クリニックや職域接種会場でワクチンを接種する際の予診と同意の書式。予防接種法と医師法の説明義務を踏まえ、既往歴・アレルギー・副反応と健康被害救済制度を確認する。

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予防接種予診票・同意書

第1部: 書式本文

医療法人〇〇会〇〇クリニック(以下「甲」という。)は、被接種者又はその保護者〇〇〇〇(以下「乙」という。)に対し、予防接種の実施に先立ち、予診を行うとともに接種の効果及び危険性その他必要な事項を説明し、乙は当該説明を理解した上で、下記のとおり接種の実施に同意する。

第1条(予診の実施及び申告義務) 甲は、予防接種の実施に先立ち、乙に対し予診を行う。乙は、予診票の各質問事項に対し、知り得る限り正確に申告するものとする。

第2条(既往歴・アレルギー歴等の確認) 甲は、乙の既往歴、現在治療中の疾病の有無、アレルギー歴(薬剤・食物・過去の予防接種に対するものを含む。)、当日の体温及び体調、服用中の薬剤の有無について、予診票により確認する。

第3条(禁忌事項の確認) 甲は、前条の確認結果を踏まえ、乙が当該予防接種の実施要領において定める禁忌事項(明らかな発熱、重篤な急性疾患に罹患していることが明らかな場合、当該予防接種の接種液の成分に対し重度の過敏症の既往がある場合その他【禁忌事項】)に該当しないかを確認し、該当すると判断される場合には接種を見合わせる。

第4条(接種の効果とリスクの説明) 甲は乙に対し、当該予防接種によって期待される予防効果、接種を受けない場合に想定される疾病罹患のリスク、及び接種後に生じ得る副反応(接種部位の腫脹・疼痛、発熱その他まれに生じ得る重篤な副反応を含む。)について説明する。

第5条(副反応発生時の対応) 甲は乙に対し、接種後に体調の異変が生じた場合の連絡先(甲の緊急連絡先)及び対応方法について説明する。乙は、接種後一定期間、体調の変化に注意し、異常があれば速やかに甲又は他の医療機関に連絡するものとする。

第6条(予防接種健康被害救済制度の説明) 甲は乙に対し、予防接種による健康被害が生じた場合に、予防接種法に基づく健康被害救済制度による給付を受けられる場合があること、及び当該制度の申請窓口(市区町村の予防接種担当部署)について説明する。

第7条(接種区分の説明) 甲は乙に対し、当該予防接種が予防接種法上の定期接種、臨時接種又は任意接種のいずれに区分されるか、及び当該区分に応じた費用負担の違いについて説明する。

第8条(同意) 乙(被接種者本人が意思表示能力を有する場合を含む。)は、前各条の説明を理解した上で、当該予防接種の実施に同意する。被接種者が未成年者である場合、保護者【氏名】が同席の上、保護者の同意を得るものとする。ただし、【年齢】歳以上であって被接種者本人が単独で同意できるとされる予防接種については、この限りでない。

第9条(同意の撤回) 乙は、接種の実施前であればいつでも、本同意を撤回することができる。

第10条(記録の保存) 甲は、本予診票及び同意書並びに接種記録を、予防接種法その他関連法令に定める期間保存し、市区町村への報告等必要な手続を行う。

第11条(協議事項) 本書に定めのない事項について疑義が生じたときは、甲乙誠実に協議して解決する。

【接種年月日】〇〇〇〇年〇〇月〇〇日

説明医師: 所属・氏名      印

(被接種者)住所    氏名       (保護者)住所    氏名      印  続柄

第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン

A. 医療機関(甲)側の修正パターン

A-1. 複数医師が交代で問診する会場における情報引継ぎ条項

追加条文例:「甲は、職域接種会場等、複数の予診担当医が交代で問診に当たる場合、乙の予診票の記載内容及び問診時の申告事項を、接種を担当する医師に確実に引き継ぐものとする。」 一言解説: 大規模接種会場では予診担当医と接種担当医が別人であることが多く、情報の引継ぎ漏れによる禁忌事項の見落としを防ぐため、医療機関側はこの条項で引継ぎ手順を明示する。

A-2. 接種当日の体調変化に関する再確認条項

追加条文例:「甲は、予診票の提出後、接種の直前において乙の体温を再測定し、当日の体調に変化がないかを再確認した上で接種の可否を最終判断する。」 一言解説: 予診票の記載時点と実際の接種時点との間に体調変化が生じることがあるため、医療機関側は直前の再確認を条項化しておくことが望ましい。

B. 被接種者・保護者側の修正パターン

B-1. 保護者以外の同伴者による同意権限を確認する条項

追加条文例:「被接種者が未成年者であり、当日の同伴者が親権者以外の者(祖父母等)である場合、甲は、当該同伴者が親権者から接種の同意に関する委任を受けていることを、委任状その他の方法により確認するものとする。」 一言解説: 親権者以外の同伴者による同意取得は後日その有効性が争われる可能性があるため、被接種者・保護者側としては委任の有無を明確にする条項を加えることが考えられる。

B-2. 過去に副反応歴がある被接種者の慎重な判断のための条項

追加条文例:「乙が過去に同種の予防接種において副反応の既往を有する場合、甲は、当該既往の内容を踏まえ、接種の要否について乙のかかりつけ医の意見を確認した上で判断することができるものとし、乙はその確認結果を踏まえて改めて同意するか否かを判断することができる。」 一言解説: 副反応歴のある被接種者にとっては再接種の可否が特に重要な判断事項であるため、かかりつけ医の意見確認という追加のステップを設けることで、より慎重な意思決定を支援する趣旨である。

第3部: 書き方と法的ポイント解説

使う場面と使ってはいけない場面の解説 本書式は、医療機関やクリニックが実施する定期接種、任意接種又は臨時接種のいずれの予防接種においても、接種前の予診及び同意取得の場面で使用する。他方、明らかに禁忌事項に該当する被接種者に対し、保護者の強い希望があるとの理由のみで接種を強行するために本書式の同意欄を用いることは許されない。予診の結果、接種の可否について判断に迷う事例では、接種を見合わせ、後日改めて判断する運用が原則となる。

根拠法令の解説 予防接種法は、市区町村長が実施する定期の予防接種(同法第5条)及び国が指示する臨時の予防接種(同法第6条)について規定しており、両者は費用負担及び実施主体の点で任意接種と異なる。同法第15条以下は、予防接種を受けたことによる健康被害について、給付の種類(医療費、障害年金、遺族年金等)及び認定手続を定める予防接種健康被害救済制度を設けており、本書式第6条はこの制度の存在を被接種者・保護者に事前に周知する趣旨で設けている。また、医師法第23条の療養指導義務は、予防接種後の経過観察及び副反応発生時の対応に関する説明にも及ぶものと解され、本書式第5条はこれを具体化したものである。

実務でよくある失敗と対策の解説 第一に、予診票における既往歴・アレルギー歴の確認が形式的なものにとどまり、禁忌事項に該当する被接種者に接種してしまう失敗がある。第2条及び第3条のように、確認事項を具体的に列挙し、該当する場合には接種を見合わせる判断基準を明記することが対策となる。第二に、定期接種において保護者の同伴が必要とされる年齢基準と、被接種者本人の意思確認で足りるとされる年齢基準とを混同し、本来必要な保護者同意を得ないまま接種してしまう失敗がある。第8条のように、原則と例外(本人単独での同意が認められる場合)を条文上区別しておくことが対策となる。第三に、健康被害救済制度の存在及び申請窓口の説明を怠り、実際に健康被害が生じた際に被接種者・保護者が申請の機会を逸し、事後の紛争に発展する失敗がある。第6条のように、制度の存在及び申請窓口を説明事項として明記することが対策となる。禁忌該当性の判断や救済制度の適用可否は個別の予防接種の種類や被接種者の状態によって異なるため、判断に迷う場合は弁護士等の専門家に相談しておくことが望ましい。

第4部: 使用前チェックリスト

  • [ ] 予診票の既往歴・アレルギー歴・当日の体調を確認したか
  • [ ] 禁忌事項に該当しないかを確認したか
  • [ ] 接種の効果とリスク(副反応)を説明したか
  • [ ] 副反応発生時の連絡先及び対応方法を説明したか
  • [ ] 予防接種健康被害救済制度及び申請窓口を説明したか
  • [ ] 定期接種・任意接種・臨時接種のいずれに該当するかを説明したか
  • [ ] 保護者同伴の要否及び本人同意可能な年齢基準を確認したか
  • [ ] 同伴者が親権者以外の場合、同意権限の委任を確認したか
  • [ ] 過去の副反応歴の有無を確認したか
  • [ ] 同意の撤回が可能であることを説明したか
  • [ ] 接種記録の保存及び行政への報告体制を確認したか