ボランティアの受入条件と行動ルールを定める規約です。労働者性の否定、活動費の実費支給、活動の中止・登録抹消を規定します。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
ボランティア活動規約
第1部: 書式本文
第1条(目的) 本規約は、〇〇〇〇(以下「受入団体」という。)が実施する各種活動に登録・参加するボランティア(以下「ボランティア」という。)の受入条件及び活動上のルールを定めるものである。
第2条(登録) ボランティアとして活動しようとする者は、受入団体所定の登録申込書を提出し、受入団体の承認を得て登録するものとする。受入団体は、活動の目的に照らして不適当と判断した場合、登録を承認しないことができる。
第3条(活動の自発性と労働契約性の否定) ボランティアが行う活動は、ボランティア自身の自発的な意思に基づく無償の社会貢献活動であり、受入団体とボランティアとの間に雇用契約その他の労働契約関係は生じない。受入団体は、ボランティアに対し業務命令として活動を強制することはできない。
第4条(活動内容及び参加の任意性) ボランティアは、受入団体が提示する活動メニューの中から、自己の都合に応じて参加する活動を選択することができる。受入団体は、特定の活動への参加を義務付けてはならない。
第5条(活動費の実費支給) 受入団体は、ボランティアが活動に要した実費(交通費、消耗品費、食費等)のうち、別表に定める基準の範囲内で支給する。実費支給は労務の対価としての性質を持つものではなく、当該基準を超える金額を支給しない。
第6条(活動時間及び場所) 活動の時間及び場所は、活動ごとに受入団体が提示するものとし、ボランティアは自己の都合により参加の可否を判断できるものとする。受入団体は、活動時間中の細部の遂行方法についてボランティアの裁量を尊重する。
第7条(遵守事項) ボランティアは、活動に際し次の事項を遵守しなければならない。 一 活動対象者(利用者、来場者等)の人格及びプライバシーを尊重すること 二 活動を通じて知り得た秘密を第三者に開示しないこと 三 受入団体及び他のボランティアの信用を損なう行為をしないこと 四 危険を伴う作業を行う場合は安全上の注意事項に従うこと
第8条(保険) 受入団体は、登録ボランティアを対象として民間のボランティア活動保険への加入手続を行う。当該保険は法定の社会保険制度ではなく、補償内容は保険約款の定めによる。
第9条(活動の中止) 受入団体は、天災、感染症の流行その他やむを得ない事由がある場合、活動の全部又は一部を中止することができる。この場合、受入団体はボランティアに対し損害賠償その他の責任を負わない。
第10条(登録の抹消) 受入団体は、ボランティアが次の各号のいずれかに該当する場合、登録を抹消することができる。 一 本規約に違反したとき 二 活動対象者又は他のボランティアに著しい迷惑又は損害を与えたとき 三 相当期間活動実績がなく、連絡が取れないとき 四 その他登録の継続が適当でないと受入団体が判断したとき
第11条(登録の自由な抹消申出) ボランティアは、いつでも受入団体に申し出て登録を抹消することができる。
第12条(個人情報の取扱い) 受入団体は、登録時に取得したボランティアの個人情報を、活動の連絡及び管理の目的の範囲内で利用し、本人の同意なく目的外に利用しない。
第13条(規約の変更) 受入団体は、本規約を変更することができるものとし、変更後の規約は受入団体の掲示又は通知の方法により周知した時点で効力を生じる。
第14条(附則) 本規約は令和〇年〇月〇日から施行する。
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 受入団体側の修正パターン
A-1. 登録抹消事由への包括条項の追加
追加条文例:「前条各号のほか、活動の性質上、登録を継続することが著しく困難と受入団体が合理的に判断した場合も、登録を抹消することができる。」 一言解説: 列挙事由に該当しない予期せぬ事情にも対応できるよう、受入団体の裁量による抹消を可能にする修正である。
A-2. 実費支給の上限額の明確化と超過分の不支給
修正後:「実費支給の上限は、1回の活動につき交通費実費及び食費として3,000円を超えないものとし、これを超える部分はボランティアの自己負担とする。」 一言解説: 実費支給額が労務対価に近づき労働者性を疑われることを避けるため、上限を具体的な金額で明示する修正である。
B. ボランティア側の修正パターン
B-1. 活動の中止に伴う既発生実費の精算請求権
追加条文例:「第9条により活動が中止された場合であっても、ボランティアが当該活動のために既に支出した実費については、受入団体は別表の基準に従い精算するものとする。」 一言解説: 中止決定によりボランティアが既に負担した費用まで一方的に切り捨てられることを防ぐ修正である。
B-2. 登録抹消時の理由通知及び弁明機会の付与
追加条文例:「受入団体は、第10条により登録を抹消しようとするときは、事前にその理由を通知し、ボランティアが弁明する機会を与えるものとする。ただし、緊急やむを得ない場合はこの限りでない。」 一言解説: 一方的な登録抹消による不利益を緩和し、手続的な公正さを確保する修正である。
場面別バリエーション: 学生団体・企業のCSR活動として団体単位で参加する場合
団体単位での参加を想定する場合は、第2条の登録手続に加え、「団体として参加する場合、当該団体の代表者は、参加する構成員全員について本規約の内容を周知し、遵守させる責任を負う。」との条項を追加し、構成員個人ではなく団体代表者を規約遵守の一次的な窓口とする設計が実務上有用である。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本規約は、NPO法人や社会福祉法人等が、継続的にボランティアを登録・受け入れる制度を運営する場面で用いる。単発のイベントに一度限り参加する場合は、規約という形式よりも本シリーズの参加同意書のような個別同意書式の方が適する場合がある。また、活動の実態が指揮命令に基づく労務提供に近く、実質的に有償労働者の代替として位置付けられている場合には、本規約による形式的な整理のみでは労働関係法令の適用を免れることはできない点に留意が必要である。
根拠法令の解説 労働基準法第9条の労働者性の判断基準(使用従属性)は、指揮命令の有無、時間的・場所的拘束の程度、業務遂行上の代替性、報酬の労務対価性等を総合的に考慮して行われる。本規約第3条、第4条及び第6条は、活動の選択制、時間的拘束の緩やかさ、遂行方法の裁量を明記することで、労働契約性を否定する方向の実態を規約上も裏付けるものである。もっとも、規約の文言のみで労働者性が否定されるわけではなく、実際の運用が規約の内容と乖離している場合(例えば特定のボランティアに対して恒常的にシフトを組ませ、欠席に対して事実上の制裁を行う等)には、労働契約と評価されるリスクが残る。第8条のボランティア保険についても、社会福祉協議会やボランティア団体連絡協議会等が提供する民間保険であり、労働者災害補償保険法に基づく労災保険とは異なる任意加入の制度であることを規約上も明確にしておくことが望ましい。第12条は個人情報保護法を踏まえ、登録時に取得する氏名・連絡先等の個人情報の利用目的を明確化する趣旨の規定である。
よくある失敗と条項上の対策 第一に、活動費の支給基準を定めず、実質的に時給計算に近い支給を行った結果、労働者性を肯定される失敗がある。A-2のように支給上限を金額で明示し、実費弁償の範囲にとどめることが対策となる。第二に、登録抹消の手続を定めず、一方的かつ説明のない抹消によりボランティアとの信頼関係が損なわれる失敗がある。B-2のように理由通知と弁明機会を設けることが対策となる。第三に、活動の中止が繰り返されるにもかかわらず既発生費用の取扱いが定められておらず、ボランティアが不利益を被る失敗がある。B-1のように既発生実費の精算ルールを明記することが対策となる。
活動の実態と規約の内容が一致しているかどうかは個別の運用状況によって左右されるため、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 労働契約性を否定する条項(自発性・任意性)を設けたか
- [ ] 活動内容の選択が実質的にボランティアの意思に委ねられているか
- [ ] 実費支給の基準額と上限を具体的に定めたか
- [ ] 活動時間・場所についての拘束が過度でないか確認したか
- [ ] ボランティア保険が民間の任意保険である旨を明記したか
- [ ] 活動中止時の取扱い(既発生実費の精算等)を定めたか
- [ ] 登録抹消事由とその手続(通知・弁明機会)を定めたか
- [ ] 個人情報の利用目的を明確にしたか
- [ ] 団体単位での参加を想定する場合の窓口責任を明記したか
- [ ] 規約変更時の周知方法を定めたか