少人数私募債等を発行する際の議事録。会社法第676条の募集社債に関する事項と第362条第4項第5号の取締役会決議事項に触れ、総額・利率・償還期限の記載例を収録。

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取締役会議事録(社債の発行の件)

第1部: 書式本文


取締役会議事録

【会社名】は、【西暦】年【月】日【時】時【分】分より、当会社本店において取締役会を開催した。

  1. 開会  議長・代表取締役【氏名】は、取締役総数【〇】名中出席取締役【〇】名、監査役総数【〇】名中出席監査役【〇】名であり、会社法第369条第1項の定足数を満たすことを確認し、開会を宣した。

  2. 議案上程  議長は、第1号議案「社債の発行の件」を上程し、資金使途及び発行の必要性について説明した。

  3. 社債発行の目的及び資金使途の説明  議長は、本社債の発行により調達する資金を【運転資金/設備資金等】に充当する旨を説明した。

  4. 募集社債に関する事項の決定(会社法第676条)  審議の結果、出席取締役の全員一致をもって、次のとおり決議した。

(1) 募集社債の総額 金【〇】円  (2) 各社債の金額 金【〇】円  (3) 募集社債の利率 年【〇】パーセント  (4) 募集社債の払込金額 各社債の金額【〇】円につき金【〇】円  (5) 償還の方法及び期限 【西暦】年【月】日を一括償還期日とする  (6) 利息支払の方法及び期限 【毎年〇月〇日、〇月〇日の年〇回払】  (7) 社債権者に対する社債の割当てを受ける権利の内容 定めない(縁故者に対する少人数私募とする)  (8) 募集社債と引換えにする金銭の払込みの期日 【西暦】年【月】日  (9) 会社法施行規則第162条に定めるその他の事項 別紙のとおり

  1. 少人数私募要件の確認  議長は、本社債の勧誘対象者が50名未満であること、及び本社債券面に譲渡制限に関する事項を付する予定であることを確認し、金融商品取引法第2条第3項第2号ロに規定する少人数私募の要件を充足する旨を報告した。

  2. 社債管理者の設置要否の確認  議長は、各社債の金額が【1億円以上/1億円未満】であること及び社債権者の数が【〇】名(50名未満)となる見込みであることから、会社法第702条ただし書により社債管理者を設置しないこととする旨を確認した。

  3. 社債申込証及び目論見書等の様式の承認  議長は、社債申込証の様式を別紙のとおり定める旨を諮り、出席取締役全員異議なくこれを承認した。

  4. 代表取締役への委任事項の決定  議長は、会社法第362条第4項第5号及び会社法施行規則第99条の範囲内において、募集社債の総額の範囲内で各回ごとの発行時期、払込金額の調整その他発行に関する具体的細目を代表取締役【氏名】に委任する旨を諮り、出席取締役全員異議なくこれを承認した。

  5. 閉会  以上をもって本日の議事を終了したので、議長は閉会を宣した。

  6. 議事録の作成  本議事録を作成し、議長及び出席取締役・監査役はこれに記名押印する。

【西暦】年【月】日

【会社名】取締役会

議長・代表取締役 【氏名】 印 取締役 【氏名】 印 取締役 【氏名】 印 監査役 【氏名】 印


第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A節: 少人数私募債として発行する場合

縁故者・取引先等の限られた投資家(50名未満)に対して私募する少人数私募債は、金融商品取引法上の開示規制(有価証券届出書の提出義務)の適用を免れるための要件充足が最重要である。譲渡制限条項を社債要項に明記し、勧誘対象者数を議事録上で確認したことを残すことで、後日の要件充足性の立証に資する。

修正条文例:  「本社債には、会社法第676条第7号に基づき、社債権者の一括譲渡先を除き第三者への譲渡につき当会社の承認を要する旨の譲渡制限条項を付する。議長は、勧誘対象者が【〇】名であり50名未満であることを改めて確認した。」  一言解説: 少人数私募要件は発行の都度確認する必要があり、既発行の社債と通算して50名要件を判定される場合があるため、過去の発行実績との合算確認を怠らないこと。

B節: 取締役会設置会社として代表取締役へ発行手続を委任する場合

取締役会設置会社では、社債発行に関する事項は原則として取締役会決議事項であるが(会社法第362条第4項第5号)、会社法施行規則第99条により募集社債の総額の上限その他一定の事項を取締役会があらかじめ定めた範囲内で代表取締役に委任することができる。委任の範囲を明確にしないまま包括的に委任すると、決議の有効性に疑義が生じうる。

修正条文例:  「取締役会は、募集社債の総額を金【〇】円の範囲内、利率の上限を年【〇】パーセントの範囲内と定めたうえで、これらの範囲内における具体的な発行条件の決定を代表取締役【氏名】に委任する。」  一言解説: 施行規則第99条各号に列挙されていない事項(償還期限の上限等)まで委任する場合は、委任の限界を超えないよう個別に検討する必要がある。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、取締役会設置会社が縁故者向けの少人数私募債その他の社債を発行する際に、募集事項を決定する取締役会議事録として使用する。公募により多数の一般投資家から資金を調達する場合や、社債管理者の設置が必須となる大規模発行の場合には、別途金融商品取引法上の開示書類作成や社債管理会社との契約締結を要するため、本書式のみでは足りない。

根拠法令は、募集社債に関する事項を定める会社法第676条(社債の総額、各社債の金額、利率、償還の方法及び期限、払込金額等)、取締役会の決議事項及び代表取締役への委任範囲を定める会社法第362条第4項第5号及び会社法施行規則第99条、社債管理者の設置義務及びその例外(各社債の金額が1億円以上の場合又は社債権者の数が50名未満となる場合)を定める会社法第702条、並びに少人数私募の要件(勧誘対象者が50名未満であること等)を定める金融商品取引法第2条第3項第2号ロである。

実務でよくある失敗として、第一に、少人数私募の要件(社債権者50名未満、譲渡制限条項の設定)を満たさないまま発行してしまい、結果として金融商品取引法上の有価証券届出書の提出義務等の開示規制が適用されてしまうケースがある。本書式第5項のように、勧誘対象者数と譲渡制限条項の付与を議事録上で確認し記録化することが対策となる。第二に、社債管理者の設置要否の判断を誤り、各社債の金額が1億円未満かつ社債権者数が50名以上となる場合など本来設置が必要な場合に設置しないまま発行してしまうリスクがある。第6項のとおり、各社債の金額及び想定される社債権者数を具体的に確認し記録することが有効である。第三に、代表取締役へ委任できる範囲(会社法施行規則第99条、募集社債の総額の上限等)を超えて包括的な委任決議をしてしまい、決議の瑕疵が生じるケースがある。委任事項は総額・利率等の上限を明示した範囲決議とすることが望ましい。個別の発行スキームの適法性については専門家に確認することを推奨する。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 募集社債に関する事項(会社法第676条各号)を漏れなく決議したか
  • [ ] 総額・各社債の金額・利率・払込金額・償還方法及び期限を具体的に記載したか
  • [ ] 勧誘対象者数が50名未満であることを確認したか
  • [ ] 社債券面又は要項に譲渡制限条項を付したか
  • [ ] 少人数私募要件が過去の発行実績と合算しても充足されるか確認したか
  • [ ] 社債管理者の設置要否(会社法第702条ただし書該当性)を検討したか
  • [ ] 社債管理者を設置しない場合、社債権者への説明・案内方法を検討したか
  • [ ] 代表取締役への委任範囲が施行規則第99条の許容範囲内に収まっているか
  • [ ] 取締役会の定足数(会社法第369条第1項)を満たしているか
  • [ ] 議長及び出席取締役・監査役の記名押印欄に不備がないか