定款の授権に基づき取締役会で配当を決定する際の議事録。会社法第459条第1項の適用要件である会計監査人設置等の機関設計と、分配可能額規制の確認手順を示します。

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取締役会議事録(剰余金の配当の決定の件)

第1部: 書式本文

取締役会議事録

株式会社【会社名】は、【開催年月日】午前・午後【◯】時【◯】分より、当会社本店【所在地】において取締役会を開催した。

  1. 取締役の総数及び出席取締役数 取締役の総数【◯】名のうち、出席取締役数【◯】名(会社法第369条第1項の定足数を充足)

  2. 出席監査役 監査役【◯】名出席

  3. 議長 代表取締役【氏名】が議長席に着き、開会を宣し、本取締役会は適法に成立した旨を述べ、直ちに議事に入った。

  4. 459条1項の要件充足の確認 議長は、当会社が会社法第459条第1項に基づき取締役会の決議により剰余金の配当を決定できる会社であることを確認するため、下記各要件を充足している旨を報告した。

  5. 当会社は会計監査人設置会社であること(第459条第1項柱書)
  6. 取締役の任期を1年を超えない期間と定めていること(監査等委員である取締役を除く)
  7. 当会社は監査役設置会社であること
  8. 定款第【◯】条に、剰余金の配当を取締役会の決議によって定めることができる旨、及び毎事業年度末日の翌日から【◯】か月以内に1回に限り配当することができる旨の定めがあること(第459条第1項第4号)

  9. 分配可能額の確認 議長は、会社法第461条第1項第8号及び第446条の規定に基づき算定した分配可能額が金【◯】円であることを報告し、本議案に係る配当総額がこれを下回ることを確認した。なお、直前の臨時計算書類(第461条第2項第2号)の作成の有無及びその内容を併せて確認した。

  10. 議案の上程 議長は「剰余金の配当の決定の件」を議案として上程した。

  11. 決議事項 審議の結果、出席取締役全員異議なく、下記のとおり剰余金の配当を行うことを可決した。

  12. 配当財源: その他利益剰余金
  13. 1株当たり配当額: 金【◯】円
  14. 配当総額: 金【◯】円
  15. 基準日: 【年月日】
  16. 効力発生日(支払開始日): 【年月日】
  17. 配当の方法: 【株主名簿記載の株主への銀行振込等】

  18. 会計監査人への確認事項 本決議に先立ち、会計監査人【監査法人名】から分配可能額の算定根拠につき意見を聴取済みである旨を確認した。

  19. 決議の方法及び結果 議長は各取締役に意見を求めたが特段の異議なく、出席取締役の全員一致をもって上記各号を承認可決した。

  20. 閉会 以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣した。(閉会時刻: 【◯】時【◯】分)

  21. 議事録の作成 本議事録を作成し、議長及び出席取締役・監査役が次に記名押印する。

【作成年月日】 株式会社【会社名】 取締役会

議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印 出席監査役 【氏名】 印

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 会計監査人設置会社としての記載パターン

会社法第459条第1項の適用には、会計監査人設置会社であることが必須要件の一つである(同項柱書)。会計監査人設置会社であっても、監査役設置会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を含む)であることが同時に要求されるため、第4項では両方の機関設計要件を並記して確認する構成としている。会計監査人非設置会社である場合、本書式は使用できず、剰余金配当は原則どおり株主総会の普通決議(会社法第454条第1項、第309条第1項)によらなければならない点を、社内の機関設計変更時のチェック項目として明記しておくことが望ましい。

B節: 定款授権ありとしての記載パターン

定款に会社法第459条第1項の定めがあることが取締役会決議による配当の絶対条件である。定款授権がある場合でも、同項第4号に基づき「毎事業年度末日の翌日から一定期間内に1回に限り」との制限が付されている場合には、当該期間内であるかを第4項で必ず確認する構成とする。定款変更の経緯(株主総会特別決議、会社法第466条・第309条第2項第11号)を別途取締役会資料として添付し、定款条文番号と本議事録の引用条文番号が一致しているかを確認する運用が望ましい。

第3部: 書き方と法的ポイントの解説

本書式は、定款の授権に基づき取締役会が剰余金の配当を決定する場面で使用する。株主総会の決議を経ずに機動的に配当を実施できる点が特徴であるが、会社法第459条第1項の適用要件をすべて満たさない会社では使用できず、その場合は株主総会決議(第454条第1項)による配当書式を用いる必要がある。根拠法令は、取締役会による配当決定の要件を定める第459条第1項、分配可能額の算定根拠となる第461条第1項第8号及び第446条、臨時計算書類に関する第461条第2項第2号、並びに株主総会の配当決定権限を制限する定款の定めに関する第460条第1項である。

実務でよくある失敗として、第一に、会社法第459条第1項が定める4要件(会計監査人設置会社であること、取締役の任期が1年を超えないこと(監査等委員である取締役を除く)、監査役設置会社であること、定款に同項の定めがあること)のいずれかを欠いたまま取締役会決議による配当を行ってしまうケースがある。特に、取締役の任期を2年とする定款のまま変更を失念しているケースが多く、この場合、取締役会決議自体が権限のない機関による決議として無効となるおそれがある。本書式第4項のように、決議の都度、各要件を個別に確認し記録する運用が対策となる。

第二に、分配可能額(第461条)の算定を直前期の確定した決算数値のみで行い、期中に生じた自己株式の取得・処分や、第461条第2項第2号に基づく臨時計算書類の作成による分配可能額の変動を反映し忘れるケースがある。本書式第5項のように、算定の基礎となった直近の計算書類及び臨時計算書類の有無を明記し、算定根拠を議事録上に残すことが対策となる。

第三に、定款で株主総会の剰余金配当決議権限を制限する旨の定め(第460条第1項)があるにもかかわらずこれを確認せず、取締役会決議と株主総会決議が重複して行われ、社内で混乱が生じるケースがある。定款条文を都度参照し、決議機関が取締役会に一元化されていることを確認する必要がある。なお、459条1項の各要件充足の有無や分配可能額の算定方法の適否については、会社の機関設計や決算内容により結論が異なり得るため、個別事案は専門家に確認することが不可欠である。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 当会社が会計監査人設置会社であることを確認したか(第459条第1項柱書)
  • [ ] 取締役(監査等委員である取締役を除く)の任期が1年を超えない旨定款で定めているか確認したか
  • [ ] 当会社が監査役設置会社(又は監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社)であることを確認したか
  • [ ] 定款に第459条第1項に基づく取締役会決議による配当の定めがあることを確認したか
  • [ ] 定款第459条第1項第4号の期間制限(毎事業年度末日の翌日から一定期間内)を遵守しているか確認したか
  • [ ] 分配可能額(第461条第1項第8号、第446条)を最新の計算書類に基づき算定したか
  • [ ] 臨時計算書類(第461条第2項第2号)の作成の有無と反映を確認したか
  • [ ] 会計監査人から分配可能額算定に関する意見を確認したか
  • [ ] 定款第460条第1項による株主総会権限制限の有無と重複決議のリスクを確認したか
  • [ ] 基準日・効力発生日・配当方法を明記したか