特定技能外国人を受け入れる企業が締結する雇用契約書と支援計画をまとめた書式。出入国管理及び難民認定法2条の5と特定技能基準省令が求める要件に沿って作成します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
特定技能雇用契約書・1号特定技能外国人支援計画
第1部: 書式本文
特定技能雇用契約書
【受入れ機関名称】(以下「甲」という)と【特定技能外国人氏名】(以下「乙」という)は、特定技能1号の在留資格に基づく雇用に関し、次のとおり契約する。
第1条(業務内容) 乙の従事する業務は、特定技能所属機関が受け入れる分野に係る【業務区分・作業内容】とし、技能水準は当該分野の技能測定試験又は技能実習2号修了により確認されたものとする。
第2条(雇用期間) 雇用期間は【開始日】から【終了日】までとし、乙の在留期間の更新を条件として更新することができる。
第3条(就業場所・労働時間) 就業場所は【就業場所】、所定労働時間は1日【 】時間、休憩【 】分とする。
第4条(報酬) 基本給は月額【金額】円とし、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額を下回らないものとする。賃金の支払方法及び控除項目は別紙賃金規程による。
第5条(社会保険・労働保険) 甲は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険及び労災保険について、法令に基づき乙を適用対象として加入手続を行う。
第6条(帰国旅費) 乙が雇用契約終了後に帰国する場合であって自己負担が困難なときは、甲が帰国旅費を負担し、出国を確保するための措置を講じる。
第7条(相談・苦情対応) 甲は、乙からの職業生活、日常生活又は社会生活に関する相談及び苦情について、乙が理解できる言語で対応する体制を整備する。
第8条(不当な扱いの禁止) 甲は、乙に対し、外国人であることを理由とした不当な差別的取扱い及び保証金の徴収その他の不当な金銭的負担を求めない。
第9条(契約の終了) 甲又は乙は、労働基準法及び関係法令に基づく事由がある場合に限り、本契約を解除することができる。
第10条(準拠法) 本契約は日本法に準拠する。
第11条(協議事項) 本契約に定めのない事項及び本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議して定める。
以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名押印の上各1通を保有する。
1号特定技能外国人支援計画(記載事項)
- 事前ガイダンスの実施(労働条件、支援内容、入国手続の説明)
- 出入国の際の送迎の実施
- 住居確保に係る支援及び生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーションの実施(公的手続、金融機関利用、交通機関利用等)
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応体制及び対応者の氏名・連絡先
- 日本人との交流促進に係る支援
- 転職(人員整理等やむを得ない場合)における転職支援
- 定期的な面談の実施(乙及び乙の監督者それぞれとの面談)
- 行政機関への通報(労働基準関係法令違反を知った場合)
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 受入れ機関(企業)の立場から
支援計画の一部を登録支援機関に委託する場合は、委託の範囲と甲の監督責任の分担を契約書上明確にしておく必要がある。
修正例:「甲は、本支援計画の実施の全部を登録支援機関【名称】に委託する。ただし、甲は、乙の受入れに関する最終的な責任を免れないものとする。」
一言解説:支援業務を委託しても出入国在留管理庁への各種届出義務や責任主体は甲に残るため、委託契約と本書式の記載を整合させる必要がある。
B. 特定技能外国人の立場から
乙の立場からは、報酬の算定根拠と、時間外労働が発生した場合の割増賃金の計算方法を具体的に明示させることが望ましい。
修正例:「時間外労働、休日労働及び深夜労働が生じた場合、甲は労働基準法第37条に定める割増率により計算した割増賃金を支払う。」
一言解説:同等報酬要件は基本給だけでなく手当や割増賃金の実質的な支払いも含めて判断されるため、計算方法まで契約書に落とし込むことがトラブル防止に資する。
乙の立場からは、支援計画に定める相談窓口の対応言語や、日本語学習支援の具体的な内容についても、契約書上で確認できるようにしておくことが望ましい。
修正例:「甲は、乙が理解できる言語(【言語】)による相談対応が可能な窓口を設け、その連絡先を乙に交付する。」
一言解説:支援計画の記載が抽象的なまま運用されると、実際に乙が相談したい場面で対応を受けられないおそれがあるため、対応言語や連絡手段を具体的に確認しておくことが有効である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、特定技能1号の在留資格で外国人を雇用する際に、雇用契約書と支援計画をあわせて作成する場面で使用する。技能実習からの移行や技能測定試験合格者の新規受入れのいずれの場合にも用いることができるが、特定技能2号や他の在留資格の外国人には別途在留資格に応じた書式を検討する必要がある。
根拠法令としては、出入国管理及び難民認定法第2条の5が特定技能雇用契約の基準を定め、同法に基づく特定技能基準省令及び1号特定技能外国人支援に関する省令が、報酬の同等性、支援計画の実施内容、相談体制の整備等を具体的に規定している。これらの基準を満たさない雇用契約及び支援計画は、在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請において不許可となる要因となり得る。また、報酬額や労働時間の定めは労働基準法及び最低賃金法の適用を受ける。
実務でよくある失敗として、第一に、支援計画を作成したものの実際には実施されず、定期面談の記録も残していないケースがある。面談実施日と内容を記録する様式をあわせて整備することが対策となる。第二に、日本人従業員との報酬比較を行わずに基本給を設定し、同等報酬要件を満たしていないと在留資格審査時に指摘されるケースがある。同種業務に従事する日本人労働者の賃金台帳と比較した根拠資料を保存しておく必要がある。第三に、住居確保支援において会社が用意した社宅の家賃控除額が実質的に不当な負担となっているケースがあり、控除額の算定根拠を契約書に明記することが望ましい。
第四に、相談窓口を設置したものの担当者が日本語しか対応できず、乙が実質的に相談できない状態になっているケースがあり、対応言語を確認できる体制を整えることが対策となる。
支援計画の運用や在留資格審査の判断は個別の事情により異なるため、実際の受入れにあたっては行政書士又は弁護士等の専門家に個別に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 業務区分・作業内容が受入れ分野の技能水準と一致しているか
- [ ] 報酬額が日本人従業員との比較で同等以上であることの根拠を確認したか
- [ ] 割増賃金の計算方法を明記したか
- [ ] 社会保険・労働保険の加入手続を規定したか
- [ ] 帰国旅費の負担者と確保措置を記載したか
- [ ] 相談・苦情対応の体制と対応言語を明記したか
- [ ] 支援計画の委託範囲と甲の監督責任を整理したか
- [ ] 定期面談の実施頻度と記録方法を定めたか
- [ ] 住居確保支援における費用負担の算定根拠を明記したか
- [ ] 不当な差別的取扱い・金銭徴収の禁止を明記したか
- [ ] 契約解除事由が労働基準法等の法令に沿っているか
- [ ] 相談窓口の対応言語を確認したか
- [ ] 日本語学習支援の具体的内容を明記したか