通関業者へ輸出入申告や関税納付の代行を委託する書式。通関業法に基づく通関士の審査、関税法上の申告内容に係る責任分担、帳簿書類の保存義務と報酬支払を定めます。

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通関業務委託契約書

第1部: 書式本文

【委託者】【商号・所在地】(以下「甲」という。)と【通関業者】【商号・所在地・通関業許可番号】(以下「乙」という。)は、甲の輸出入貨物に係る通関業務の委託に関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(目的)

本契約は、甲が輸出又は輸入しようとする貨物について、乙が通関業法に基づく通関業者として、税関に対する輸出入申告その他の関税法上の手続を甲に代わって行うことを目的とする。

第2条(委託業務の範囲)

  1. 甲は乙に対し、次の業務(以下「本件業務」という。)を委託する。 (1) 関税法第67条に定める輸出申告及び輸入申告の代理 (2) 関税等の納付に係る手続の代行 (3) 輸出入申告書及び附属書類(インボイス、パッキングリスト、原産地証明書等)の作成・提出 (4) 税関検査への立会い及び照会対応 (5) その他甲乙が別途書面で合意する関連業務
  2. 前項各号の業務のうち、甲が個別に除外を求めた業務は、本件業務の範囲から除く。

第3条(通関士による審査)

乙は、通関業法第14条の規定に基づき通関士を置き、輸出入申告書その他の申告書類につき通関士による審査及び記名を経た上で税関に提出する。

第4条(資料の提供及び正確性の確保)

  1. 甲は、本件業務の遂行に必要な貨物の品名、数量、価格、原産地その他の情報並びにインボイス等の書類(以下「申告資料」という。)を、乙が定める期限までに正確かつ真実に基づき提供する。
  2. 乙は、提供された申告資料に基づき申告内容を確認し、疑義があるときは甲に照会するものとし、甲は速やかに回答する。

第5条(申告内容に係る責任分担)

  1. 申告資料の虚偽又は誤りに起因して生じた過少申告加算税、重加算税、延滞税その他の税関からの賦課、行政処分又は損害については、甲がその責任を負う。
  2. 乙の故意又は過失による申告書類の記載誤り若しくは通関士の審査懈怠に起因して生じた損害については、乙がその責任を負う。
  3. 前二項のいずれに起因するか明らかでない場合は、甲乙協議の上、責任の分担を定める。

第6条(関税等の立替払及び精算)

  1. 乙は、甲の依頼により関税、消費税等の輸入諸税を立て替えて納付することができる。
  2. 甲は、乙が立て替えた金額を乙が定める請求書受領後【 】営業日以内に乙に支払う。

第7条(報酬及び支払方法)

  1. 甲は乙に対し、本件業務の対価として、別紙料金表に定める通関手数料及び実費を支払う。
  2. 支払方法は、乙が発行する請求書に基づき、月末締め翌月末日までに甲の指定する方法により支払う。

第8条(帳簿書類の作成及び保存義務)

乙は、通関業法第22条及び関税法関係法令に基づき、通関業務に関する帳簿を備え、申告書類その他の記録を法定期間(輸出入申告書は原則5年間)保存する。甲は必要に応じてその開示を求めることができる。

第9条(秘密保持)

甲及び乙は、本契約の履行に関連して知り得た相手方の営業上・技術上の秘密を、相手方の書面による承諾なく第三者に開示又は漏えいしてはならない。本条の義務は契約終了後【3】年間存続する。

第10条(再委託の制限)

乙は、本件業務の全部又は一部を第三者に再委託する場合、事前に甲の書面による承諾を得るものとする。ただし、通関士による審査業務については再委託できない。

第11条(事後調査への協力)

甲及び乙は、税関による事後調査(関税法第105条の2)が実施される場合、相互に必要な資料の提供その他の協力を行う。

第12条(契約期間及び解約)

  1. 本契約の有効期間は、締結日から【1】年間とし、期間満了の【1】か月前までに甲乙いずれからも解約の申出がないときは、同一条件でさらに【1】年間更新するものとし、以後も同様とする。
  2. 甲又は乙は、【3】か月前に書面で通知することにより、本契約を解約することができる。

第13条(契約解除)

甲又は乙は、相手方が本契約に違反し、催告後相当期間内に是正されないとき、又は通関業許可の取消し等の事由が生じたときは、書面通知により本契約を解除することができる。

第14条(反社会的勢力の排除)

甲及び乙は、自己及び自己の役職員が暴力団等の反社会的勢力に該当せず、将来にわたっても該当しないことを表明し、保証する。

第15条(協議及び管轄)

本契約に定めのない事項又は疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議して解決するものとし、本契約に関する紛争については【 】地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 荷主(輸出入者)向け修正パターン

荷主側で交渉する場合は、第5条第1項の「甲がその責任を負う」に続けて「ただし、乙が申告資料の記載内容について合理的な確認を怠った場合を除く」という限定句を加えることが有効である。通関業者は書類上の形式審査を行う専門家であり、明らかな矛盾を見落とした場合まで荷主のみが責任を負う構成は荷主にとって不利になりやすい。また第7条に「乙は毎月の申告実績及び関税等の納付状況を一覧化した報告書を甲に提出する」との一文を追加し、コスト管理の透明性を確保することが望ましい。

B. 通関業者向け修正パターン

通関業者側では、第4条に「甲が期限までに申告資料を提供しない場合、乙は申告期限の遵守について責任を負わない」との免責文言を追加し、資料提供遅延のリスクを甲に転嫁することが重要である。さらに第5条第1項について、単純化して「甲が提供した資料に基づく申告内容については、乙の故意又は重過失がある場合を除き、一切の責任を甲が負う」と改め、通関士の審査はあくまで書類の整合性確認にとどまる旨を第3条に注記することで、乙の責任範囲を明確化できる。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

本書式は、輸出入者が自社で通関手続を行わず、通関業許可を有する通関業者に申告代理を委託する場面で使用する。逆に、荷主自らが自社の通関部門で申告を行う場合(いわゆる自社通関)や、通関業許可を持たない者に実質的な申告代理を行わせようとする場合には本書式を使用してはならない。通関業法上、通関業を営むには財務大臣の許可(通関業法第3条)が必要であり、無許可の者に本契約類似の業務委託を行うことは同法違反となり得るため、委託先の許可番号及び通関士の設置状況(同法第13条・第14条)を必ず確認する必要がある。

根拠法令としては、通関業法(通関業の許可、通関士の審査義務、帳簿書類の保存義務を定める同法第22条)、関税法(輸出入申告の手続を定める第67条、修正申告・更正に関する規定、事後調査に関する第105条の2)が中心となる。

実務でよくある失敗として、第一に、責任分担条項(第5条)を曖昧にしたまま契約し、税関から追徴課税を受けた際に甲乙間で責任の押し付け合いになるケースが多い。対策としては、申告資料の提供経緯を記録に残す仕組み(メール等での資料授受記録)を第4条に組み込むことが有効である。第二に、立替金の精算サイト(第6条)を明確にせず、通関業者が多額の関税等を長期間立て替える結果、資金繰りに支障が生じる例が見られる。第三に、帳簬書類の保存義務(第8条)について、保存期間や開示方法を定めずに終了してしまい、事後調査時に必要書類が散逸するケースがある。

なお、貨物の品目や取引形態によって適用される関税率、原産地規則、輸出管理規制は個別に異なるため、条項の当てはめや責任分担の妥当性については、契約締結前に貿易実務に詳しい弁護士又は通関士に個別事案として確認することを推奨する。本書式の利用のみをもって法令遵守が保証されるものではないという点に留意されたい。

第4部: 使用前チェックリスト(通関業務委託契約用)

  • [ ] 委託先が財務大臣の通関業許可を現に保有していることを確認したか
  • [ ] 委託先に通関業法第14条に基づく通関士が配置されていることを確認したか
  • [ ] 委託する業務範囲(輸出申告・輸入申告・関税納付代行等)を具体的に特定したか
  • [ ] 申告資料の提供期限と提供方法(データ形式・原本の要否)を定めたか
  • [ ] 申告内容の誤りに起因する加算税等の責任分担条項を明確にしたか
  • [ ] 関税等の立替払の有無及び精算サイトを定めたか
  • [ ] 通関手数料及び実費の料金表を別紙として添付したか
  • [ ] 帳簿書類の保存期間及び開示方法を定めたか
  • [ ] 再委託の可否及び再委託先の範囲(特に通関士業務)を確認したか
  • [ ] 秘密保持義務の存続期間を定めたか
  • [ ] 契約解除事由に通関業許可の取消し等を含めたか
  • [ ] 紛争解決のための管轄裁判所を明記したか