手続の詳細は、甲乙協議の上、別途定める。 3. 購入者の都合による払戻しは、甲が別段の定めをしない限り行わない。
第9条(個人情報の取扱い) 乙は、本チケットの販売に際して取得した購入者の個人情報を、販売事務及び本人確認の目的の範囲でのみ利用し、甲の事前の承諾なく目的外に利用し、又は第三者に提供してはならない。
第10条(不正転売発覚時の対応) 乙は、本チケットの不正転売を発見した場合、速やかに甲に報告するとともに、当該チケットによる入場を拒否する等、甲の指示に従った措置を講じる。
第11条(反社会的勢力の排除) 甲及び乙は、自己が暴力団その他の反社会的勢力に該当せず、これらと関係を有しないことを表明し保証する。
第12条(協議及び合意管轄) 本契約に関する紛争は、【〇〇地方裁判所】を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
以上の合意を証するため本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保有する。
【〇〇〇〇年〇〇月〇〇日】
(甲) 名称:【 】 代表者:【 】 印 (乙) 名称:【 】 代表者:【 】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 主催者(委託者)向け
A-1. 高額転売が想定される人気公演の場面
第4条2項修正例:「乙は、購入者一人あたりの購入枚数を【4】枚までに制限し、入場時に購入者本人の写真付き身分証の提示を求める本人確認を実施する。」 解説: 不正転売禁止法第3条の実効性を高めるため、購入枚数制限と入場時の本人確認を組み合わせ、まとめ買いによる転売目的の購入を抑止する。
A-2. 公式リセールサービスを併設する場面
第4条3項追加例:「甲が指定する公式リセールサービスを通じた譲渡は不正転売に該当しないものとし、乙は当該サービスの利用方法を購入者に案内する。」 解説: 正規の譲渡手段を用意し周知することで、購入できなくなった正当な購入者の需要を吸収しつつ不正転売を抑止する。
B. プレイガイド(受託者)向け
B-1. 中止時の払戻し事務が集中する場面
第8条2項修正例:「払戻しに要する事務手数料は甲の負担とし、乙は甲から払戻し原資の交付を受けた上で払戻し事務を行う。」 解説: 大規模な払戻しは事務コストが乙に偏りやすいため、事務手数料の負担者と原資の交付方法を明確にし乙の資金負担を回避する。
B-2. 販売手数料の精算時期を明確化したい場面
第7条1項修正例:「乙は、販売期間中であっても月次で暫定精算書を甲に提出し、確定精算は販売期間終了後【〇〇】日以内に行う。」 解説: 長期の販売期間では月次の暫定精算を行うことで、乙の未収リスクと甲のキャッシュフローの双方に配慮する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面 本書式は、興行主である主催者がプレイガイド等の販売事業者にチケットの販売事務を委託する場合に用いる。プレイガイドが単なる広告掲載や案内のみを行い、代金収受や発券を主催者自身が行う場合には、業務内容が異なるため広告委託契約等の別書式を検討すべきであり、本書式をそのまま用いると受託者の義務範囲が実態と乖離するおそれがある。
根拠法令 特定興行入場券の不正転売禁止等に関する法律第3条は、興行主の同意を得ない有償譲渡(不正転売)、及び不正転売を目的として行われるチケットの譲り受けを禁止する。同法が定める特定興行入場券に該当するためには、販売時に興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が券面等に明示され、かつ購入者の氏名等の情報を確認する措置がとられていることが要件となるため、第3条及び第4条のように券面表示と本人確認の実施を契約上明記することが、法の保護を受けるための前提となる。
実務でよくある失敗と対策 第一に、券面や購入画面に不正転売禁止の表示を行わず、法の適用要件である特定興行入場券に該当しないと判断されてしまう失敗がある。第5条のように禁止表示の実施を委託業務に明記する。第二に、本人確認を入場時に行わず、転売されたチケットでの入場を事実上黙認してしまう失敗がある。第4条2項のように入場時の本人確認を具体的に定める。第三に、催事の中止時に払戻し事務の負担者や手数料負担が曖昧なまま契約し、精算段階で紛争化する失敗もある。催事の規模や販売システムにより適切な取り決めは異なるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 委託する販売事務の範囲(受付・代金収受・発券・交付)を明確にしたか
- [ ] 券面に特定興行入場券に該当する旨及び不正転売禁止の表示を行うことを定めたか
- [ ] 購入時及び入場時の本人確認手続を具体的に定めたか
- [ ] 同一購入者の購入枚数制限を定めたか
- [ ] 公式リセールサービス等、正規の譲渡手段の有無を確認したか
- [ ] 販売手数料の料率及び精算のタイミングを明記したか
- [ ] 中止・延期時の払戻し手続と事務手数料の負担者を定めたか
- [ ] 購入者の個人情報の利用目的及び第三者提供の制限を定めたか
- [ ] 不正転売発覚時の入場拒否その他の対応手順を定めたか