本店または支店の支配人を選任する議事録。会社法第362条第4項第3号の取締役会決議事項と第11条の支配人の代理権に触れ、支配人登記の申請書類も案内します。
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取締役会議事録(支配人の選任の件)
第1部: 書式本文
取締役会議事録
- 開催日時 【20XX年X月X日 午前/午後X時X分から同X時X分まで】
- 開催場所 【本店所在地/会議室名等】
- 出席取締役 【総数X名中X名出席(議長を含む)】
- 出席監査役 【総数X名中X名出席】(監査役設置会社の場合)
- 議長 定款の定めに基づき、代表取締役【氏名】が議長となり、本取締役会は適法に成立した旨を述べ、開議を宣した。
- 議案 「支配人の選任の件」を議場に諮った。
- 提案理由 議長は、会社の【本店/支店名】における事業に関し、会社に代わって会社法第11条第1項に定める一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する支配人を選任する必要がある旨を説明した。
- 被選任者 氏名 【 】(生年月日【 】、住所【 】)
- 支配人を置く営業所 【本店/支店の名称及び所在地】
- 選任の根拠 本決議は会社法第362条第4項第3号に定める取締役会の専決事項として行うものであることを議長が確認した。
- 代理権の範囲 被選任者は、会社法第11条第1項の規定に基づき、当該営業所の事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
- 代理権に対する内部的制限 会社は被選任者の代理権につき、社内規程【規程名】により【制限の内容、例:一定金額を超える契約の締結には代表取締役の事前承認を要する等】の制限を付す。ただし、当該制限は会社法第11条第2項により善意の第三者に対抗することができないことを議長が説明した。
- 競業避止義務の確認 被選任者は、会社法第20条の規定により、会社の許可を受けなければ自ら営業を行い、自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をし、又は他の会社若しくは商人の使用人となり、若しくは会社の取締役、執行役若しくは業務を執行する社員となってはならない旨を確認した。
- 登記手続 会社は、本決議後速やかに会社法第918条の規定に基づき、支配人を置いた営業所の所在地を管轄する登記所に対し支配人選任の登記を申請する。
- 採決 議長が本議案を議場に諮ったところ、出席取締役の全員一致をもって、原案どおり承認可決した。
- 議事録の作成 上記の議事の経過の要領及びその結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長及び出席取締役はこれに記名押印する。
【20XX年X月X日】 【会社名】 議長・代表取締役 【氏名】 印 出席取締役 【氏名】 印 出席監査役 【氏名】 印
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 登記申請用(法務局への支配人選任登記を前提とする場合)
登記申請用に議事録を作成する場合、第9項の「支配人を置く営業所」の記載は登記事項(会社法第918条、商業登記法第44条)と完全に一致させる必要がある。書き換え例として、第14項の後に「本議事録は会社法第918条に基づく支配人登記の添付書類として使用するものであり、登記申請書には被選任者の印鑑証明書及び就任承諾書を添付する」旨を追記する。また、登記申請にあたっては支配人の代理権の範囲を登記事項とすることはできない(登記できるのは支配人を置いた営業所と支配人の氏名・住所)ため、第12項の内部的制限は登記事項に含めない旨を議事録上でも区別して記載することが望ましい。
B. 取締役会設置会社(監査役の意見聴取を伴う機関設計)
取締役会設置会社のうち監査役会設置会社では、支配人の選任が会社法第362条第4項第3号の重要な業務執行の決定に該当することから、監査役による意見表明の機会を確保することが望ましい。書き換え例として第4項に続けて「監査役【氏名】は、被選任者の適格性及び代理権の範囲の相当性について特段の意見はない旨を述べた」との一文を加える。また、支配人が使用人兼務役員でなく純粋な使用人である場合には、労働条件(給与体系・就業規則の適用関係)についても取締役会で確認した旨を付記すると、後日の労務紛争の予防に資する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面: 会社が特定の本店又は支店において、会社法第11条第1項に定める包括的な代理権(裁判上又は裁判外の一切の行為をする権限)を有する「支配人」を選任する場合に使用する。単に「支店長」「営業所長」といった名称・役職を付与するだけの人事上の措置とは法的性質が異なる点に注意が必要である。会社法上の支配人は取締役会設置会社においては会社法第362条第4項第3号により取締役会の専決事項とされており、代表取締役の一存や人事部門限りの決定で選任することはできない。
根拠法令: 会社法第11条第1項(支配人の包括的代理権)、同条第2項(代理権に対する制限は善意の第三者に対抗不可)、同法第13条(表見支配人)、同法第20条(支配人の競業避止義務)、同法第362条第4項第3号(支配人の選任・解任は取締役会決議事項)、同法第918条(支配人登記)、同法第976条第1号(登記懈怠に対する過料)。
実務でよくある失敗と対策: (a) 「支店長」「営業所長」等の名称を付与しただけで会社法上の支配人選任の取締役会決議を経ていないにもかかわらず、会社法第13条の表見支配人規定により、取引の相手方が善意であれば会社が当該者の行為について責任を負ってしまうケースがある。これを防ぐには、対外的に「支配人」に類する名称を付与する人事上の措置を行う場合には、必ず事前に取締役会決議を経て会社法上の支配人として選任するか、あるいは名称の使用自体を控えるかを整理しておく必要がある。 (b) 支配人の代理権の範囲を社内規程で制限したにもかかわらず、その制限を登記していないため、会社法第11条第2項により善意の第三者に対抗できないケースがある。第12項のとおり、内部的制限は取引の相手方の善意・悪意にかかわらず対外的な効力に限界がある旨を関係者に周知し、重要な契約については別途決裁権限規程で二重に牽制する運用が有効である。 (c) 支配人選任の登記(会社法第918条)を失念し、登記懈怠として会社法第976条第1号の過料に処されるリスクがある。第14項のように議事録上で登記申請の実施を明記し、決議後の登記手続を担当部署のタスクとして管理することが望ましい。
支配人の代理権の範囲や表見支配人該当性の判断は取引の個別事情によって左右されるため、個別事案については専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 選任しようとする者が会社法第11条第1項の支配人に該当するか、単なる名称付与に留まらないか確認したか
- [ ] 支配人を置く営業所(本店・支店)の名称及び所在地を正確に記載したか
- [ ] 会社法第362条第4項第3号に基づき取締役会決議として実施しているか確認したか
- [ ] 出席取締役数が定足数を満たしているか確認したか
- [ ] 代理権に対する社内的制限がある場合、その内容と対外的効力の限界(会社法第11条第2項)を整理したか
- [ ] 会社法第20条に基づく競業避止義務について被選任者に説明したか
- [ ] 会社法第918条に基づく支配人登記の申請準備(印鑑証明書・就任承諾書等)を行ったか
- [ ] 登記申請の管轄登記所及び申請期限を確認したか
- [ ] 表見支配人(会社法第13条)に関するリスクを社内で共有したか
- [ ] 議長及び出席取締役の記名押印欄を設けたか