労働基準監督署の是正勧告を受けて改善内容を報告する書面です。違反事項ごとに是正措置、実施日、再発防止策を記載します。ひな型をもとに数分で自社仕様に調整できます。
⚠ 本書式は弁護士監修前の草稿である。監修完了まで販売・配布・公開を禁止する。 本書式は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別・具体的な法律相談に代わるものではない。
是正勧告に対する是正報告書
第1部: 書式本文
【提出日】令和【 】年【 】月【 】日 【宛先】【所轄労働基準監督署名】労働基準監督署長 殿 【事業場名称】【 】 【事業場所在地】【 】 【事業主(代表者)】【役職・氏名】 【提出担当者】【所属・氏名・連絡先】
是正報告書
令和【 】年【 】月【 】日付是正勧告書(整理番号【 】)により指摘を受けた事項について、下記のとおり是正いたしましたので報告いたします。
【指摘事項1】違反条項【労働基準法第【 】条/労働安全衛生法第【 】条等】 【指摘の具体的内容】【 】 【是正内容】【就業規則の改定、36協定の再締結、未払割増賃金の支払等、具体的措置】 【是正実施日】令和【 】年【 】月【 】日 【是正を裏づける添付資料】【改定後就業規則、36協定届の写し、賃金支払明細等】 【再発防止策】【勤怠管理システムの導入、責任者の教育、内部監査の実施頻度等】 (指摘事項が複数ある場合は上記項目を事項ごとに繰り返す)
【今後の遵守体制】【担当部署、チェック体制、次回自主点検予定日】 【外部専門家の関与】【社会保険労務士・弁護士等の関与の有無、関与した場合の氏名・資格】 【是正が完了していない事項がある場合の対応方針】【完了予定日、遅延理由、暫定的な代替措置の内容】 【本報告書に関する問合せ先】【氏名・部署・電話番号】
以上
第2部: 立場別・場面別の書き換えパターン
A節: 会社(是正報告を行う担当者)
- 記載例1: 「賃金不払残業(未払割増賃金)が指摘事項の場合、是正内容欄に対象労働者数、遡及支払対象期間、支払総額、個別労働者ごとの支払明細の有無を明記する。」 一言解説: 割増賃金の是正は金額の算定根拠が争点になりやすいため、遡及期間と算定方法(1か月単位変形労働時間制の清算等)を明示しておくと再調査の手戻りを防げる。
- 記載例2: 「36協定未締結・届出漏れが指摘事項の場合、是正内容欄に新協定の締結日、労働者代表の選出方法(投票・挙手等の民主的手続の実施状況)、届出受理年月日を記載する。」 一言解説: 労働者代表の選出手続に不備があると協定自体が無効と判断される可能性があるため、選出方法の適正性を明示することが重要。
- 記載例3: 「就業規則の未届出・記載不備が指摘事項の場合、改定箇所を新旧対照表形式で添付し、過半数代表者の意見書の写しを併せて提出する体裁に書き換える。」 一言解説: 意見聴取義務(労働基準法第90条)の履行を示す資料がないと、届出自体は受理されても実質的な是正と評価されないおそれがある。
B節: 労働基準監督署(提出先を意識した記載)
- 記載例1: 「監督官による再確認が想定される場合、指摘事項ごとに『是正前の状態』と『是正後の状態』を対比する形式に書き換え、変化が一目で分かるようにする。」 一言解説: 監督署内部の審査では是正の実効性が重視されるため、対比形式にすることで審査担当者の確認負担を軽減し、再監督の要否判断を早められる。
- 記載例2: 「是正期限までに一部の措置しか完了しない場合、完了事項と未完了事項を分け、未完了事項について実施予定日と遅延理由を明記した中間報告として提出する形に書き換える。」 一言解説: 期限内に全て完了できない場合でも無報告のまま放置すると送検等の強い措置につながりかねないため、進捗を誠実に報告する姿勢を示すことが望ましい。
- 記載例3: 「複数の事業場(支店・工場等)で同種の違反があった場合、本社一括で報告するか事業場ごとに個別報告するかを監督署の指示に従って選択し、一括報告の場合は事業場ごとの是正状況一覧表を別紙として添付する形に書き換える。」 一言解説: 事業場ごとに監督署の管轄が異なる場合があり、一括報告が認められるかどうかは運用次第であるため、事前に提出先の監督署へ報告単位を確認しておくと手戻りを防げる。
第3部: 書き方と法的ポイント解説
本書式は、労働基準監督署の臨検監督等により是正勧告書の交付を受けた事業場が、指摘事項ごとの是正措置の実施状況を報告する場面で使用する。是正勧告は労働基準監督官が労働基準法第101条等に基づく臨検監督の結果、法令違反を認めた場合に行う行政指導であり、行政手続法第32条にいう行政指導の一類型として、それ自体に強制力はない。もっとも、是正報告を行わない、あるいは是正の実態が伴わないまま放置した場合には、再監督や送致(労働基準法第102条に基づく司法警察権の行使、いわゆる書類送検)に発展するおそれがあり、実務上は速やかな是正と報告が求められる。使用すべき場面は是正措置が実際に完了した後、あるいは一部完了し進捗を示す必要がある場面であり、使ってはならない場面は是正の実態が伴わないにもかかわらず体裁のみ整えて完了したと報告する場合である。実態のない報告は後日の再監督で発覚しやすく、事業主の信用を損なう。
根拠法令としては、指摘事項の内容に応じて労働基準法第32条(労働時間)、第37条(割増賃金)、第89条(就業規則の作成届出義務)、第90条(意見聴取義務)、第106条(周知義務)、労働安全衛生法上の各条項などが問題となる。是正報告書自体を義務付ける明文規定は存在しないが、監督署の実務運用上、是正勧告書に是正期限と報告方法が指定されるのが通例であり、指定に従わない場合は行政指導への不誠実な対応と評価され、その後の対応が厳格化する傾向がある。なお、是正勧告と法的性質が異なるものとして、労働安全衛生法上の設備・作業方法に関する使用停止命令等の行政処分があり、これらは行政指導ではなく法的拘束力を伴う処分であるため、勧告と命令のいずれを受けているかを提出前に必ず確認する必要がある。
実務でよくある失敗として、第一に、是正内容を抽象的に記載し「改善しました」とだけ報告して、具体的な措置内容や日付を示さない例がある。対策として、措置内容・実施日・裏づけ資料を必ず併記する。第二に、複数の指摘事項がある場合に一部の事項のみ報告し、残りを失念する例がある。対策として、指摘事項ごとに独立した記載欄を設け、指摘事項の数と報告事項の数を突合する運用とした。第三に、再発防止策を一般論(「今後注意します」等)にとどめ、具体的な体制整備を示さない例がある。対策として、担当部署・チェック頻度・次回点検予定日を明記する構成とした。なお、是正措置の内容が労働基準法等の要求水準を満たしているかどうかの判断は違反の内容や事業場の実情によって異なるため、個別事案については社会保険労務士や弁護士等の専門家に確認することが望ましい。
第4部: 使用前チェックリスト
- [ ] 是正勧告書の整理番号・交付日を正確に記載しているか
- [ ] 指摘事項ごとに違反条項を特定しているか
- [ ] 是正内容が具体的な措置・日付で記載されているか
- [ ] 是正を裏づける資料(改定後規程、協定届、支払明細等)を添付しているか
- [ ] 再発防止策が具体的な体制・頻度で記載されているか
- [ ] 是正期限内に完了しない事項がある場合、進捗と今後の予定を明記しているか
- [ ] 賃金不払いが対象の場合、対象労働者数・遡及期間・支払総額を記載しているか
- [ ] 36協定・就業規則が対象の場合、手続的適正性(労働者代表選出等)を示しているか
- [ ] 提出担当者の連絡先を明記しているか
- [ ] 実態の伴わない体裁のみの報告になっていないか
- [ ] 複数事業場が対象の場合、報告単位(一括/個別)を監督署に確認したか
- [ ] 行政指導(勧告)と行政処分(命令)のいずれに対する報告かを区別しているか