契約に基づく各種通知を行う際の汎用様式です。通知の根拠条項、通知事項、効力発生日、連絡先の記載欄を備えます。後日の紛争を防ぐための確認欄をあらかじめ設けています。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
通知書一般様式
第1部: 書式本文
本様式は、契約に基づき相手方に対して行う各種通知(契約条項の履行催告、条件変更の通知、解除の通知等)に共通して用いる汎用的な書面である。個別の通知内容に応じて条項を加除して使用する。
通知書
【〇〇年〇〇月〇〇日】
【受取人の住所】 【受取人の氏名又は名称】 御中
【差出人の住所】 【差出人の氏名又は名称】 (担当:【部署名・氏名】 連絡先:【電話番号・メールアドレス】)
第1条(通知の根拠) 本通知は、【〇〇年〇〇月〇〇日付】【契約名称】(以下「本契約」という。)第【〇】条に基づき行うものである。
第2条(通知事項) 差出人は、受取人に対し、以下のとおり通知する。 【通知事項の具体的内容(例:本契約第〇条に定める【義務の内容】について、【期限】までに履行されていないことを確認したので、本書面到達後【〇日】以内に履行するよう催告する。)】
第3条(効力発生日) 本通知の効力は、受取人に到達した日から発生するものとする。到達日は、【配達証明郵便の配達日/内容証明郵便の到達日/電子メールの送信日】をもって証するものとする。
第4条(対応期限) 受取人は、本書面到達後【〇日】以内に、第2条記載の事項について対応するものとする。
第5条(不履行の場合の措置) 受取人が前条の期限までに対応しない場合、差出人は【本契約の解除/損害賠償の請求/その他の法的措置】を検討する。
第6条(連絡先) 本通知に関するお問合せは、下記までご連絡いただきたい。 【部署名・担当者名・電話番号・メールアドレス】
以上
【差出人の氏名又は名称】 【印】
A. 通知類型別の第2条記載例
- 履行催告の場合:「本契約第〇条に定める【代金支払義務】について、支払期日である【〇年〇月〇日】を経過してもなお履行が確認できないため、本書面到達後【7日】以内に支払うよう催告する。」
- 契約解除の場合:「本契約第〇条に基づき本契約を解除する。解除の効力は本書面が到達した日から発生する。」
- 条件変更の場合:「本契約第〇条に基づき、【〇年〇月〇日】以降の【取引条件】を下記のとおり変更する。【変更内容】」
- 権利義務の承継等の通知:「【〇年〇月〇日】をもって、本契約上の地位を【承継先名称】に譲渡したため、その旨を通知する。」
- 契約更新拒絶の通知:「本契約第〇条に定める更新条項に基づき、【〇年〇月〇日】の契約期間満了をもって本契約を更新しない旨を通知する。」
- 注意喚起・是正要求の通知(解除には至らない軽微な場合):「本契約第〇条に定める【義務の内容】について、一部履行状況に不備が認められたため、是正を求める。なお、本通知は直ちに契約解除を予告するものではない。」
B. 送付方法に関する定め
- 差出人は、通知の重要度に応じて、内容証明郵便、配達証明付郵便、電子メール、又は手交のいずれかの方法により送付する。
- 解除通知その他重大な法的効果を伴う通知は、原則として【配達証明付内容証明郵便】により送付し、送付記録及び到達記録を保管する。
- 電子メールにより送付する場合は、開封確認又は受領の返信を求め、到達の事実を補完する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 差出人側の書き換えパターン
差出人として通知書を作成する場合、第4条の対応期限は具体的な日数を明記し、あわせて第5条に「対応がない場合に取り得る措置」を明記する修正を行う。期限と結果を明確にすることで、相手方に対応を促す実効性を高める趣旨である。また、到達の有無が争いになりやすい類型(解除通知等)では、第3条に「本通知は【配達証明付内容証明郵便】により送付する」旨を明記する修正を加え、到達の立証手段をあらかじめ確保する。
B節: 受取人側の視点を踏まえた書き換えパターン
受取人の立場から本様式をひな形として利用し、通知への回答書を作成する場合は、第2条に相当する箇所を「本書面をもって、【〇年〇月〇日付】通知書(以下「原通知」という。)に対し、下記のとおり回答する。」と修正し、原通知の内容を認否する構成に変更する。原通知の主張をそのまま認めたと解されないよう、「【原通知記載の事実については争う】」等、認否を明確にする一文を加えることが重要である。
場面バリエーション: 社外の取引先向け(フォーマルな通知)の場合
社外の取引先に送付する場合は、冒頭の書式のとおり内容証明郵便を用いることを想定した硬い文体・レイアウトを維持する。第6条の連絡先は、担当者個人ではなく部署の代表連絡先とし、担当者不在時にも対応できるようにする。
場面バリエーション: 社内(グループ会社間)向けの簡易通知の場合
グループ会社間や日常的な取引先向けの軽微な通知(納期変更の連絡等)では、内容証明郵便によらずメール等で足りる場合が多い。この場合、第3条を「本通知の効力は、電子メールが受取人の指定するメールアドレスに送信された時点で到達したものとみなす。ただし、受取人から不達の連絡があった場合はこの限りでない。」と修正し、電子的な到達の擬制条項を設ける。
場面バリエーション: 相手方の所在が不明な場合
受取人の住所が不明であるなど通常の送付方法によれない場合は、第3条に「受取人の所在が不明であるため、民法第98条の規定に基づく公示による意思表示の手続を検討する」旨を付記する。通常の到達主義(民法第97条第1項)による送付が困難な場合の代替手段として、簡易裁判所の公示送達手続の利用可能性を検討する必要があることを明示する趣旨である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本様式は、契約に基づく催告、条件変更、解除、権利義務の承継等、相手方に対して一定の法的効果を伴う意思表示を行う場面で使用する。単なる情報提供や挨拶状のような法的効果を伴わない連絡には、本様式のような厳格な構成は必ずしも必要ない。また、通知の内容によっては、契約書上、書面性(内容証明郵便等の方法)が要求されている場合があるため、契約書の通知条項を必ず確認したうえで使用する必要がある。
民法第97条第1項は、意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずると定めている(到達主義)。発信をもって効力が生じる発信主義とは異なり、通知が相手方の支配圏内に置かれ、了知可能な状態になったことが必要とされるため、第3条のように到達の時点及びその証明方法を明記しておくことが重要である。また、民法第541条は、当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は契約の解除をすることができると定めており、本様式は催告の書面として用いることができる。契約解除の通知そのものについては、民法第540条第1項が、解除は相手方に対する意思表示によってする旨を定めており、口頭でも理論上は可能であるが、後日の紛争を避けるため書面による通知が望ましい。
よくある失敗として、第一に、催告の期限を「速やかに」等の曖昧な表現にとどめ、民法第541条の「相当の期間」を満たすか争いになる失敗がある。A項1号のように具体的な日数を明記することで対策する。第二に、到達の証明手段を確保せず、相手方から「通知を受け取っていない」と主張された場合に到達の事実を立証できない失敗がある。第3条・B項2号の記載例のように内容証明郵便等の方法を明記することで対策する。第三に、通知の根拠となる契約条項を明示せず、通知の法的根拠が不明確になる失敗がある。第1条のように契約名称・条項番号を必ず引用することで対策する。第四に、軽微な是正要求の通知と重大な解除通知とで同一の強い文言を用いてしまい、相手方に過剰な法的効果(即時解除等)が生じたと誤解させる失敗がある。A項5号・6号のように通知の性質に応じて文言の強弱を書き分けることで対策する。契約解除や損害賠償請求に発展しうる通知については、送付前に弁護士等の専門家に確認することを推奨する。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 通知の根拠となる契約名称・条項番号を明記したか
- [ ] 通知事項の内容を具体的かつ一義的に記載したか
- [ ] 効力発生日(到達日)の考え方を明記したか
- [ ] 到達の証明手段(内容証明郵便、配達証明等)を検討したか
- [ ] 対応期限を具体的な日数で明記したか
- [ ] 期限内に対応がない場合の措置を明記したか
- [ ] 差出人・受取人の氏名又は名称、住所を正確に記載したか
- [ ] 問合せ先の連絡先を明記したか
- [ ] 契約書上、通知方法について特別の定め(書式・送付方法)がないか確認したか
- [ ] 解除通知等、重大な効果を伴う場合は送付前に社内決裁を経たか
- [ ] 通知の重要度に応じた送付方法(内容証明郵便、電子メール等)を選択したか
- [ ] 軽微な是正要求と解除通知とで文言の強弱を書き分けたか