譲渡制限株式の譲渡を承認する取締役会議事録。会社法第139条第1項の承認機関としての決議と第140条の不承認時の買取手続に触れ、株主名簿の書換えへつなげます。

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取締役会議事録(株式の譲渡承認の件)

第1部: 書式本文


取締役会議事録

【会社名】は、【西暦】年【月】日【時】時【分】分より、当会社本店において取締役会を開催した。

  1. 開会  定刻、代表取締役【氏名】は議長席に着き、開会を宣し、本取締役会は法令及び定款に定める定足数を充足している旨を述べ、直ちに議事に入った。

  2. 出席者の報告  議長は、取締役総数【〇】名のうち出席取締役数【〇】名、監査役総数【〇】名のうち出席監査役数【〇】名であることを報告し、会社法第369条第1項所定の定足数を満たしていることを確認した。

  3. 議案上程  議長は、第1号議案「株式の譲渡承認の件」を上程し、その趣旨を説明した。

  4. 譲渡等承認請求の内容報告  議長は、株主【譲渡人氏名】(以下「譲渡人」という。)より、会社法第136条に基づき、譲渡人が保有する当会社の譲渡制限株式【〇】株(【種類】株式)を、譲受人【譲受人氏名】に譲渡することについて承認を求める旨の請求(以下「本件譲渡承認請求」という。)が、【西暦】年【月】日付をもって会社法第138条第1号所定の事項を記載した書面によりなされた旨を報告した。

  5. 審議  議長は、本件譲渡承認請求の内容、譲受人の属性及び当会社の株主構成に与える影響等について説明し、出席取締役及び監査役に意見を求めたところ、慎重な審議がなされた。

  6. 決議  議長が本件譲渡承認請求を承認するか否かにつき諮ったところ、出席取締役の全員一致をもって、次のとおり決議した。

「当会社は、会社法第139条第1項の規定に基づき、譲渡人が保有する当会社の【種類】株式【〇】株を譲受人【譲受人氏名】に譲渡することを承認する。」

  1. 請求者への通知に関する確認  議長は、会社法第139条第2項及び第145条第1号の規定により、本件承認の決定内容を、本件譲渡承認請求の日から2週間以内に譲渡人に対し書面により通知しなければならず、当該期間内に通知をしない場合は承認をしたものとみなされる旨を確認し、通知の発送を代表取締役【氏名】に委任することとした。

  2. 株主名簿の名義書換えに関する確認  議長は、本件承認後、譲受人が会社法第133条第1項に基づき株主名簿記載事項の変更を請求した場合には、遅滞なく株主名簿の書換手続を行う旨を確認した。

  3. その他の確認事項  議長は、本件譲渡に伴い、譲受人が新たに株主となることに関し、株主名簿管理人が置かれている場合はこれに対する通知等必要な手続を行う旨を確認した。

  4. 閉会  以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣した。

  5. 議事録の作成  上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役・監査役はこれに記名押印する。

【西暦】年【月】日

【会社名】取締役会

議長・代表取締役 【氏名】 印 取締役 【氏名】 印 取締役 【氏名】 印 監査役 【氏名】 印


第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 非公開会社(全株式譲渡制限会社)における基本パターン

発行する全部の株式に譲渡制限が付されている非公開会社(会社法第2条第5号)であって取締役会設置会社の場合、定款に別段の定めがない限り、譲渡承認機関は取締役会となる(会社法第139条第1項本文)。上記本文の記載はこの原則形を前提としている。非公開会社では株主構成の閉鎖性を維持する目的が強いため、審議事項(第5項)において「譲受人が既存株主又は役員関係者であるか」「経営支配権に与える影響」を具体的に記載し、承認判断の合理性を議事録上明確にしておくことが望ましい。また、非公開会社は株券発行会社であるか否かを問わず株主名簿の管理が対抗要件上重要となるため、第8項の名義書換え確認は必須の記載とする。

修正条文例:  「議長は、当会社が発行する全部の株式につき譲渡制限が付されていること、及び定款第【〇】条により譲渡承認機関が取締役会と定められていることを確認したうえで、本件譲渡承認請求について審議した。」

B節: 定款により譲渡承認機関が株主総会と定められている場合

会社法第139条第1項ただし書は、取締役会設置会社であっても定款に別段の定め(株主総会を承認機関とする旨)を置くことを認めている。このような定款規定がある会社では、本議事録の第4号から第6号の決議部分をそのまま用いることはできず、取締役会は「株主総会に付議するための議案決定」を行うにとどまる点に注意が必要である。

修正条文例:  「議長は、当会社定款第【〇】条において株式の譲渡承認機関は株主総会と定められている旨を説明し、本件譲渡承認請求を次回株主総会に付議することを決定した。」  一言解説: 取締役会が誤って自ら承認決議をしてしまうと、承認機関を欠いた決議として無効と評価されるおそれがあるため、定款の承認機関規定を必ず事前に確認する。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、譲渡制限株式について株主又は譲受人から会社法第136条・第137条に基づく譲渡等承認請求がなされ、取締役会がその承認機関である場合に使用する。定款で株主総会その他の機関を承認機関と定めている会社(会社法第139条第1項ただし書)や、取締役会非設置会社では使用できない。

根拠法令は、譲渡等承認請求の主体を定める会社法第136条(株主からの請求)及び第137条(譲受人からの請求)、承認機関及び決議方法を定める第139条第1項、承認又は不承認の通知期限及びみなし承認を定める第145条第1号、不承認の場合の会社又は指定買取人による買取手続を定める第140条及び第141条、並びに承認後の対抗要件具備手続を定める第133条(株主名簿の名義書換請求)である。

実務でよくある失敗として、第一に、承認請求から2週間以内(会社法第145条第1号)に承認又は不承認の通知を発しないと、会社が承認をしたものとみなされ、会社の意図に反して譲渡を阻止できなくなる点が挙げられる。本書式第7項のように、通知期限及び発送担当者を議事録上明記し、社内の期限管理を徹底することが対策となる。第二に、不承認とする場合には、会社が自ら株式を買い取るためには別途株主総会の特別決議(会社法第140条第2項、第309条第2項第1号)が必要であり、かつ供託手続(第141条第2項)を要するにもかかわらず、取締役会限りで買取りまで完結できると誤解するケースが多い。不承認方針を決議する場合は、後続手続として株主総会招集の要否を議事録に付記しておくべきである。第三に、承認決議後に株主名簿の名義書換え(会社法第133条)を失念し、譲受人が第三者対抗要件を具備できないまま放置される例がある。本書式第8項のとおり、承認決議と名義書換手続を一体のフローとして議事録に組み込むことが望ましい。なお、個別の事案においては株式の種類や定款規定により結論が異なり得るため、実際の運用にあたっては弁護士等の専門家に確認することを強く推奨する。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 対象会社が取締役会設置会社であり、定款上の譲渡承認機関が取締役会であることを確認したか
  • [ ] 譲渡等承認請求が会社法第136条又は第137条所定の適格者(株主又は譲受人)からなされているか
  • [ ] 請求書面に会社法第138条第1号所定の事項(譲渡株式数、譲受人氏名等)が記載されているか
  • [ ] 取締役会の定足数(会社法第369条第1項)を満たしているか
  • [ ] 承認又は不承認の通知期限(請求日から2週間、会社法第145条第1号)を議事録上明記したか
  • [ ] みなし承認のリスクについて社内の期限管理体制が整っているか
  • [ ] 不承認とする場合、会社による買取りに必要な株主総会特別決議の要否を確認したか
  • [ ] 供託手続(会社法第141条第2項)の要否を確認したか
  • [ ] 承認後の株主名簿名義書換え手続の担当者・期限を定めたか
  • [ ] 議長及び出席取締役・監査役の記名押印欄に不備がないか
  • [ ] 譲渡制限株式の種類・数量の記載が請求内容と一致しているか