スタートアップ創業時は、プロダクト開発、営業、採用、資金調達が同時に進む。契約書や規程の整備は後回しになりがちだが、情報漏えい、業務委託、共同創業者間の認識違いは早い段階で問題になりやすい。本記事では、創業期に優先して整えるべき契約書・規程を整理する。

創業直後に整備すべき全体像

創業期の法務整備では、すべての書類を一度に作るより、リスクの高い取引から順に整える方が現実的である。最初に確認したいのは、外部に情報を出す場面、人に仕事を依頼する場面、個人情報を取得する場面、株主間で約束をする場面である。

優先順位の目安は次のとおりである。

場面 必要書類 目的
商談・提携 NDA 未公開情報を守る
外部委託 業務委託契約 業務範囲と報酬を明確にする
Web公開 プライバシーポリシー 個人情報の扱いを説明する
共同創業 株主間契約 株式・退任時の扱いを決める
採用 雇用契約書・誓約書 労働条件と秘密保持を明確にする

テンプレートを使う場合でも、自社の事業内容と運用に合わせた修正が必要である。特に、生成AI、医療、金融、子ども向けサービスなどは追加確認が必要になる場合がある。

対外的に必要な契約書

外部との取引で最初に整えたいのは、NDA、業務委託契約、利用規約、プライバシーポリシーである。

NDAは、商談や提携検討前に締結する。開示する情報の範囲、利用目的、第三者開示、秘密保持期間を明確にする必要がある。

業務委託契約は、副業人材、フリーランス、開発会社、デザイナーに業務を依頼する場面で使う。業務範囲、報酬、成果物の権利、再委託、契約解除を定めることが重要である。

Webサービスを公開する場合は、利用規約とプライバシーポリシーを整える。利用規約では、禁止事項、料金、解約、免責、アカウント停止などを定める。プライバシーポリシーでは、取得情報、利用目的、委託、第三者提供、問い合わせ窓口を整理する。

対内的に必要な書類

共同創業者がいる場合は、株主間契約の検討が重要である。創業直後は信頼関係があっても、退任、株式譲渡、追加出資、資金調達の場面で認識違いが生じることがある。

また、従業員や業務委託メンバーが増える前に、秘密保持誓約書、知的財産権の帰属、アカウント管理、退職時の返却手続を整える必要がある。ソースコード、営業リスト、顧客情報、資金調達資料は、創業期から重要な資産である。

採用を始める場合は、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則の準備も必要になる。人数が少ない段階でも、労働時間、残業、休暇、リモートワークの扱いを明文化しておくとよい。

フェーズごとの優先順位

プレシード期は、NDA、業務委託契約、共同創業者間の合意を優先する。プロダクト公開前でも、外部協力者に情報を出す場面は多い。

シード期は、利用規約、プライバシーポリシー、採用関連書類を整える。ユーザー情報を取得し始める段階では、個人情報保護法対応が必要になる。

シリーズA前後では、就業規則、情報管理規程、取締役会・株主総会の運用、投資契約・株主間契約の整備が重要になる。投資家のデューデリジェンスで書類不備を指摘されることもある。

まとめ

創業期の契約書・規程整備は、事業スピードを止めるためではなく、後から大きな手戻りを防ぐために行うものである。

  • 創業直後は、NDA、業務委託契約、株主間契約を優先する
  • Webサービス公開時は、利用規約とプライバシーポリシーを整える
  • 採用開始時は、労働条件通知書、雇用契約書、秘密保持誓約書が必要になる
  • フェーズごとに不足書類を棚卸しし、資金調達前に整備する
  • テンプレートは、自社の事業内容と運用に合わせて修正する

創業期の基本書類を整える場合は、NDA(秘密保持契約)テンプレート業務委託契約書(準委任契約)テンプレートプライバシーポリシーテンプレートを組み合わせて確認するとよい。

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