住宅リフォームや工事の仕上がりに欠陥がある場合に、民法第559条を介して準用される第562条により期限を定めて修補を求める書面です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
請負工事の修補請求書
第1部: 書式本文
修補請求書
【請負人住所】 【請負人氏名・名称】 御中
【作成日】
【注文者住所】 【注文者氏名・名称】 【担当者名】 印
件名: 工事目的物の修補請求について
注文者は、請負人に対し、下記のとおり工事目的物の修補を求める。
- 注文者と請負人は、【契約締結日】付【工事請負契約書名・番号】により、【工事名称・施工場所】に関する工事請負契約(以下「本契約」という。)を締結した。
- 請負人は、【完成引渡日】に本工事を完成させ、注文者に引き渡した。
- 注文者は、【発見日】に本工事の仕上がりを点検したところ、下記のとおり本契約の内容に適合しない箇所(以下「本件不具合」という。)を発見した。
- 不具合の内容: 【不具合の具体的内容・部位】
- 不具合の程度・影響: 【生活・使用への支障の程度】
- 発見の経緯: 【点検・使用中に発覚した経緯】
- 本件不具合は、施工図面、仕様書または見積書記載の仕様と現況が相違することにより生じたものであり、注文者が提供した材料または注文者の指図に起因するものではない。
- よって注文者は、民法第559条により準用される民法第562条第1項に基づき、請負人に対し、本件不具合の修補を求める。
- 修補の履行期限は【修補期限】とする。当該期限は、不具合の規模、必要な部材調達期間および施工日数を踏まえて設定したものである。
- 修補に際しては、事前に【現地立会いの日時・調整方法】を調整のうえ、施工範囲および使用材料について注文者の確認を得るものとする。
- 修補期限までに修補が完了しない場合、注文者は民法第563条の規定に基づく請負代金の減額請求または民法第541条に基づく契約の一部解除を検討する。
- 本請求は、注文者が本件不具合に基づき有する損害賠償請求権(民法第415条)その他の権利を放棄する趣旨のものではない。
以上
回答書送付先その他の連絡先 【書類返送先】 【担当部署】 【担当者名】 【電話番号・メールアドレス】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 注文者側で使う場合
修正後の文例:
注文者は、【引渡し後の使用状況・専門業者による調査結果】を踏まえ、本件不具合が施工上の瑕疵に起因することを確認したうえで、【修補期限】までの修補完了を求める。期限内に修補が完了しない場合は、追加の是正費用を第三者に依頼したうえで、その費用相当額を請負人に請求することも検討する。
一言解説: 施工写真、点検記録、第三者の建築士による所見等の客観資料を添えると、修補範囲をめぐる後日の争いを防ぎやすい。
B. 請負人側で使う場合
修正後の文例:
請負人は、指摘のあった箇所について現地調査を実施し、施工上の問題によるものか、注文者が提供した材料または指図(民法第636条本文)に起因するものかを精査したうえで回答する。是正の要否および範囲は、調査結果を踏まえて別途通知する。
一言解説: 請負人側では、注文者の指図や支給材料に起因する不具合であれば民法第636条本文により責任を免れる余地があるため、原因調査の結果を先に整理する視点が重要である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
この書式は、住宅リフォームや新築工事、内装工事などの目的物に施工上の欠陥が判明し、契約書や仕様書で定められた仕上がりと現況が異なる場合に用いる。他方で、経年劣化や通常の使用に伴う摩耗、注文者自身の使用方法に起因する損耗については、そもそも契約不適合に該当しない可能性が高く、本書式をそのまま用いるべきではない。まずは施工範囲、使用材料、仕様書の記載内容を突き合わせ、契約内容との相違が客観的に認められるかを確認する段階を経る必要がある。なお、既に完成引渡しから長期間が経過し、通知期間が満了している可能性がある案件では、修補請求よりも先に期間制限の成否を確認しておかないと、請求そのものが後手に回るおそれがある。
根拠法令としては、請負契約における契約不適合責任について規定する民法第559条(有償契約への準用)を通じて、売買契約に関する民法第562条(履行の追完請求権)が準用される。同条第1項により、注文者は目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求でき、修補が可能な場合は原則として修補による追完が選択されることが多い。あわせて民法第636条は、契約不適合が注文者の供した材料の性質または注文者の与えた指図によって生じた場合、請負人はその不適合について責任を負わない旨を定めている(ただし請負人がその材料または指図の不適当であることを知りながら告げなかったときはこの限りでない)。さらに民法第637条は、契約不適合を理由とする権利行使には期間制限があり、注文者がその不適合を知った時から1年以内に請負人に通知しなければ、原則として権利行使ができなくなる旨を定めている。
実務でよくある失敗として、第一に、不具合の部位や範囲を写真や図面で特定せず、抽象的に「仕上がりが悪い」といった記載にとどめてしまう例がある。これでは修補の対象範囲が確定できず、請負人との間で施工範囲をめぐる水掛け論になりやすい。本書式の第3項で不具合の内容、程度、発見経緯を具体的に記載する構成にしているのは、この曖昧さを避けるためである。第二に、請負人から民法第636条本文の免責を主張された際の反論材料を準備せずに請求してしまう例がある。第4項であらかじめ材料・指図起因ではないことを明記しているのは、この抗弁を想定した記載である。第三に、目的物の引渡しを要しない工事(内装の一部補修など、成果物の引渡し観念が乏しい仕事)の場合、通知期間の起算点を引渡日と誤解してしまう例がある。この場合は仕事が終了した時点が起算点となり得るため、工事類型に応じた期間管理が必要である。加えて第四に、修補期限を「速やかに」「早急に」といった抽象的な表現にとどめ、具体的な日数や日付を示さないまま送付してしまう例もある。相当の期間かどうかが後日争われた際、期間の算定根拠(部材の一般的な調達日数、施工に要する標準日数等)を示せるようにしておくと、期限設定の合理性を説明しやすい。個別事案は専門家に確認のうえ、期間制限の起算点や修補期限の相当性を見誤らないようにすることが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 工事請負契約書、見積書、仕様書、図面など契約内容を裏付ける資料を確認したか
- [ ] 不具合の部位・内容・程度を写真や点検記録で具体的に特定したか
- [ ] 不具合が経年劣化や通常使用による損耗ではなく、施工上の契約不適合であることを確認したか
- [ ] 不具合が注文者の支給材料や指図に起因しないことを確認したか(民法第636条本文)
- [ ] 契約不適合を知った時期を記録し、民法第637条の通知期間(原則1年)内であることを確認したか
- [ ] 修補期限を、必要な部材調達・施工日数を踏まえた相当な期間に設定したか
- [ ] 現地立会いや施工範囲確認の段取りを明記したか
- [ ] 修補が行われない場合の次の対応(代金減額請求・契約解除・損害賠償請求)を検討したか
- [ ] 通知書の発送方法(内容証明郵便・配達証明の要否)を検討したか
- [ ] 専門業者や建築士による第三者調査結果を証拠として準備したか