役員の防御費用等を補償する契約とD&O保険の内容を決める議事録。会社法第430条の2及び第430条の3の決議要件と、事業報告での開示事項までを整理した書式です。
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取締役会議事録(補償契約及び役員等賠償責任保険契約の内容の決定の件)
第1部: 書式本文
取締役会議事録
- 開催日時 【20XX年X月X日 午前/午後X時X分から同X時X分まで】
- 開催場所 【本店所在地/会議室名等】
- 出席取締役 【総数X名中X名出席(議長を含む)】
- 出席監査役 【総数X名中X名出席】
- 議長 定款の定めに基づき、代表取締役【氏名】が議長となり、本取締役会は適法に成立した旨を述べ、開議を宣した。
- 議案第1号 「補償契約の内容の決定の件」
- 補償契約の相手方 取締役【氏名】、執行役員【氏名】等、会社法第423条第1項に規定する役員等【全員/対象者を列挙】
- 補償の対象となる費用等(会社法第430条の2第1項第1号) 役員等がその職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことに対処するために支出する費用(防御費用)
- 補償の対象となる損失等(会社法第430条の2第1項第2号) 役員等がその職務の執行に関し、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における当該損害賠償金及び当該損害賠償に関する紛争解決のための金銭(和解金)
- 補償の対象外とする範囲(会社法第430条の2第2項の確認) 本補償契約は、役員等がその職務を行うにつき悪意又は重過失があったことにより第三者に対して損害賠償責任を負う場合における当該損害の賠償に係る部分、及び会社に対して損害を賠償した場合に会社が当該役員等に対して有する求償権に係る部分については、補償の対象としない旨を確認した。
- 利益相反規定の適用関係 本契約の締結は会社法第430条の2第6項の規定により同法第356条第1項及び第365条第2項(利益相反取引の承認等)の規定を適用しない旨、ただし取締役会設置会社においては契約締結後、遅滞なく重要な事実を取締役会に報告しなければならない旨を議長が説明した。
- 議案第2号 「役員等賠償責任保険契約(D&O保険)の内容の決定の件」
- 保険契約の内容 保険者 【保険会社名】、被保険者の範囲 【取締役・監査役・執行役員等】、保険期間 【20XX年X月X日から20XX年X月X日まで】、保険金額 【 】円、保険料負担者 【会社】
- 決議の根拠 本保険契約の内容の決定は会社法第430条の3第1項に定める取締役会決議事項であり、同条第2項の規定により同法第356条第1項及び第365条第2項は適用されない旨を議長が説明した。
- 事業報告における開示の準備 会社法施行規則第121条第3号の2から第3号の4までに定める補償契約及びD&O保険契約の内容の概要、補償した金額、被保険者の範囲、保険料を負担する者等について、次期事業報告に記載する準備を行う旨を確認した。
- 採決 議長が議案第1号及び第2号を順次議場に諮ったところ、いずれも出席取締役の全員一致をもって、原案どおり承認可決した。
- 議事録の作成 上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役はこれに記名押印する。
【20XX年X月X日】 【会社名】 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印 出席監査役 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. D&O保険(役員等賠償責任保険契約の内容決定を中心とする場合)
D&O保険契約は保険期間が通常1年更新であり、更新時にも会社法第430条の3第1項の取締役会決議が必要となる点に留意する。書き換え例として第13項に続けて、「本契約は前年度契約の更新であり、保険料及び填補限度額の変更点は【変更内容】のとおりである」旨を追記すると、更新時の決議として使いやすい。また、被保険者の範囲に子会社役員を含める場合は、その旨を明記し、施行規則第121条第3号の4に基づく事業報告への反映を漏れなく行う必要がある。
B. 取締役会設置会社(監査役の意見及び独立社外取締役の関与を含む機関設計)
取締役会設置会社のうち監査役会設置会社又は監査等委員会設置会社では、補償契約及びD&O保険契約の内容決定に際して監査役又は監査等委員の意見を確認する運用が望ましい。書き換え例として第11項の後に「監査役【氏名】は、補償契約の対象範囲が会社法第430条の2第2項所定の除外事由(悪意又は重過失による損害等)を含んでいないことを確認し、特段の異議はない旨を述べた」との一文を加える。また、社外取締役が被保険者に含まれる場合は、その独立性確保の観点から契約内容の透明性(填補限度額・自己負担額等)を議事録上でより具体的に記載することが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面: 取締役会設置会社が、役員等の職務執行に関する防御費用や第三者に対する損害賠償責任を会社が補償する補償契約、及び役員等賠償責任保険契約(D&O保険)の内容を決定する場合に使用する。指名委員会等設置会社を除く取締役会設置会社では、会社法第430条の2第1項及び第430条の3第1項の規定により、これらの契約内容の決定は株主総会決議ではなく取締役会決議によって行うことができる。
根拠法令: 会社法第430条の2第1項(補償契約の内容の決定、取締役会決議事項)、同条第2項(補償の対象外となる範囲、悪意又は重過失による損害及び会社への求償に応じることによる損害)、同条第6項及び第7項(利益相反規定である同法第356条・第365条第2項の適用除外、ただし重要事実の取締役会報告義務は別途存在)、同法第430条の3第1項(D&O保険契約の内容の決定、取締役会決議事項)、同条第2項(利益相反規定の適用除外)、会社法施行規則第121条第3号の2から第3号の4まで(事業報告における補償契約・D&O保険契約の開示事項)。
実務でよくある失敗と対策: (a) 補償契約の対象範囲に会社法第430条の2第2項が禁止する「職務執行に関し悪意又は重過失があった場合の損害」を含めてしまい、契約条項の該当部分が無効となり、実際に補償が受けられないリスクがある。第10項のように契約書上で除外範囲を明示的に規定し、補償の可否判断のプロセス(取締役会又は監査役への報告手続)をあらかじめ定めておくことが対策となる。 (b) D&O保険契約の内容決定について取締役会決議を経ずに保険会社と契約を締結してしまい、会社法第430条の3の手続違反となるケースがある。特に保険契約の更新時には新規締結時と同様に決議が必要であることが見落とされやすいため、契約更新のスケジュールを取締役会の年間決議事項リストに組み込む運用が有効である。 (c) 事業報告における開示事項(会社法施行規則第121条第3号の2以下に定める契約の内容の概要、被保険者の範囲、保険料負担者等)の記載漏れが生じるケースがある。第15項のように取締役会決議の段階で事業報告記載事項をあらかじめリストアップし、経理・法務部門間で情報共有する体制を整えることが望ましい。
補償契約及びD&O保険契約の内容は会社の規模や役員構成により適切な設計が異なるため、個別事案については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 補償契約の相手方(役員等の範囲)を明確に特定したか
- [ ] 補償の対象となる費用等(防御費用)及び損失等(損害賠償金・和解金)を区別して記載したか
- [ ] 会社法第430条の2第2項の除外事由(悪意又は重過失による損害等)を契約条項に反映したか
- [ ] 補償契約締結後の取締役会への重要事実報告義務について社内手続を整理したか
- [ ] D&O保険契約の被保険者の範囲(子会社役員を含むか等)を確認したか
- [ ] D&O保険契約の内容決定について取締役会決議を経ているか確認したか
- [ ] 保険契約の更新時にも改めて取締役会決議を行う運用になっているか確認したか
- [ ] 会社法施行規則第121条第3号の2から第3号の4までの事業報告記載事項を洗い出したか
- [ ] 監査役又は監査等委員の意見聴取を行ったか(該当する機関設計の場合)
- [ ] 議長及び出席取締役の記名押印欄を設けたか