競技用具やユニフォームの供給と着用義務を定める契約書です。供給数量、ロゴの表示、他社製品の使用制限、対価を規定します。記載例と注記を添えており、初めての担当者でも作成できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
ユニフォームサプライヤー契約書
第1部: 書式本文
ユニフォームサプライヤー契約書
チーム・団体:【チーム・団体名】(以下「甲」という。) 用具メーカー:【メーカー名】(以下「乙」という。)
甲及び乙は、乙が甲に対し競技用具及びユニフォームを供給することに関し、次のとおり契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(供給内容) 乙は甲に対し、【競技用ユニフォーム、練習着、シューズ等】(以下「本件用具」という。)を、別紙仕様書のとおり供給する。
第2条(契約期間) 本契約の有効期間は、【20〇〇年〇月〇日】から【 】年間とする。
第3条(供給数量) 乙は甲に対し、選手・スタッフ数に応じ、年間【 】着(足)を上限として本件用具を供給する。
第4条(対価) 1. 乙は、本件用具の供給の対価として、甲に対し金【 】円(税込み)を支払う、又は本件用具を無償若しくは特別価格で供給する。 2. 支払・供給の条件は別紙のとおりとする。
第5条(ロゴ等の表示) 1. 甲は、本件用具に乙の商標、ロゴ(以下「乙標章」という。)を、別紙で定める位置・サイズで表示することを承諾する。 2. 甲は、乙標章の表示態様を乙の事前の承諾なく変更してはならない。
第6条(独占供給及び他社製品の使用制限) 1. 甲は、契約期間中、公式戦・公式行事において、乙以外の用具メーカーの製品を使用してはならない。 2. ただし、個々の選手が身体的事情等により他社製品の使用を必要とする場合の例外的な取扱いは別紙のとおりとする。
第7条(品質保証) 乙は、本件用具が甲の指定する品質基準(耐久性、サイズ規格等)を満たすことを保証し、不良品については無償で交換又は修補する。
第8条(サイズ調整・追加発注) 甲は、シーズン途中の選手の入れ替わり等により追加の用具が必要となった場合、乙に対し追加発注を行うことができるものとし、乙は合理的な期間内に対応する。
第9条(広報協力) 甲は、乙標章の表示された本件用具を着用した写真・映像が、大会中継、報道、SNS等で使用されることについて、乙が広報目的で二次利用することを妨げない。
第10条(知的財産権) 本件用具のデザイン、乙標章に関する知的財産権は乙に帰属する。甲は、本契約に定める範囲を超えて乙標章を使用してはならない。
第11条(成績条件によるインセンティブ) 甲が【全国大会出場、優勝等】の成績を収めた場合、乙は甲に対し、インセンティブとして金【 】円を支払う、又は追加の用具を供給する。
第12条(契約終了時の在庫処理) 本契約終了時に甲が保有する本件用具の在庫の取扱い(継続使用の可否、乙標章の除去義務等)は、別紙のとおりとする。
第13条(解除) 甲及び乙は、相手方に重大な契約違反があり、催告後相当期間内に是正されない場合、本契約を解除することができる。
第14条(協議事項) 本契約に定めのない事項及び本契約の解釈に疑義が生じた事項については、甲乙誠実に協議のうえ定める。
甲:【 】 乙:【 】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: チーム(甲)側で品質管理を重視する場合
第7条を拡充し、「乙は、シーズン開始前に本件用具のサンプル検品を甲に提示し、甲の承認を得たロットのみを供給する」との事前検品プロセスを追加する。
B節: 用具メーカー(乙)側でブランド露出を最大化したい場合
第5条・第9条を強化し、「乙標章の表示位置は乙が指定する国際競技連盟等のルールに従った最大サイズとし、甲は大会中継や公式SNSにおける乙標章の露出について乙に協力する」との露出最大化条項に修正する。
C節: アマチュア・学生チームで用具費の負担軽減を主目的とする場合
第4条を「乙は、本件用具を無償又は市場価格の【 】割引価格で供給する」と修正し、第11条のインセンティブ条項を簡素化又は削除し、対価性の低い協賛的な関係であることを明確にする。
D節: 複数競技・複数チームを傘下に持つ団体と契約する場合
第1条・第3条に「本契約は甲傘下の【対象チーム一覧】を対象とし、チームごとの供給数量は別紙一覧のとおりとする」との対象範囲の明確化を追加する。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、スポーツチーム・団体が用具メーカーとの間で、ユニフォームや競技用具の供給を受ける契約を締結する場面で使用します。金銭的対価を伴う通常の売買契約としての性格に加え、チーム側が用具メーカーの商標・ロゴを着用することでメーカー側に広告効果をもたらす点で、スポンサーシップ契約に類似した性格も併せ持つ複合的な契約である点に特徴があります。
法的な位置づけとしては、本件用具の供給部分は民法上の売買契約(有償の場合)又は贈与契約(無償供給の場合)としての性格を持ち、ロゴの表示許諾部分は商標法上の商標の使用許諾に類似する性格を持ちます。乙標章がメーカーの登録商標である場合、甲による使用は商標法上の適法な使用として、契約上の許諾範囲内にとどめる必要があります。また、独占供給条項(第6条)については、当事者間の合意である限り原則として有効ですが、極端に長期間・広範囲にわたる独占条項は、独占禁止法上の拘束条件付取引に該当するリスクも理論上は否定できません。品質保証の範囲については、民法上の契約不適合責任(改正民法第562条以下)の規定を踏まえた条項設計が望ましいです。
よくある失敗として、第一に、ロゴの表示位置・サイズについて具体的な取り決めがなく、大会規則(ユニフォーム規定)との抵触が発生するケースがあります。第5条のように別紙で具体的に定め、大会規則との整合性を事前に確認することが対策です。第二に、シーズン途中の選手の入れ替わりによる追加発注への対応が定められておらず、必要な用具が確保できないケースです。第8条のように追加発注のプロセスを明記することが有効です。第三に、契約終了時の在庫の取扱い(乙標章付きの用具を使い続けてよいか)が曖昧で、契約終了後もブランドが意図しない形で露出し続けるケースです。第12条のように終了時の取扱いを明記することが望まれます。独占供給条項の適法性や商標の使用許諾の範囲については、個別事案は専門家に確認することが望ましいです。加えて、選手個人が私的に用具メーカーとスポンサー契約を締結している場合、本契約との抵触が生じることがあるため、選手個人の契約との優先関係についてもあらかじめ整理しておくことが実務上望まれます。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 供給する用具の種類・数量・仕様を具体的に定めたか
- [ ] 対価(有償・無償・割引供給)の内容を明確にしたか
- [ ] ロゴの表示位置・サイズを別紙で具体的に定めたか
- [ ] 大会規則(ユニフォーム規定)との整合性を確認したか
- [ ] 独占供給条項の範囲及び例外(選手個別事情)を定めたか
- [ ] 品質保証及び不良品対応(交換・修補)を定めたか
- [ ] 追加発注のプロセス及び対応期間を定めたか
- [ ] 成績条件によるインセンティブの内容を定めたか
- [ ] 契約終了時の在庫・乙標章の取扱いを定めたか
- [ ] 知的財産権(デザイン・商標)の帰属を明確にしたか
- [ ] 選手個人のスポンサー契約との抵触の有無を確認したか
- [ ] 広報・SNSでの二次利用に関する取扱いを定めたか