活動内容とリスクを説明し参加者の同意を得る書面です。保険加入、負傷時の対応、守秘義務、肖像の利用可否を確認します。自社の実情に合わせて条項を取捨選択できる構成です。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
ボランティア活動参加同意書
第1部: 書式本文
第1条(目的) 本同意書は、〇〇〇〇(以下「受入団体」という。)が実施する【 】活動(以下「本活動」という。)に、参加者【 】(以下「参加者」という。)が参加するにあたり、活動内容及びリスクを理解し、これに同意することを確認するものである。
第2条(活動内容) 本活動の内容、実施日時、実施場所及び活動時間は次のとおりとする。 活動内容:【 】、実施日時:【 】、実施場所:【 】、集合・解散場所:【 】
第3条(無償性の確認) 参加者が本活動を行うことは、受入団体との間の雇用契約その他の労働契約に基づくものではなく、参加者の自発的な意思に基づく無償の役務提供であることを、参加者及び受入団体は相互に確認する。
第4条(活動費用の負担) 受入団体は、本活動に要する実費(交通費、食費、消耗品費等)のうち、別紙に定める範囲について参加者に支給する。これを超える費用は参加者の負担とする。
第5条(リスクの説明及び確認) 受入団体は、本活動に伴い想定されるリスク(【 】等、活動の性質に応じ具体的に記載)を参加者に事前に説明し、参加者はこれを理解した上で参加するものとする。
第6条(ボランティア保険への加入) 受入団体は、参加者を【 】保険会社が提供するボランティア活動保険(以下「本保険」という。)に加入させる。参加者は、本保険が民間の任意保険であり、国が運営する法定の保険制度ではないこと、及び補償の内容・限度額が保険約款の定めによることを理解するものとする。
第7条(負傷等が生じた場合の対応) 参加者が本活動中に負傷その他の事故に遭った場合、受入団体は速やかに応急の措置を講じ、必要に応じて医療機関への搬送その他の対応を行う。受入団体は、本保険により填補されない損害について、受入団体に故意又は重大な過失がある場合を除き、責任を負わないものとする。
第8条(健康状態の申告) 参加者は、本活動への参加に支障を生じさせるおそれのある疾病、アレルギーその他の健康上の事情がある場合、事前に受入団体に申告するものとする。
第9条(守秘義務) 参加者は、本活動を通じて知り得た受入団体又は活動対象者(利用者、来場者等)に関する個人情報その他の秘密を、本活動の目的以外に使用し、又は第三者に開示してはならない。この義務は本活動終了後も存続する。
第10条(肖像等の利用) 受入団体は、本活動の記録・広報の目的で、参加者の氏名、写真又は映像(以下「肖像等」という。)を使用することができる。ただし、参加者が事前に書面で使用を拒否した場合はこの限りでない。肖像等の利用範囲は別紙に定めるとおりとする。
第11条(遵守事項) 参加者は、本活動中、受入団体の指示に従い、他の参加者及び活動対象者の安全に配慮して行動するものとする。
第12条(中途辞退) 参加者は、本活動の途中で参加を辞退することができる。ただし、活動の性質上、辞退により他の参加者又は活動対象者に重大な支障が生じるおそれがある場合、受入団体に速やかに連絡するものとする。
第13条(同意) 参加者は、以上の内容を理解した上で、本活動への参加に同意する。
参加者:【署名】 日付:【 】 受入団体:【署名又は記名押印】 日付:【 】
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A. 参加者側の修正パターン
A-1. 補償内容の事前開示請求
追加条文例:「受入団体は、参加者の求めに応じ、本保険の補償限度額及び免責事由を記載した約款の写し又は概要を事前に交付するものとする。」 一言解説: 保険の内容を知らないまま参加してしまうことを防ぐため、補償範囲の事前開示を求める参加者側の修正である。
A-2. 受入団体の説明義務違反時の免責制限
修正後:「第7条の受入団体の免責は、受入団体が第5条の説明義務を適切に履行していたことを前提とする。」 一言解説: リスク説明が不十分であったにもかかわらず免責を主張されることを防ぎ、免責の前提条件を明確にする修正である。
B. 受入団体側の修正パターン
B-1. 無断行動による損害の免責範囲の拡張
追加条文例:「参加者が受入団体の指示に反して行動したことにより生じた損害については、受入団体は一切の責任を負わない。」 一言解説: 指示逸脱による事故のリスクを参加者に帰属させ、受入団体の管理責任の範囲を限定する修正である。
B-2. 健康状態の不申告による免責の明記
追加条文例:「参加者が第8条の申告を怠り、又は虚偽の申告をしたことに起因して生じた損害について、受入団体は責任を負わない。」 一言解説: 健康上のリスクを事前に把握できなかった場合の責任分配を明確にする修正である。
場面別バリエーション: 未成年者が参加する場合
参加者が未成年者である場合は、第13条の同意欄に加え、「本活動への参加については、親権者【 】が本同意書の内容を確認の上、参加に同意する。」旨の親権者同意欄を追加し、緊急連絡先及び未成年者本人の健康状態について親権者が把握している情報を申告事項に含めることが望ましい。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
使う場面・使ってはいけない場面の解説 本書式は、NPO法人、社会福祉法人、地域団体等が単発又は短期のボランティア活動への参加者を募る場面で用いる。他方、継続的・組織的にボランティアを受け入れ、活動時間や場所についてボランティア側の裁量がほとんどなく、受入団体の指揮命令に従って業務を行わせる実態がある場合には、後述のとおり労働者性が肯定されるおそれがあるため、単なる同意書ではなく労働関係法令を踏まえた体制の見直しを検討すべきである。
根拠法令の解説 労働基準法第9条は、同法上の「労働者」を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しており、ある活動が労働契約に基づく労働に該当するか否かは、指揮命令の有無、時間的・場所的拘束の程度、業務遂行上の裁量の有無、報酬の性質(実費弁償か労務対価か)等を総合的に考慮するいわゆる使用従属性の基準によって判断される。ボランティア活動における実費支給が労務の対価と評価されるほどの水準に達している場合や、受入団体の指示に強く拘束され自由な辞退が事実上認められない場合には、無償の役務提供ではなく労働契約と評価され、労働基準法上の保護(最低賃金、労働時間規制、労災保険等)が及ぶ可能性がある。第3条及び第4条は、この労働者性を否定する方向の実態(自発性、実費の範囲内での支給)を確認する条項として機能する。また、第6条のボランティア保険は、社会福祉協議会等が提供する民間の任意保険であり、労働者災害補償保険(労災保険)のような法定の強制保険制度ではないため、補償内容には限界があることを参加者に理解させる必要がある。第9条・第10条は個人情報保護法を踏まえた規定であり、特に肖像の利用は個人情報保護法上の要配慮個人情報には直ちに該当しないものの、本人の同意を得て利用範囲を明確にすることが望ましい取扱いとされる。
よくある失敗と条項上の対策 第一に、実費支給の名目でありながら実質的に労務対価に近い金額を支給し、労働者性を肯定される失敗がある。第4条のように実費の範囲を別紙で明確に限定することが対策となる。第二に、ボランティア保険を法定の労災保険と同視して説明し、事故発生時に参加者との認識の齟齬が生じる失敗がある。第6条のように任意保険である旨を明記し、A-1のように補償内容を事前開示することが対策となる。第三に、肖像等の利用について同意を取得せずに広報物に使用し、参加者から利用差止めを求められる失敗がある。第10条のように利用範囲と拒否の機会を明記することが対策となる。
労働者性の判断は個別の活動実態に即して総合的に行われるため、指揮命令の程度や拘束時間によっては本書式のみで足りない場合もあり、個別事案は専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 活動内容・日時・場所が具体的に特定されているか
- [ ] 無償性(労働契約でないこと)を確認する条項を設けたか
- [ ] 実費支給の範囲が労務対価と誤認されない水準で定められているか
- [ ] ボランティア保険が民間の任意保険である旨を明記したか
- [ ] 負傷等が生じた場合の対応手順と免責範囲を定めたか
- [ ] 参加者の健康状態の申告事項を設けたか
- [ ] 守秘義務の対象と存続期間を明記したか
- [ ] 肖像等の利用範囲と拒否の機会を確保したか
- [ ] 未成年者が参加する場合の親権者同意欄を用意したか
- [ ] 参加者・受入団体双方の署名欄に不備がないか