一度停止した取引を再開する条件を定める合意書です。再開時期、与信枠、担保や前払条件、再発防止の確認事項を規定します。ひな型をもとに数分で自社仕様に調整できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
取引再開合意書
第1部: 書式本文
取引再開合意書
【当事者A】(以下「甲」という。)と【当事者B】(以下「乙」という。)は、【年】年【月】月【日】日付で停止していた取引の再開について、以下のとおり合意する。
第1条(前提事実の確認) 甲及び乙は、【年】年【月】月【日】日付通知により、【停止理由、例:乙の代金支払遅延】を理由として取引が停止されていたことを相互に確認する。
第2条(取引再開) 甲及び乙は、本合意書締結日をもって、【基本契約名称】(【年】年【月】月【日】日付)に基づく新規発注を再開する。
第3条(再開時期) 新規発注の再開は【年】年【月】月【日】日から開始する。
第4条(与信枠) 甲が乙に対して設定する与信枠は、当面の間、月額【 】円を上限とする。乙の取引実績が【 】か月間安定した場合、甲乙協議のうえ与信枠の見直しを検討する。
第5条(担保又は前払条件) 乙は、取引再開にあたり下記いずれかの条件に従うものとする。 (1) 甲に対し保証金【 】円を差し入れる。 (2) 個別契約ごとに代金の全部又は一部を前払いする。 (3) 【 】(その他の担保方法)
第6条(再発防止策) 乙は、停止理由となった事態の再発を防止するため、下記の措置を講じる。 【再発防止策、例:入金管理体制の見直し、資金繰り表の定期的な提出等】
第7条(モニタリング) 乙は、取引再開後【 】か月間、甲に対し月次の資金繰り状況又は履行状況を報告する。
第8条(既存債権債務の確認) 甲及び乙は、取引停止前に生じた債権債務について、下記のとおり確認する。 【既存債権債務の内容と処理方法】
第9条(再度の停止事由) 乙に下記の事由が生じた場合、甲は乙への通知により、再び新規発注を停止することができる。 (1) 第6条の再発防止策が履行されないとき (2) 第7条の報告がなされないとき (3) その他乙の信用状態に重大な懸念が生じたとき
第10条(基本契約との関係) 本合意書に定めのない事項は、基本契約の定めるところによる。
第11条(秘密保持) 本合意書及び再開後の取引に関連して知り得た相手方の営業上・財務上の情報は、目的外に使用又は第三者に開示してはならない。
第12条(有効期間) 本合意書は締結日から効力を生じ、基本契約が終了するまでの間、又は第9条に基づき甲が新規発注を再停止するまでの間、効力を有する。
第13条(通知方法) 本合意書に基づく通知は、書面又は電磁的方法(電子メールを含む。)により、相手方が指定する連絡先宛に行う。
第14条(協議) 本合意書に定めのない事項及び疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議する。
以上の合意を証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印のうえ各自1通を保有する。
【年】年【月】月【日】日
甲 住所: 氏名又は名称: 印 乙 住所: 氏名又は名称: 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節:与信リスクを負う当事者(発注者)側の視点
発注者としては、再開後も慎重な与信管理を継続できるよう、段階的な与信枠拡大の仕組みを設けます。
第4条(修正例) 与信枠は当初【 】円とし、乙が3か月間延滞なく履行した場合、甲乙協議のうえ段階的に引き上げる。
一言解説:一度に大きな与信を与えず、実績に応じて拡大することでリスクを抑えます。
B節:信用回復を図る当事者(受注者)側の視点
受注者としては、過度に厳しい条件が固定化しないよう、見直しの機会を確保します。
第4条(修正例) 与信枠及び担保条件は、乙が6か月間安定した履行実績を示した場合、乙の申出により甲乙が再協議する。
一言解説:再発防止策の効果が確認された後は条件緩和の道筋があることを示す修正です。
C節:既存債権債務が残っている場合
取引停止前の未払代金や損害賠償請求権が残っている場合、これを再開合意と切り離して処理します。
第8条(修正例) 甲の乙に対する既存の売掛債権【 】円については、本合意書とは別に、乙が【年】年【月】月【日】日までに分割弁済することとし、別途弁済合意書を締結する。
一言解説:既存債務の処理を再開条件に組み込みすぎると再開自体が進まなくなるため、別建てで整理する例です。
D節:再発防止策の実効性を高める場合
単なる誓約にとどめず、具体的な報告義務やモニタリング手法を詳細化します。
第7条(修正例) 乙は、毎月末日時点の資金繰り表及び主要取引先への支払状況を、翌月10日までに甲に提出する。甲は当該資料をもとに与信枠の妥当性を検証する。
一言解説:抽象的な「報告する」だけでなく提出物と期限を具体化することで実効性を高めます。
E節:グループ会社を含めて取引を再開する場合
乙のグループ会社との取引も併せて再開する場合、対象範囲を明確にします。
第2条(修正例) 本合意書に基づく取引再開の対象には、乙及び乙が別紙で指定するグループ会社を含む。ただし、与信枠は乙とグループ会社の合計額として管理する。
一言解説:グループ会社ごとに個別管理すると与信の全体像を見失うため、合算管理の方針を明記します。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面
信用不安や契約違反を理由に一度停止した取引を、事情の改善や再発防止策の提示を受けて再開する場合に使用します。既存の基本契約は維持されたまま新規発注のみが停止されていたケースに適しています。
使ってはいけない場面
停止理由が解消されていないにもかかわらず、取引関係を維持したいという事情だけで安易に再開する場合には適しません。特に相手方の財務状況が改善していないまま与信枠を拡大すると、貸し倒れリスクを再び負うことになります。また、基本契約自体が既に解除されている場合、本合意書のみで基本契約を復活させることはできず、新たな基本契約の締結が必要です。
根拠法令
再開合意は民法第521条以下の契約自由の原則に基づく新たな合意です。担保や保証金の差入れについては民法第342条以下(質権)や第446条以下(保証)が関係することがあります。既存債権債務の整理においては、相殺に関する民法第505条以下や、時効の完成猶予・更新に関する民法第147条以下も検討対象となります。
よくある失敗と条項上の対策
- 停止理由が解消されたことの確認を怠り、実質的に改善がないまま再開してしまう失敗があります。対策として第1条・第6条で前提事実と再発防止策を明記します。
- 既存の未払債権の処理を曖昧にしたまま再開し、後日その回収が困難になる失敗があります。対策として第8条で既存債権債務の処理方法を明確にします。
- 再度停止する場合の要件を定めず、状況が悪化しても迅速に対応できない失敗があります。対策として第9条のように再停止事由を明記します。
また、再発防止策を口頭の誓約だけで済ませてしまい、実効性を検証する手段がないまま与信枠を拡大してしまう失敗も見られます。第7条のように提出資料と期限を具体的に定め、履行状況を継続的に確認できる体制にしておくことが重要です。
取引再開の可否や条件設定は相手方の財務状況や業界慣行、既存債権の額によって大きく異なるため、個別事案は専門家に確認のうえ、与信管理部門とも連携して条件を確定してください。
第4部: 使用前チェックリスト
- 停止理由が客観的に解消されたことを確認したか
- 与信枠の金額及び見直し条件を明記したか
- 担保又は前払条件の内容を明記したか
- 再発防止策の具体的内容を記載したか
- モニタリング(報告義務)の頻度と内容を明記したか
- 既存の債権債務の処理方法を明記したか
- 再度の停止事由を明記したか
- 基本契約との関係(優先関係)を明記したか
- 与信管理部門・経理部門の承認を得たか
- 記名押印者の代表権限を確認したか
- 保証金を受領する場合の保管方法を確認したか
- 締結後の与信枠管理を担当する部署を明確にしたか